目が覚めたら女性の部屋だったんだが?
初めまして、謎サト氏です!
今回から始まった「俺が異世界転生を拒否した結果・・・・・」ですが、主人公のハーレム、チートはありません。異世界での大冒険も特にないです。じゃあ、何があるのか?それは読んでのお楽しみです
では、どうぞ
ここはどこだ?見た限りじゃ女性の部屋っぽいけど……そもそも、いつの間に俺はこの部屋に来た?俺は学校から家へ帰る途中だったし、寄り道をした覚えは全くない。つまり、俺がこの部屋にいる事自体が変だ。っていうか、俺はここへどうやって来たか覚えてない。どうやってこの部屋に来た?誘拐されたか?それとも無意識のうちに忍び込んだ?ダメだ!考えてもわからない!
「ここどこだよ……」
俺、白石洋平は困惑していた。だってそうだろ?いきなり意識を失ったと思ったら知らない部屋にいるし、周囲を見回したら女性の部屋にありそうなぬいぐるみや化粧台から誰の部屋かはともかく、この部屋の主は女性である事くらいはわかる。いやむしろそれ以外にわかる事がない
「白石洋平さん、あなたは死にました……」
キッチンから戻ってきたであろうエプロン姿の女性からいきなり死亡しました宣言。うん?今なんて言われた?死んだ?誰が?俺?いやいや、交通事故に遭った覚えも病気になった覚えもないし、死につながるようなケガをした覚えもない。俺はいつ死んだんだよ?っていうか!俺は死んでない!きっと意識を失い倒れていたところをこの人がここへ運んだに違いない!それでもちょっと無理があると思うけど!
「冗談にしては質が悪すぎると思うんですけど?本当は俺が道で倒れてたところをあなたがここへ運んできたんですよね?」
冗談だと、道で倒れてたところを運んで介抱していたと言ってくれ!!死んだとか嘘だよな?
「いいえ、本当です。あなたは死にました」
目の前の女性は先程と同じく俺が死んだと言ってきた。しかし、全く持って信用できない。だからと言って俺にそれを確認する手段がないわけではないが、多いとは言えない。手がないわけじゃない。確認してみるか
「俺が死んだとして、死因は何ですか?事故死ですか?病死ですか?衰弱死なんて言いませんよね?」
「あー、いやー、そのぉ……何と言いますか……えっとですね」
目の前の女性は若干言いづらそうにしている。俺の死因ってそんなに言いづらいものなのか?通り魔に襲われたとか?それとも、雷に打たれたとかか?
「何ですか?俺が死んだと言うなら言ってください!」
目の前の女性は俺が死んだとか笑えない冗談を言って来たんだ。つまり、この人は俺がどうやって死んだか知っている。ならば答えは簡単だ。死因を言ってもらおう
「────です」
「え?何ですか?よく聞こえなかったんですけど?」
聞こえなかったので俺は聞き返す。そんな蚊の鳴くような声で答えられても困る。答えるならちゃんと答えろ
「ですから!─────です」
やはり聞き取れない。やっぱり、俺が死んだって言うのは嘘か
「よく聞こえませんでしたが、俺が死んだってのは冗談でしたか」
俺が死んだのはこの人の冗談だったと一安心した。初対面でいきなり死んだとか言われても現実味がない
「ですから!!あなたが死んだのは私のせいなんです!!」
「は?」
俺は死因を聞いたのであって、誰が悪いとかを聞いたつもりはない。っていうか、どうして俺が死んだのはこの人のせいになるんだ?
「もう一度言わなければいけませんか?」
「いや、さっきのは聞こえてましたよ?じゃなくて、どうして俺が死んだのがあなたのせいになるんですか?俺達は初対面のはずですよね?」
少なくとも俺はこの人を知らない。身内にこんな人いたか?いや、いないよな?
「確かに白石さんとこうして会うのは初めてですけど、私が見るのは今日が二回目です」
なるほど、俺と直接会ったのは初めてだけど、この人は俺を見ていた。って事は違う学校の女子?でも、見た目が二十代前半だから高校生の俺からしてみれば女子って言うよりは女性なんだが、俺の知り合いにはいないぞ?つまり、この人はアレだ、俺のストーカーだ
「ああ、俺のストーカーですか」
「ち、違います!私は神です!」
俺が死んだと言った次は神ですか……この人は冗談が好きだな
「冗談ですか?」
「違います!」
ふむ、冗談じゃないのか……
「じゃあ、ドッキリ?」
「ドッキリでもありません!」
冗談でもなく、ドッキリでもないのか……じゃあ、俺は本当に死んだのか?
「俺が死んだのが本当だとして、俺はどうして死ななきゃいけなかったんでしょうか?」
「そ、それは……えーっと……」
「はい」
「白石さんが死ななければいけない理由ですよね?」
「はい」
神様であり、俺が死ぬ理由がちゃんとあるのなら言えるはずなんだけど、さっきから俺と目を合わさずに目が泳いでいた
「し、知りたいですか?」
「当たり前です。俺は特に悪い事をした覚えもないんで教えてくれると助かります」
「わ、私が……」
「はい」
「わ、私が……酔っぱらった勢いで酒瓶を下界に投げてしまい、白石さんがその酒瓶に当ってしまったせいで死にました……」
は?え?えぇぇぇぇぇ!?何?俺が死んだのって酒癖の悪い神様が投げたものが当って死んだの!?
「…………」
衝撃の事実に俺は言葉が出ない。こういう時ってなんて言えばいいの?ふざけんなとか?
「あ、安心してください!今回の件に対する救済処置は用意してありますから!」
「はあ、何ですか?その救済措置って」
そりゃ自称神様なんだし?俺が死んだのだってこの人の酒癖の悪さが原因なんだし?当たり前だよな?
「あなたには異世界に転生してもらいます」
なるほど、救済措置って異世界転生だったのか……そんなの決まっている
「お断りします」
「そうですか、断わり────ってええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
何をそんなに驚いているんだ?元の世界で死にました。救済措置として異世界に転生させます。そんなのお断りだよ!!
「何をそんなに驚いてるんですか?当たり前でしょ?」
「いやいや、異世界ですよ!?大半の人が喜ぶ異世界転生ですよ!?どうして拒否するんですか!?」
大半の人間はっていうか、小説の主人公だったら受け入れるだろうが、生憎と俺は神様の間違いで死にました。じゃあ、異世界でやり直してくださいと言われてはいそうですかと受け入れるほど短絡的な思考じゃない
「いや、あなたが神様だっていうのもまだ信じてないのにそんな人から異世界に行ってくださいとか信じられるわけないでしょ?」
と、いうか、この人は人間の死について軽く考えすぎじゃないのか?
「ち、チート能力も付けますから!」
「お断りします」
「じゃ、じゃあ!ラノベの世界とかアニメの世界に転生させてあげますから!」
「お断りします。異世界とかラノベの世界とかアニメの世界じゃなくて元の世界に帰してください」
別の世界に転生させるくらいなら元の世界で病院のベットで目覚めた方がまだマシだ。
「できません……神の掟でそれは不可能なんです……」
自分の酒癖の悪さで人を殺しておいて元の世界に戻せませんとは……だが、俺は異世界に転生する気はない!大体が俺はまだこの人が神様だっていう証拠を見せてもらってない
「大体、俺はまだあなたが神だって証拠を見せてもらってないのですが、神様だって言うなら証拠を見せてください」
「しょ、証拠になるかどうかはわかりませんが……」
そう言って神様(自称)は昭和のテレビを点けた。部屋の雰囲気とテレビが合ってないのはツッコまないでおこう
「証拠として俺にテレビを見せて何としますか?」
点けたテレビ映し出されていたのは公園でボール遊びをしている二人の男の子の様子だった。これが決定的な証拠にはならない
「ち、違います!本番はここからです!」
「はあ……って危ない!!」
二人の男の子が遊んでいたボールが道路へ出てしまい、それを二人の男の子の片方が取りに行った。そして、ボールを取ろうとした男の子の元へもの凄いスピードのトラックがやって来た。ドラマとわかっていてもつい叫んでしまう
「えいっ!」
神様(自称)がテレビに指を差した瞬間、トラックの前に木が倒れてきてトラックが寸前のところで停止した。よかった……男の子が無事で
「は?」
「これで信じてもらえましたか?」
テレビに映った危機的状況を画面に指差しただけで回避させる事なんてマジシャンでも無理だ。単なる偶然と言ってしまえばそれまでだが、偶然ボールが道路に出て、偶然トラックが猛スピードで走って来て、偶然木が倒れてきてトラックが停止。偶然にしては出来過ぎている
「はあ、とりあえずは信じます。ですが、俺は異世界に行くつもりはありませんよ?」
神様だって事は信用したとしても俺は異世界に転生する気はない
「ふ、複数の女性を侍らす事ができたとしてもですか?」
ハーレム状態は男なら一度は夢見るシチュエーションだが、俺はハーレムを作る気はない
「そうだとしても俺は異世界に行くつもりは毛頭ありません!」
「そ、そんなぁ……」
俺の回答を聞き、泣きそうになる神様。当たり前だ。神様の間違いで死んだ事だって納得していない
「それよりもアレは放っておいていいんですか?」
「へ?アレ?」
俺が指差したテレビには先程とは全く違う場面が移し出されていた。ファンタジー感満載だが、見るからに勇者側がピンチな状況だった
「あの勇者と魔王の戦いで勇者側がピンチなんですけど……アレって放置していいんですか?」
「どどどどどどうしましょう!?」
神様は動揺しまくっていた。俺としては勇者がピンチに陥り、そこから何らかの力を得て魔王を倒す。この後の展開が読める分、動揺している意味がわからない
「いや、勇者が何らかの力を得て魔王を倒す展開が手に取るようにわかるんで放置でいいんじゃないですか?」
「あ、あの人は転生者なんです」
「はあ、転生者って事はチート能力とかあげたんでしょ?なら平気じゃないですか?」
あの勇者が転生者だって事はこの人に会ってチート能力の一つでもあるはずだから心配しなくても平気だと思うんだけど
「そ、それが……確かにチート能力を授けました。ですが……」
「ですが、何ですか?」
「ま、魔王の方がその能力を遥かに上回るくらいに強くてですね……」
「はあ、そうですか。じゃあ、あなたが直接勇者の元へ行って何らかの力を渡せばいいんじゃないですか?」
「そ、それが、私がいない間に死者が来たら案内する人がいなくなってしまうのでここから離れられないのです……」
神様って言うのも大変なんだな。だが、この勇者に力を与えなければこの世界が滅んでしまうわけだ。が、神様はここから離れられない。どうしたものか……
「じゃあ、どうするんですか?」
「し、白石さん!あなたが行って来てくれませんか?」
「え?でも、俺は異世界に転生する気なんてありませんよ?」
「この方に力を授けたら帰って来て構いませんから!お願いします!」
「は、はぁ、それなら構いませんけど……」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ」
「で、では、こちらを勇者の元へ届けてきてください」
俺は神様から身の丈程ある大剣を受け取った。大剣って割に軽いけど、こんなのに魔王を倒す力なんてあるのか?
今回から始まった「俺が異世界転生を拒否した結果・・・・・」でしたが、主人公のハーレム、チートはありません。というか、主人公がハーレムにもチートにも興味がないから当たり前ですが・・・・この作品は異世界にちょっと行って届け物等をして戻る作品となっております
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今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!