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母の絵物語

割り込み失礼します!!

本編にも入れたかった!!




 ほんの少しだけ昔、僕の母は「迷いの森」に迷い込んだ事があるらしい。

 そして母は幼い僕の為に絵物語を作った。

 僕は母の語る物語の世界に憧れを持った。




 母の描いた絵物語の表紙には黄色の月と、森に囲まれた湖に、青い蝶が舞っている絵が描かれていた。

 表紙を開くと、最初のページには紺色の美しいワンピースを着た少女が描かれていた。

 少女の表情は何処か儚げで、寂しげだった。

 僕はきっとこの時から、絵本の中の少女に淡い恋心を寄せていたのかもしれない。

 まだ文字が上手く読めなかった僕は、母に良く寝物語に読み聞かせをせがんだ。






『ずっと昔、人がまだ王様に統治されていた時代の話です。

 罪を犯した少女は森に迷い込み、逃避する様に自らの時を止めました。

 そして少女が時を止めた湖では青い蝶が生まれました。

 少女はそれから森に迷い込み、青い蝶に導かれてやってくる旅人や、村人と交流を持ちました。

 少女は一人一人と交流を持ち、時間の止まった空間で悩みを解消し、時に願いを叶え、時間を与えました。

 ()()はいつからか、少女の中で「贖罪」となりました。

 少女は時代に一人置いてかれた様に、見た目も中身も歳を取りませんでした。

 不思議と少女の居る湖に辿り着くのは人生の分岐点に居る人間だけでした。

 それからでした。

 今にも消えてしまいそうな程曖昧な姿であるにも関わらず、少女のいつまでも変わらない姿や、湖から離れずに存在し続ける事から少女は「湖の精霊」として伝説になり、御伽話として作られ残されました。

 そして、少女が迷い込んだ森は「迷いの森」になったのです。』






 僕はいつもここで寝てしまう様で、母に良く言われていた。


「あなたのイメージする迷いの森は綺麗ね

でもね、これにはまだ続きがあるのよ」


 困った様に母は笑っていた。






『それから時代が流れ、少女の話を聞いた迷い人の一人は少女と、ある約束をしました。

それは――――――……




 いつか少女も迷いの森から出る事、でした。




 迷い人を助け続ける立場にあった少女から迷い人に届けられた「助けて」と言う思い。

 この時、約束をした迷い人はやっと気付いたのです。

 少女も自分と同じ「迷い人」の一人である事に。』






 絵本の最後のページを(めく)りながらここまで語った母が、僕の頭を優しく撫でながら言い聞かせる様に口を開きました。


「この続きはおじいちゃんの日記に書かれてるわ

絵本の中の女の子との約束を果たして、ちゃんと最後まで見届ける気があるなら、おじいちゃんの日記を探しなさい」


 母のその言葉は僕の心によく響き、忘れられない一言になった。




次回もきっと割り込み!


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