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ある人外さんのお話  作者: 狐月鏡
第2章 女の子と水色ドラゴンとのお話
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第7話

「って寝ちゃダメだよ!」


ルイはガバッと飛び起きそう叫んだ。確かにそのまま寝てしまったら人化が解けてしまい、宿が潰れるだろう。危ないところだった。


「とりあえず洞窟に戻るか…」


ルイは洞窟に転移で戻り人化を解除してドラゴンになった。そしてその場に丸まって寝た。



―――――――――



「知ってる天井だ…」


当たり前だ。ルイはのそりの起き上がるとそのまま人化し、宿のルイの部屋に転移する。部屋の窓の外を見ると、日が昇る前で空は少し暗いが道には人が行き交っているのが見えた。仕事熱心なことだ。しばらく眠気を残してぼーっとしているとトントンとドアが叩かれた。ルイはほっぺたを叩き目を覚ますとドアを開けた。


「おはよー。朝ごはんだってー」


ドアの前にはソフィアが立っていた。朝ごはんらしい。早速ルイとソフィアは1階の食堂に降りていった。


「ルイちゃんソフィアちゃんおはよう今日も2人とも可愛いわねん」

「おはよーマスター」

「ははは…」


相変わらずのマスターのオネェさに呆れながら空いている席に着く。すると従業員が朝ごはんを持ってきた。見た目、従業員はオネェではないようだ。しばらく朝ごはんを黙々と食べているとソフィアが「今日はどうするの?」と聞いてきた。


「今日はギルドに行って登録しようと思う」

「おおー」

「ソフィアはどうするの?」

「うーん。あの貴族のこともあるし一緒に行こうかな」

「危ないんだから無理に外に出なくてもいいんだよ?」

「えーやだつまんない」


ルイたちはそんなことを話した後「「ごちそうさま」」と言って席を立つ。この世界にもいただきますとごちそうさまは浸透しているらしい。



―――――――――



「「いってきまーす」」

「「「「「いってらっしゃーーーーい」」」」」


宿の食堂にいる大勢のお客さんから見送られてルイたちは妖精の家を出ていった。2人ともかなりの美貌なので早速人気者だ。何度もいうがルイは男である。それを知った時どんな地獄が見れるのか楽しみだがルイはそんなことしなかった。


朝の街道を歩いていく。昨日とはまた違う声が飛び交っており、活気がある。時々ルイたちにみとれたりする男がいたりしたが、ソフィアに睨まれ目を逸らしていた。ソフィア強い。


しばらく歩いていると石と木でできた二階建ての大きな建物が見えてきた。大きい看板があり、2本の剣をクロスさせた絵が描いてある。ルイたちはその建物の中に入っていった。中はすごく込み合っており、ちらほら喧嘩の声も聞こえる。右の方は酒場になっているようで、朝ごはんだろうと思われるものを食べている人がいた。ルイたちは混んでいないおそらく新規登録のための受付だろうと思われる受付の方にルイたちは向かっていった。


「こんにちは」

「こんにちは。依頼ですか?」

「あ、登録ってできます?」

「はいできますよ」

「じゃあそれでお願いします」


受付の人は茶色の長い髪を一つの三つ編みにした愛想のいい美人さんだ。受付の人は美人というテンプレも見事に当てはまっている。受付の人は登録と聞いて奥から機械のようなものを持ってきた。


「まず、この機械に指を入れてもらえますか?少し痛いかも知れませんが我慢してください」


機械には指を入れると思われる穴がある。ルイが指をその穴に入れると、チクッっと痛みがはしった。血を採取したのだろう。すると機械が青くひかり、何かカードのようなものが出てきた。


「これに名前と年齢の記入をお願いします。あ、文字は書けますか?」

「えーっと代筆でお願いします。」

「では名前と年齢を教えてください」

「名前はルイで、歳は17歳です」

「……はい。これで完了です」


すると突然、横で見ていたソフィアが前に出てきて小声で受付の人に何かを言った。すると受付の人はルイを驚愕の目で見てきたあとに、急いでカードに何かを書き直していた。そして奥に行きカードを職員と見られる人に渡してからまた戻ってきた。


「で、ではギルドについて説明します。


ギルドに登録している印としてギルドカードというものがあります。それは…あ!門を通る時にもらった通行証ありますか?あれがないとギルド登録してはいけないんでした!」

「あ、はいあります。…どうぞ」

「ありがとうございます!!」


受付の人はまた奥に走っていき先ほどの職員と見られる人に通行証を渡していた。少しおっちょこちょいな人みたいだ。ふと周りを見ると半分くらいの人たちが暖かい目で受付の人を見ている。いつものことみたいだ。ところどころに熱い視線でみている男もいることから、結構もてているのかもしれない。あのおっちょこちょいさが保護欲をかきたてるのだろうか。そんなことを考えているとぱたぱたと受付の人が戻ってきた。


「すいませんでした!」

「いえ、大丈夫ですけど…」

「それは良かった……こほん。では改めて。


ギルドカードは持ち主の身分証明と自分のステータスを見ることができます。ステータスを見るには血をギルドカードにたらせば、文字が浮き出てきます。なくすと再発行のために銀貨1枚必要です。いまギルドカードを発行していて、作り終わるのに少しかかるので、昼頃にまたここに受け取りに来てください。


次にギルド内でのランクについてです。ランクは上からSABCDEFGランクとなっており、最初はGランクからスタートです。が、Gランクは戦えない人のためにあるもので戦えるとわかった時点でその人はFランクです。Gランクは子供などのためにあるようなもので、基本薬草の採取など非戦闘の依頼しかありません。戦えると証明するためには職員に証明するという旨を伝えてもらい、職員に対して模擬戦をしてもらいます。職員が大丈夫だと判断すれば、晴れてFランクとなり、戦闘系の依頼も受けられるようになります。ランクの上がり方ですが、例外もありますが基本ランクアップ試験というものがあり、それに合格することでランクが上がります。


最後にギルドのルールです。ルールは3つあり、ギルド内で武器や魔法の使用は禁止、依頼人に対して乱暴にしない、依頼に関すること以外のことに対してギルドは一切責任を持たないというものがあります。


説明は以上ですが、何か質問はありますか?」

「あのー魔物などに対する知識などはどこで調べられますか?」

「それについては2回が資料室となっており担当にギルドカードを見せれば利用できます。ギルドカードをもらってからになるのでまだ利用できませんね」

「ありがとうございます。質問は以上です」

「では昼頃にまたいらしてください」


ルイは受付から離れ、酒場の方にソフィアを連れて向かった。空いている席に座るとソフィアが質問してくる。


「これからどうするの?何か依頼受けるの?」

「いや、これから職員さんに戦える証明をしたいんだけど、その前に武器屋でも行ってなんか武器買ってこようかなと。」

「武器持ってなかったの?外から来たんでしょ?どうやって外で過ごしてたのよ……あ、すいませーん!コーヒー2つくださーい!」

「えーっと…なんか戦わないように逃げてた?」

「いや私に聞かないでよ…」


ソフィアは呆れながらルイを見る。ルイは道中魔物に会ったら殴ったり蹴ったりして倒していたが、そんなこと人間ではできないだろう。もしそんなことを言ったら頭おかしい人認定を受けてしまいそうだ。そんなことルイは絶対に避けたいので、道中では魔物から逃げていたことにした。


少しの間、届いたコーヒーを飲みながらゆったりしていると、男3人組がこちらに近寄ってきた。


「お嬢ちゃんたち俺らのパーティに入らない?」

「俺らDランクパーティなんだぜ」

「君たちギルド登録したばっかりでしょ?入った方が安全に仕事できるよ?」


パーティの勧誘のようだ。まあルイにはパーティに入る気はさらさらない。なのでどう断ろうかと悩んでいると、ソフィアが急に立ち上がり男達に向かい合った。


「何言ってんの?なんで私たちがDランクなんてのパーティに入らなきゃいけないのよ。一応私はBランク冒険者よ!」

「「「Bランク!!??す、すいやせんでしたぁぁ!!」」」


男達は走ってこの場からいなくなってしまった。


「ソフィアって強かったんだね。」

「全然。カリーナも守れない弱小者よ。あの時は武器を持っていなかったのにムキになっちゃって、ルイが来なかったらカリーナが取られていたかもしれないもの」


ルイは苦笑しながら「まあ、とりあえず出よう」と言ってソフィアと一緒にギルドを出た。ちなみにカリーナは外には連れていけないので宿でマスターと一緒にお留守番している。マスターといれば安全だろう。あの人は宿屋をやる前はAランク冒険者で、ブイブイ言わせてたらしく「あの頃も楽しかったわねん」とのこと。



ルイたちはギルドを出たあとソフィアの案内で武器屋に行った。着いたのはこじんまりとした小屋のような家で、到底武器を売っているようには見えない所だった。ソフィア行きつけの店らしい。ソフィアは何のためらいもなくドアを開け放ち、「サージさん来たよー!」と叫んだ。そのまま中に入っていくのでルイもおそるおそる中に入っていく。部屋の中には剣やら槍やらいろいろな武器がただ敷き詰められており、店…というより物置のような感じだ。少ない歩ける場所をソフィアが慣れたふうですいすいと歩いていき、カウンターらしき場所の前で止まった。カウンターらしきものに肘をつき、「相変わらず汚いわねー」と言いながら店主と思われる人物を待っている。


しばらくの間ルイがソフィアの後ろであたりに散らばっている武器などを見ていると、「はいはいお待たせー」と言いながら奥から小さいおっさんが来た。褐色の肌に筋肉が見てわかるほどついている。よくファンタジーで見るドワーフとまるっきり同じ容姿をしていた。


「これが頼まれてたやつだね」

「うん!ありがとうサージさん!」


この物置(みせ)の店長ーーサージさんはソフィアに翡翠色の綺麗な弓を渡していた。見た目から見て高そうだ。


「その弓は?」

「私の大切な相棒よ。サージさんに修理してもらってたの。糸が切れちゃって。」


そういってソフィアは弓を大事そうに撫でる。弓の触り方からして相当大切にしていそうだ。


「ソフィア嬢、その子は一体誰だい?」

「ルイよ。友達なの」

「おお。遂にソフィア嬢にも友達ができたのか…ルイ嬢、ありがとう」

「い、いえ…?」

「ちょっと!なによこれまで友達がいなかったみたいに言って!」

「これまでに友達を連れてきたことがあったかい?」

「っ…ない…けど」

「ほらね。それにソフィア嬢なら仲がいい友達ができたらここに連れてくると思っていたからね。君が第1友達だよ。本当にありがとう。…えーっと…ルイ嬢、なにか僕に用はあるかい?」


ソフィアいじめが始まり、ルイがついていけてないと察知したサージさんがちゃんとルイに話題を振ってくれた。周りの見れる大人だ。かっこいい。まあルイを女の子と見てしまっているが、それはしょうがない。


「ああ、えっと…俺は冒険者になったばかりで、戦えるように何か武器があればと思いまして…」

「なるほど…今まで何か武器を持ったことはあるかい?」

「すいません、ゼロです。」

「ふーむ。ならば1番扱いやすい片手直剣にしてみようか。」


そういうとサージさんはあたりに散らばっている武器を眺め始めた。

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