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jorF003スクルージディスコニアンの治安

テーブルの上にはキンキンに冷えた白い液体が透明なマグカップに注がれていて、よくみれば透明な氷がプカプカと浮いている。


  湯上がりで火照った身体を冷やす定番といえば、瓶にはいった生乳だよね。


首にタオルをかけたまま腰に手を当てて口元に運んだ瓶を傾けての一気飲み! 湯上がりの醍醐味といったらばコレなんだけど、せっかくお高いホテルに泊まって贅沢してるんだから、口に入れるものも贅沢したいじゃない?



 スクルージディスコニアン産の超濃生乳。飲食店や酒場でもこの生乳はメニューに載る定番中の定番。

  その定番メニューも当然、お高いホテルでも用意してくれるからありがたい。


明かりのない街並みは闇色の帷に覆われ、ホテルから一望できるガラスは天然の姿見に変わると、あたし肢体を写しだす。

張りのある大きめの二つの乳房に引き締まったお腹とくびれ、大き過ぎない小振りなおしり。

 

大きめの瞳に長いまつげ、毎日のケアはキチンとしているからシミもデコボコもない卵のような肌、薄くて小さめの唇にキュッとした小顔。

 ちょっと前に立ち寄った酒場では、スタイル抜群の踊り子に間違われてしまった事もある。




湯上がりなので髪の毛はまとめていないけど、ある程度の水気を拭き取ってそのままだけど、紅色の髪が腰までを覆う。


 天然の鏡越しに自分の身体を写し込んで入念なチェックを行う。


 端からみたら『』全裸で何してるの?』 と思われるかもしれないし、もしかしたら覗き魔がいてガラス越しに写るあたしを覗いているかもしれないけれど、このスクルージディスコニアンでは、そんな犯罪行為に対しては心配は全くしなくても大丈夫だ。


 なぜならば、このスクルージディスコニアンはアースキャニオンの中で、もっとも景観がよく治安が安定している。


ちょっと露出が多い服装での猛アピールをしながら街中を歩いていてもおそわれることは全くない。


 それもこれも、このスクルージディスコニアンの領主であるスクルージ氏の手腕のおかげだ。



まあ、それで今回このスクルージ氏、(町や領地の名前が領主の名前になるのは、アースキャニオンでは通例だ)からの依頼でアサルトドアの書を回収して、明日はスクルージ氏に渡して……

自然と顔の筋肉が緩み、だらしない顔がガラスに写り込んでしまう。


キンキンの超濃生乳をのどを鳴らして飲み干す。



夜には夜の景観があるスクルージディスコニアン、昼間であれば青一色の町並で目を惹かれてしまうけれど、 闇色に深まりゆくガラスの向こう側では町並から溢れる光が僅かではあるが、星空のように瞬く。


 それもそのはず、このスクルージディスコニアンは湖畔と巨大な女神像で有名な地域だ。


だから当然、地上の星空は僅かしかなくて、夜の町並がとても静かで寂しく感じてしまう。


 小さな星空を瞬きながら流れる流星は、魔導機関車の明かりであり。既に見えなくなっている湖畔の向こう側には、このスクルージディスコニアンのシンボルである女神像が灯台の役割を果たすために、胸元から溢れる灯りを絶えず振りまいているのだ。


もっとも、こんな事は知らなければそのままだし、あたし自身それを知ったのはたったの今だったりする。


 スクルージディスコニアン発行のガイドブックを捲りながら、二杯目の超濃生乳を味わう。


 (これが、依頼ではなく自由気ままな観光であれば、楽しい時間が過ごせたはずなのに、依頼であるから仕方がない)



スクルージディスコニアン発行のガイドブックを閉じると、全裸のままベッドへと身体を滑り込ませる。 全裸といっても、乳首やその他の局部をそのままにしてしまうと、こすれて痛くなってしまうし黒ずんでしまうので、シールを貼っている。


綺麗な身体を保つには、こういった小さな積み重ねが必要なのである。

(だって乳首がくろずんでしまったらイヤじゃない?


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