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『聖水』を要求されたんだが

今回は篠崎を退けた後の話です

神の使いって言われて今までの二人が簡単に信じただけで今回の人達は簡単に信じる人と信じない人に分かれます

では、どうぞ

 篠崎を退け俺はようやく自己紹介と説明に移れる。そう思っていたけど、そうもいかなかった


「由維……」

「由維ちゃん……」

「由維さん……」


 義母、義姉、里奈の三人は気を失ったであろう由維を心配そうに見つめていた。幸いな事にリビングは荒らされていなかったので気を失った由維をソファーに寝かせているけど、いつ目が覚める事やら……


「はぁ……これがイジメを行ってきた代償とは……」


 イジメを行ってきた者達にはどこかで不幸になるだなんて話を聞く。しかし、今回はその代償が高くついた。それにしても、由維は首に手の痕の痣が残る程度で済んだのは運がよかったと言うべきだろうか?


「ちょっと!アンタ!それどういう意味!?」


 本性を現した篠崎の義母が俺に掴みかかってきた。どういう意味も何もそのままの意味だ。


「どういう意味も何もそのままの意味だ。学校の連中もアンタ等がこんな目に遭ってるのも篠崎をイジメた代償だ。クラスメイトもアンタ等もやり過ぎたんだよ」


 なんて言ってもコイツ等に理解できるかと聞かれたら俺は無理と即答するし、即答できる自信がある


「私達が何をしたって言うの!?」


 掴んだまま俺を離さない義母は俺を引き寄せ顔を近づけて尋ねてくる。いや、この場合は問いただしてくると言った方がいいか


「何をしたか、どうしてそうなったかを説明するのはいいけど、まずは自己紹介が先だ」


 説明するのはいいけど、自己紹介をしておかないと呼び方に困る。それに俺がどういう存在かを説明するのもな


「わかったわよ……」


 掴みかかっていた義母は俺を離した。由維が目覚めるのをチンタラ待っているのも面倒だし、由維が目覚める前に自己紹介だけでも済ませておくか


「さて、由維が目覚めるのを待っていても仕方ないから自己紹介と説明をしておこうか」


 目覚めるのを待っていたら日が暮れる。それに、俺にはコイツ等を守る義務も義理もない


「そうね。私からでいいかしら?」


 最初に名乗り出たのは篠崎の義母。やっぱり最初の自己紹介は大人からするのが定石なのか?ここは年功序列と思っていた。なので恐らく一番年下であろう俺が最初に自己紹介をするのかと思っていたけど、違ったみたいだ


「ええ、構いませんよ」


 俺は誰が最初でも構わない。篠崎がどうして変わってしまったのか、どうやって人知を超えた力を手に入れたにかを説明し、対策を練って最終的には篠崎をどうにかできればいい


「じゃあ、遠慮なく。私の名前は篠崎由紀子(ゆきこ)。篠崎康祐の義理の母よ」


 篠崎の義理の母────由紀子は最初とは違い、取り繕う事はもうしなくなった。今更取り繕われても気持ちが悪いだけだからいいんだけどな


「お母さんが自己紹介したところで次は私の番だね。私は篠崎茉利奈(まりな)。篠崎康祐の義理の姉でそこで寝ている由維姉さんの妹だよ」


 これでここにいる篠崎の関係者の事は大体把握した。義母の由紀子、義姉の由維と茉利奈。そして、幼馴染の里奈。コイツ等は篠崎になんらかの危害を加えたとみて間違いない


「私達の自己紹介は終わったんだし、そっちの君も自己紹介してよ」


 茉利奈は不審者を見るような目で俺を見ている。ま、自己紹介してないから不審者に見えても仕方ないか


「由紀子さんには自己紹介したけど、改めて。俺は白石洋平。神の使いでこの世界にやって来た」

「神の使い?白石君は私をからかってるの?」

「私も信じられないんだけど……君は私達をバカにしてるの?」


 信じられないと言った様子の由紀子と茉利奈。いきなり言われても信じられないのは当たり前の事だ。俺だって信じない


「ま、後藤も最初は信じなかったし最初から信じろとは言わない。それにコイツか証拠になるのかも知らんし」


 俺は里奈に見せたように由紀子と茉利奈の前でも水を集めて玉を作ってみせた。里奈は信じたけど、由紀子と茉利奈は信じるかどうかは二人次第だ


「う、嘘……」

「し、信じられない……」


 由紀子と茉利奈は信じられない様子だけど、手品と言われればそれまでだ。そうなったら別の方法で証明するまでだ


「どうだ?俺が神の使いって少しは信じてくれたか?」


 全てを鵜呑みにして信じろとは言わないし、神の使いだって事も完全に信じろとは言わない。だけど、特別な力を持っている事くらいは信じてほしいものだ


「し、信じられるはずないでしょ!?これは……そう、手品よ!」


 由紀子は里奈と違って信じられないか……ま、水を掌に集めて玉にして見せたくらいじゃ大人は信じないよな


「わ、私も信じないよ!君はきっと手品師か催眠術師かのどちらかだよ!」


 純粋なのは高校生までなのかねぇ……まぁ、あの程度で信じろというのは無理か


「それもそうだな。じゃあ、どうしたら信じてくれるんだ?」


 信じてもらう方法なら他にもある。神子の部屋へ連れて行けばいいだけの話だからな。が、里奈や由紀子達を神子の部屋へ連れ込んじゃダメだ。悪いが俺はコイツ等の事は何一つとして信じていないからな


「そうだね、信じてほしいなら由維を目覚めさせてよ」


 茉利奈は由維を目覚めさせたら俺を神の使いと認めるらしい。さて、RPGゲームならともかく、俺に『聖水』なんて出せるかどうか……ま、液体を思い通りにできる力なら『聖水』くらいは出せるか


「わかったよ。由維を目覚めさせるが、その前にコップを借りるぞ?後藤、キッチンに案内してくれ」

「う、うん」


 俺は里奈の案内を元にキッチンへと向かう。由紀子と茉利奈の同意?そんなモン得る必要はない。ここは篠崎康祐の家であって由紀子達の家じゃない。


「さて、このコップでいいか」


 俺は食器棚からいいサイズのコップを見つけ、それを取り出す。そして、俺は手をかざす


「水は出たな」

「はい、ですが、『聖水』とは限りませんよ?」


 里奈の言う通り『聖水』とは限らない。液体を思い通りにできるから手をかざしただけで水が出るのは当たり前だけど、それが必ず『聖水』であるとは限らない


「そうなんだよなぁ……でも、何とかなるだろ」


『聖水』じゃなくても何とかなる。茉利奈の要求は俺が飲ませた水で由維を目覚めさせる事だし


「そ、そうでしょうか?」

「ああ。茉利奈の要求は俺が飲ませた水で由維を目覚めさせろって事だしな」


 俺と里奈は水が入ったコップを持ってリビングへ戻る。


「戻って来たわね」

「さっさと由維ちゃんを目覚めさせてよ」


 由紀子と茉利奈は俺を見下したような目でキッチンから戻った俺を見る。この目はアレだな。嘘だと決めつけている目だ


「わかってるよ」


 由紀子と茉利奈を横目に俺は由維の口へ水を流す


「うっ……こ、ここは……?」


 俺が口へ流し込んだ水を飲んだ由維は目を覚ました。これで由紀子と茉利奈は俺の言ったことを信じてくれるだろ


「由維!」

「由維ちゃん!」


 目が覚めた由維に抱き着く由紀子と茉利奈。コイツ等、俺が口に流した水のおかげで由維の目が覚めたって事を忘れてないか?


「長女の目が覚めたところで話を再開していいか?」


 由維の目が覚めたところで俺は話を再開しようとする。篠崎が暴走している以上、一刻も早く説明して篠崎をどうにかしなきゃいけない


「え、ええ、ところであなたは?」


 そう言えば由維にはまだ自己紹介してなかったな


「俺は─────」


 俺は里奈や由紀子達にしたように自己紹介した。神の使いと言っても最初は信じてくれなかったが、由紀子と茉利奈の説明により若干怪しんでいたが、信じてくれた。その後で由紀子達はちゃんとお礼を言ってくれた


「し、白石さん、話の続きなんですけど……」

「ああ、そうだったな。忘れてた」


 里奈に言われて思い出した。篠崎の話をするんだった


「それで、康祐はどうしてあんな風になったんですか?」


 由維は本気で言っているのか、それとも、ふざけているのか。真意は不明だ。少なくとも自分の行いを振り返る気はなさそうだ


「その問いが本気か冗談かは置いといて、篠崎康祐がああなったのは里奈やクラスメイト、それにアンタ等のせいだ」


 情けをかけても仕方ないのでハッキリと言う。生憎と俺はコイツ等に優しくする気はない


「私達の?それってどういう意味ですか?」


 やっぱり由維は───いや、由維だけじゃない。由紀子も茉利奈も自分がした事がどれだけ残酷な事かを理解してない


「そのままの意味だ。里奈は彼氏やクラスメイトと一緒に篠崎をイジメてアンタ等はアンタ等で篠崎をイジメた。それが積み重なって篠崎は力を求め、力を得た篠崎は自分をイジメた奴等全員に復讐すると決めた。ここまで言えば篠崎康祐がどうしてああなったか理解できただろ?」


 ここまで言われて理解できないのならソイツはただのバカ以外の何物でもない


「「「…………」」」


 事実を突きつけられたら今度は黙るのか……里奈には学校でも説明したけど、事実を突きつけられるってのは何回やられても堪えるのか


「黙り込んでいるところ悪いが、暴走した篠崎康祐を見てアンタ等はどう思った?」


 学校での里奈みたいに由紀子達も少しは懺悔の気持ちを持ってほしいものだが……


「別に私は何も思わないわよ」


 やっぱり由紀子は何も思わなかったか……


「「…………」」


 由紀子は何も思わなかったみたいだけど、義姉二人はそうではないみたいだ。無言で涙を流し始めたし


「義母は何も感じなかったみたいだけど、義姉二人は思うところがあるみたいだな。その涙は何の涙なんだ?自分達がした事についての懺悔の涙か?それとも、もう少し上手くやればよかったっていう後悔の涙か?」

「白石さん!!」


 里奈が俺を止めようとするが、時すでに遅し。由維と茉利奈はもう泣いている


「別にいいだろ?それに俺はアンタ等を守りに来たんじゃない。篠崎康祐をどうにかしに来たんだ」


 それにしても、さっきから気にはなっていたけど、首を絞められたのは里奈も同じだ。だけど、由維の首にはくっきりと手の形に痣ができているのにどうして里奈の首には痣がないんだ?篠崎が憎んでいたのは里奈も同じはずなのに




今回は篠崎を退けた後の話でした

前回の違和感である里奈と由維の首の痣について最後に触れてみました。里奈も由維も篠崎に首を絞められたのにどうして里奈には痣がなく、由維にはあったのでしょうか?それは篠崎のみぞ知る


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今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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