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領主館


 領主館のすぐ近くには、日差しをほどよく遮る噴水公園がある。


  目の前には石材で円形に囲まれた人工池。 その中央には石を削って作ったちょっと大きめの女神像が建っており、女神像を取り囲むようにその周辺から水が湧き上がっている。


 日差しを遮る木々は領主館二階の執務室からは、ちょうど死角になっており、その木陰には切り出した丸太を真っ二つにして足をつけただけのベンチがある。


  ベンチに腰掛けると、木々の隙間から覗ける領主館の姿が見える。


 磨き上げられた大きめの出窓があり、その向こう側には執務室がある。


  ただ、残念なことにこの窓ガラスにはいつも真紅のカーテンで遮られていて、ここからはもちろんの事、壁をよじ登っても窓越しからは、中を伺い知ることはできない。



 (何故かわからないけれど、いつもカーテンで覆われているなんて不思議だよね)

 

 

  噴水公園の目と鼻の先、灰色の掘りに囲まれた赤いレンガの建造物、まさに! ザっ領主館。そう領主館がある。

 

青い街並みに赤いレンガの建造物。 頭一つ分おおきく突き出ているから当然目立つこと間違いなし。

 

  西日が眩しくなってきて夕方から夜に変わろうする時間帯だ。



 領主館のすぐ近くの公園という事で、領主館に用がある人達が待ち時間のために時間をつぶしていたり、領主館の職員らしき人が休憩のために利用したりしていた。


 あたしはというと、怪しまれないように服装を何度かか替えて、この公園からスクルージ氏との取引のチャンスをうかがっていたのだ。


 もっとも、あたしみたいなアウトローが取引のために相手の時間に合わしたりする必要は全くないのだけれどやっぱりねぇ、引き続き依頼をもらったりするのには印象って大事じゃない?


  だからあたしはこうして日がな公園にいたんだけどね。


  でもさ、不思議な事に領主であるスクルージ氏が領主館から一歩もでてくる気配がなかった。




(別に、そんな事はどうでもいい。 ぶっちゃけて言えば、引きこもりの領主様でいいんじゃない)


(あたしにとっては報酬さえもらえればそれでいい)



そんな事を考えながら、ジャケットの直ぐ下、胸の谷間に挟んであるアサルトドアの書を確認しながら一言、


「そろそろいいかしらね」

呟く。





足下は深紅な絨毯に覆われ、出入り口から見て正面には硬質で重厚な漆黒の執務机。頭上高くに豪華で眩しく煌めくシャンデリアが数個吊されている。


 深紅のカーテンに覆われた出窓が二つ。一つが執務机から少し離れた真後ろ。


 もう一つが調度品を並べてある棚の向かい。執務室といったら狭い部屋というイメージだけれど、スクルージ氏の執務室は異様な広さだ



 異様な広さだけれど、調度品と、執筆机だけ。

 もしかしたら、中央にあるハズのソファーとテーブルがないから、こんなにも広く感じさせるのかもしれないけど。


  スクルージ氏への面会の約束は取っていない。

「待っていたよ」




  執務室の扉を開けて足を踏み入れたと同時、透き通るような穏やかで柔らかな口調で向かえられた。


 あたしは悪い事をしたわけでも、このスクルージ氏から何かを盗ろうとしているワケでもない。


 正面の扉を開いて堂々と中央を通って執務机にどっしりと構えるスクールジ氏に向けて足を運ぶ。 


 初めてこの執務室に足を踏み入れたのは依頼の話を受けに来た時だ。



 確かこの時は、執筆机の前に応接用のソファーとテーブルがあった


 大掃除でもしたのかしら? それとも、ただの模様替え?


 外は既に日が沈み込んでいて、外からの明かりはない。 外からの街頭の明かりはカーテンに遮られている。


 昼間のようにとはいかないけれど、本来真っ暗であろう執務室は夜である事を感じさせないくらいに明るい。



スクルージ氏に会うのはこれで二回目になるんだけれど、初めてスクルージ氏に対面した時にこのスクルージ氏はあたしにあったかのような事をいってきた。





 あたしは、スクルージ氏に会ったのは、そのときがはじめてだったんだけど、ドコかであったのかな? それとも人違いだったりとか。





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