イジメっ子の好きって信用できないんだが
今回は教室から校舎裏までです
問題が問題なので短い話ではありませんし家族との接触もあるので長くなりそうです
では、どうぞ
「やめて!!康祐!!」
悲鳴が聞こえた場所に着いた俺の見たものは男が女の首を絞め上げてる場面だった。女の方は男を『康祐』と呼んでいるところを見ると女の首を絞め上げているのが篠崎か……
「黙れ!!お前は絶対に許さねぇ!!」
許さないか……どうやらイジメられた恨みが相当強いみたいだな
「私が悪かったから!だからこんな事はもう止めて!!」
女の方は篠崎に対して悪い事をしたっていう自覚があるみたいだが……神子から聞いた話によると力を得て暴走しているみたいだし、『私が悪かった、こんな事は止めて』と言って聞くような感じじゃないな……
「どうしたものか……止めるべきか止めざるべきか」
熱血系主人公ならばすぐにでも飛び込んで止めるんだろうけど、俺は篠崎が暴走する原因を知っているだけに篠崎の暴走を止める気にも女を助ける気にもなれない
「助ける気は起きないが、助けないと篠崎が力を得る前の話が聞けないから仕方ないか……」
本音を言うなら助けてやる義理も義務もないけど、助けないと篠崎に関する情報が得られない。不本意ながら助けて話を聞く。その後であの女が篠崎に殺されようが何しようが俺にはどうだっていい
「おい、篠崎!」
俺はとりあえず女の首を絞めている男────────篠崎に声を掛けた
「何だ?お前は!俺の邪魔をする気か!!」
「俺は白石洋平。神の使いでやって来た。邪魔をするつもりは毛頭ないが、少し話でもしないか?」
力を得て暴走気味だとはいえ、自分のイジメに無関係な人間には危害を加えたりしないだろう。
「話?俺にはそんな事をしている暇などない!!この女を殺すのが先だ!」
「う、うぐっ!こ、康祐……や、止めて……」
苦しそうな声を上げる女。別にどうでもいいけど、話をしている最中にうめき声を上げられたんじゃ面倒だ。何とかして女を解放させるか。貴重な情報源だしな
「とりあえず話の邪魔だからその女を解放してはくれないか?」
女は俺が自分を助けると思ったのか希望に満ちた目で俺を見てきた。
「ふっ、話の邪魔か……まぁいい。こんな女すぐ殺せるいいだろう。解放してやるよ」
篠崎は首を絞めていた女を廊下の方へと放り投げた
「うっ!こう……すけ……」
壁に激突した女はそのショックで気を失ってしまった。しかし、どうして俺がいる教室前方の出入り口じゃなく、後方の出入り口の方向に女を放り投げた?
「さて、邪魔者もいなくなった。お前の話を聞こうか?」
「そうだな。だが、その前に質問いいか?」
「何だ?」
「さっきどうして女を俺の方じゃなく、わざわざ距離のある教室後方へと放り投げた?」
別にあの女が気になるわけじゃない。だが、俺に放り投げてもいいようなもののわざわざ気を失わせたのが気になる
「そんなの解放するついでにあの女が死ねばいいと思ってやったからに決まっているだろ?」
おいおい……篠崎ってこんなに猟奇的な性格なのかよ……資料には性格面の事は書いてなかったぞ
「そうか。まぁ、俺はお前があの女をどうしようとどうでもいいんだけどな」
「質問は終わりか?」
「ああ。どうやらお前は話に聞いていたのとは違っている事はわかったからな」
篠崎本人と話をしていても埒が明かない。復讐に憑りつかれてしまった奴を止める術を俺は知らないし、それに、こうなった原因はクラスと家族、幼馴染にある。
「そうか……あーあ、何か飽きたから帰る」
篠崎は炎に包まれて消えてしまった。
「復讐に憑りつかれる────いや、人知を超えた力を得ると性格まで変わっちまうんだな」
俺も神子から力を与えられた立場だから篠崎の事は強く言えないが、力ってのは得た時の状況と使い方によっては人の性格を変えてしまうってことをこの世界に来て学んだ
「ま、それよりも気を失った女から話を聞かなきゃいけないが……いつ目が覚めるのやら……」
気を失った女もそうだが、校門前や学校内に倒れていた人達がどうなったかが気になる。女は気を失っているだけだが、倒れている人達は死んでいるのか?それとも、死んでいるのか?
「はぁ……とりあえず屋上か校舎裏だな。ここにいては要らん騒ぎになるだろうし」
自分達が気を失ってる間の事とはいえ、部外者である俺がメチャクチャになって面影すら感じないとはいえ、教室にいると何かと面倒な事になる
「この出る時の事を考えると校舎裏だな」
俺は女を抱え、教室の窓から飛び降りた。
「さて、いつ目が覚めるのやら」
教室の窓から飛び降り、校舎裏に着いた俺は女を降ろし目覚めるのを待った。幸いな事に俺が教室の窓から飛び降りた時は倒れていた人達はまだ倒れていたままだったから見つかる心配もない
「ううっ……こ、ここは……」
気を失っていた女が目を覚ましたみたいだ。さて、篠崎があんな風になる前に何があったのかをわかる範囲で教えてもらうとしましょうかね
「目が覚めたのか?」
「え?あ、はい……イタッ!」
「ぶつかった個所が痛むか……」
「は、はい……ところであなたは一体何者なんですか?」
その何者かをこれから話すところなんだが……
「俺は白石洋平。神の使いでやって来た」
「神の使い?吐くならもう少しまともな嘘吐きましょうよ」
見るからに不審者を見るような目で俺を見る女。魔法メインの世界じゃないから神の使いって言っても嘘だと判断されるのは当たり前か……
「嘘だと思われても仕方ないか……」
「ええ、証拠になるものを見せてもらわなければ納得できません!」
証拠か……証拠って言われてもコレっていう確たる証拠はない。
「証拠になるかどうか判断できないし、俺にはこんな事しかできない」
俺は掌に水を集め、その水で玉を作ってみせた
「え!?ど、どうやってやったんですか!?」
掌にある水の玉を見て驚愕する女。俺は掌に水を集めて玉を作っただけだし、それに篠崎の力の源が何かわからない以上、俺の力の源が何か聞かれても答えられない
「神の力で水を集め、それを玉の形にしたからどうやってやったかを聞かれても困る」
今回は神の力って事にしたけど、それが何回も通用するとは限らないよなぁ……手品って言われたらそれまでだし
「そ、そうですか……じゃ、じゃあ、康祐を……康祐を元の優しい康祐に戻してくれますか?白石さんは神の力を持っているんですよね!?その力で優しい康祐に戻すのなんて簡単ですよね!?」
篠崎と戦う事になればやってやれない事はない。だが、その前に俺からも聞きたい事がある
「まぁ、戦う事になればやってやれない事はない。だが、先にアンタの名前と篠崎が変わってしまう前にアンタがした事を教えてくれ。できれば篠崎とどんな関係かも教えてくれると助かる」
俺が見たのは篠崎の机にラクガキされていたところと黒板に悪口が書いてあるところ、それと、篠崎がこの女を殺そうとしていた場面だけだ
「わかりました。私の名前は後藤里奈といいます。康祐とは幼馴染です」
コイツが資料にあった篠崎の幼馴染か……って事はコイツは彼氏と一緒に篠崎をイジメていたと見てよさそうだな
「そうか。それで?篠崎が変わってしまう前にアンタは篠崎に何をしたんだ?」
俺は元々篠崎が得た力を取り上げる為に来たんじゃない。だが、コイツの答えによっては助けるかもしれない
「わ、私は康祐と遊んでいました……」
俺から目を逸らしつつも答える里奈。あくまでイジメていた事実を隠すつもりか
「本当に篠崎と遊んでいただけか?」
「どういう意味ですか?」
俺の反応が気に入らないのか俺を睨みつける里奈だが、神子の部屋にいた時に篠崎の事は少し調べた。その中には里奈が篠崎を彼氏と一緒になってイジメていたという情報もあった
「誤魔化しても仕方ないからハッキリ言うが、アンタ、本当は彼氏と一緒に篠崎をイジメてたんじゃないのか?」
「─────!?」
どうしてわかったとでも言いたげに目を見開く里奈。最初に俺が神の使いって名乗ったの忘れてないか?
「どうしてわかったって言いたげな顔してるが、こっちは調べてから来てるんだ。隠すとアンタの為にならないぞ?それに、俺にとってはアンタが篠崎に殺されようがどうでもいいんだ」
俺が重視すべきは篠崎が暴走し、死者を出さない事で里奈を助ける事じゃない
「…………」
俺の言葉に黙り込んでしまう里奈
「はぁ、今度は黙り込んだか……ま、学校はともかく、家族に他人をイジメてたなんて事は知られたくないわな」
「…………」
今度も黙り込んだままか……これじゃ話が前に進まないんだけどなぁ
「沈黙を貫き通してもいいが、このままだとアンタの為にならない。それに、学校内にいた人や野次馬、警察が今どうなっているかは知らないが、最悪の場合、この学校の人間は一人残らず殺されちまうぞ?それでもいいなら自分のした事を永遠に隠していろ」
このまま黙っていても俺は別に構わない。篠崎じゃ俺は殺せないからな
「康祐を彼氏と一緒になってイジメてました……」
黙ったままの里奈がようやくイジメの事実を認めた
「やっぱりな。それで?篠崎が変わってしまう前も彼氏と一緒になって篠崎をイジメてたって事でいいんだな?」
「はい……」
イジメの理由なんて知りたくもないが、どうしてイジメていたか、学校内の人間が倒れていたのにどうして里奈だけ無事だったか────これは篠崎に聞いた方がいいな
「篠崎が優しいって知っててどうしてイジメた?篠崎の事が嫌いだからか?」
答えによっては殺されても仕方ないと思う。だが、イジメてた理由くらいは聞いておいて損はない
「そ、それは……康祐は優しいから何かしても抵抗しないと思ってちょっかいをかけただけです……康祐の事は大好きです」
イジメてた奴から大好きだって言われても信用性に欠けるなぁ……
「抵抗の為とはいえ強引に振り払ったところを他人に見られたら男が女に暴行してるって勘違いされるかもしれないから篠崎は抵抗しなかったんじゃないのか?それに、アンタの言う大好きは幼馴染としての好きか?それとも、恋愛感情としての好きか?」
どっちの意味の好きでも篠崎が信じるかどうか……
「わ、私がどっちの意味で康祐を好きかってのは白石さんに関係ありますか?」
頬を真っ赤に染めて睨んでくる里奈。俺には関係ない。だが、狂ってしまった篠崎を元に戻すには必要な事だ
「俺には関係ない事だが、狂ってしまった篠崎を元に戻す時に必要な事になるかもしれない。保証はできないがな」
里奈が正直な気持ちを篠崎に告白して元に戻る保証はできない
「れ、恋愛的な意味で康祐が好きです!これで満足ですか!?」
「そ、そうか……べ、別に自棄になって答えてくれなくてもいいんだが?」
真っ赤な顔して答えてもらっても篠崎が元に戻るって保証はないんだけどな
「白石さんが康祐を元に戻す時に必要だって言うから答えたんじゃないですか!!」
「ああ、言ったな。だが、必要だって言ったが、俺は元に戻る保証はないとも言ったぞ?」
「じゃあ私が康祐をどう思っているか聞く必要ありましたか!?」
あるから聞いたんだよ。なきゃ聞かない
「あるから聞いたんだよ。それに、篠崎が好きならどうして別に彼氏を作ったんだ?篠崎に告白したらよかったじゃないか」
篠崎が好きなのに他に彼氏を作る意味が理解できない。女心って複雑なのか?
今回は教室から校舎裏まででした
小学生の異性へのちょっかいならともかく、高校生のちょっかいってシャレにならない部分があるから怖いです
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