幕間編その5 【作戦開始。でもやりたくない】
ネミラの村の住人は人間というよりも、伝説上の生物。エルフと言ってもいい。ホッソリとした体型に身長は高かったり低かったり。でも高い身長のエルフの方が圧倒的に多く。陶器みたいに白い肌に、長く先端が尖った耳。男性も女性も全員すごく若々しい。 年老いた人という人が1人も見受けられない。
あたし達はこの村へ迷い込んだ。という設定でその辺をブラブラする。
小な一軒家の前で雑談する近所同士の大人。手を繋いで仲睦まじく歩くカップル。子供同士のなんだかワケのわからない遊び。
耳をそばだてると、聞こえて来る声はあたし達と同じ言葉。透き通るような声から、鈴の音のような声、ケイオス団長のようなドラム缶とまで行かないけれど威勢のいい野太い声。
でも、不思議な事に私達がこの村に居ても、エルフの人達が気にする素振りが全く見えない。あたし達の事が見えていないワケでは無いはずだし、頭を下げてお辞儀をすれば、お辞儀を返してくれる。何気なく話し掛けても気さくに応えてくれる。
なんだか、ほのぼのとしている。
正直、このエルフの人達と戦うというのは避けたい。 いくらエルフとはいえ意志を持ち生きているし、見た目、あたし達と同族、人間と同じ。それに、満月の夜にしか出現出来ないのならばなおさらだ。
そんなこんなで、ネミラの村を歩き周り、休憩ができそうな東屋でエルフの人達の様子を眺めながら、物思いに耽る。
(ケイオス団長とパゲレス、ロージも同じ考えであったらすごく嬉しいんだけどな)
「賊だ!賊が現れたぞ」
この声。パゲレスさんの甲高い声。
「キャー助けて〜」
ロージさんの声。
始まった。
―ボン―