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ある人外さんのお話  作者: 狐月鏡
第1章 転生したお話
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第2話

プロローグと第1話をちょこっと変更しました。

…………なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!


尻尾、翼がありすべて銀色の鱗で覆われており、四足歩行である。この地に降り立った時に妙に視点が高くなったように感じたのは姿形が変わったためだったようだ。


あーこれってファンタジー系でよくいるドラゴンってやつじゃね?ってかなんでドラゴン?人間じゃなかったの?


急に自分の姿形が変わったら誰でもそうなるだろうから、月希が混乱するのもしょうがないだろう。月希は混乱しながらも何故こういう状況になったのかを考えた。すると一つの答えに辿りつく。神様に願った【あとは平穏に暮らせて誰にも邪魔されないようにお願いするくらいだな。】という言葉だ。確かにドラゴンになれば生きるのを邪魔する者(主に人間)は一気に少なくなるだろう。それに同種のドラゴンにも邪魔されないとなるとドラゴンの中でも上位の存在になり、邪魔をするとなれば神などでない限り不可能に近い。月希は人間になりたかったがドラゴンの生活にも興味があったので気にしないことにした。


まあなんとかなるだろ。


この考え方である。楽観主義といえば聞こえはいいが、本質は考えるのが面倒臭いというだけだ。マイペースとも言えるが。とりあえず月希は最初の行動としてこの場所から移動することにした。見渡す限り草原しかなく終わりが見えないが、ドラゴンになった今、空を飛べば長距離を移動することになんの支障もないだろう


…………飛べるのかな?子供の頃空飛ぶのが夢だったんだよなー。

翼を動かした時に浮く感じになったからもっと強く羽ばたけば飛べるんじゃね?

よしやってみよう。


そう思いながら月希は実際に翼で羽ばたいてみる。すると体が宙を浮き、完全に地を離れた。


月希はそのまま羽ばたき続け雲がある層の少し下まで来ることができた。そうすると地上にいた時に比べ視界が広がり、奥にうっすら森があるのが見える。月希は森の方に体の向きを変え、森に向かって進み始めた。銀色の体はまるで空気を切り裂くように飛び、後ろでは雲がかき混ぜられている。


風がきもちー!



――――――――――――



森の上空についた。日はすっかり傾いていて、空から見る夕日は地上で見るより数段綺麗である。月希はそんな綺麗な光景に充分見惚れたあと着地する場所を見つけにかかった。しばらくすると森の中に木がないところを発見した。空から見ると十円ハゲのようだ。月希は十円ハゲに着地するとずっとやってみたかったことをし始めた。


よし実験しよう!何をするかって?それはドラゴンの代名詞、龍のブレスだ!


そう。龍のブレスである。月希が最初にドラゴンになった時に最初に頭に浮かんだのがこれで、はやくやりたいとむずむずしていたのだ。月希は標的となる岩を持ってきて、早速実験を始めた。


息吹きかければできるのかな?


ふー


ドガァァァァァァン


岩が粉砕された。しかしそれはブレスではなくただの吐息のよってである。中身が人間でも姿は上位のドラゴン。ただの吐息で岩を跡形も消すことは雑作もないことだったのだ。そんなことが分かっても月希は、ブレスが出来ない事に落ち込むのだった。


もしかしてブレスができない種族とかないよな…考えないでおこう。


困った時の思考放棄である。時空魔法のことなどやることがいっぱいあったが月希は今日は寝ることにした。日はもう既に沈み、あたりは暗くなっている。月明かりで月希の銀色の鱗がきらきらと輝いていた。



――――――――――――



次の日


まぶたの外がやけに騒がしかった。月希がなんだろうとゆっくり目を開けてみると周りにたくさんの緑の小人が。醜悪な顔をしておりギャアギャアうるさく鳴いている。ファンタジー系の物語に出てくるゴブリンそのままの姿だ。ところどころに二足歩行トカゲもいる。多分リザードマンだろう。この世界は剣と魔法の世界であると神様が言っていて、魔物がいても格別おかしいことではない。月希はそれを忘れ、堂々と外で寝ていたのだ。もし月希がドラゴンでなかったら既にとって食われていただろう。


ファンタジーの世界に来たんだなぁ


そんなこと考えてながら改めて異世界に来た実感をいだいていると、ゴブリンたちが一斉に攻撃してきた。


あーもうやかましい!


ギャアアアア!!!


月希はその場で一回転し、尻尾を魔物達に叩きつけた。上位のドラゴンの攻撃に下位の魔物が対抗する術を持っているとは考えられず、魔物達は無残な死に追いやられた。これで月希に弱いと思われてもゴブリンたちがかわいそうなだけである。


あたりはゴブリンやリザードマンの死体が転がっている。ドラゴンになって五感が強化されているのか血なまぐさい匂いが余計強く感じられ、鬱陶しい。匂いを消すため月希は単純に吐息で地面ごと血を吹き飛ばそうとした。また深く考えないという月希の悪いくせが出ていた。


きれいになれー


ふー


キラキラキラ


うん?


月希が吐息で吹き飛ばそうとすると、きらきらした銀色の煙が口から出てきた。暴力的な吐息ではなく何か神聖な雰囲気を持つ煙だ。しばらくすると煙が晴れ綺麗な地面が見えてきた。血で濡れていたはずの地面が、である。おそらく浄化の作用があったのだろう。


浄化の煙的な?


この種族は聖属性的ななにかが使える種族なのかもしれない。しかし何故ただの吐息ではなく浄化の煙が出てきたのか。岩を壊した時との違いは何か。そこまで考えた時に月希はある考えに至った。


血を吹き飛ばす時にきれいになれーって思ったぞ?イメージなのかな?だとしたら炎のブレスよ出ろーって思ったら出るのか?…やるしかない。


月希はおそるおそるまたどこかから岩を持ってきてそれを標的にブレスを吐こうとする。口から炎が出ているイメージを強く念じると、口のところに風が集まってくるのが感じられた。


ふー


ブォォォォオオオ!!


月希の仮設は正しかったらしい。口から岩に向かって銀色の炎が出ていき、炎が収まると岩があったところには何もなくなっていた。溶けて蒸発したのだろう。銀炎がとてつもなく高温だということをがうかがえる。


ふー


ブォォォォォォオオオ!!!!


ふーーーー


ブォォォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!!!


ブレスを吐いていると妙に楽しくなり、夕方まで遊んでしまった。今日やると言っていた時空魔法の実験ができなかったことに気づき月希はまた明日と思考を切り替える。どこまで行っても適当な性格のようだ。今日はもう寝るだけだが、また魔物に襲われても面倒なので寝床を探すことにした。尤も、今日襲ってきた魔物はもう関わろうとしていないのだが。月希はその場で上空に上がり、森全体を見渡しながら森の奥の方に進んでいった。



――――――――――――



しばらくすると森がぱっくり割れているように谷があるところを見つけた。近くまで行ってみると、谷の中に洞窟のようなものがあるのが見える。月希が入れるくらいの大きさの洞窟であり、それだけ大きいともう既に誰かが住んでいるものがいるかもしれない。そこで月希は洞窟の中に向かって誰かいるか訪ねてみることにした。


だれかーいますかー?


「グウウウグルグルゥゥ?」


……しゃべれない事件だ…


月希がまともに声がを出したのはこれが初めてである。それに声帯や口の形が人間の時とだいぶ変わっているため、獸の唸り声のようなものしか出なかった。これは練習が必要だなと月希は思ったが、声帯自体が変わっているため練習しても最終的に獸の唸り声のようなものになってしまうことは明らかである。まあそんなことを月希が気づくはずもなく、練習頑張ろうと気合を入れるのだった。その後月希は全く声が出ずに絶望することになった。



――――――――――――



さらに次の次の日


今日、時空魔法の練習をすることにした。やろうやろうと思ってずっと後回しにしていたのだ。月希は時空魔法が何をできるかについて考えを巡らせる。まず時空魔法をお願いした理由が、転移魔法が使いたいというものだったことから転移魔法は使えるだろう。魔法系はブレスの発動条件がイメージだったことから転移する自分をイメージすることが大事だと推測される。月希は最初にきたあの草原に自分がいる光景を思い浮かべようとしたが、自分の姿をまだ客観的に見たことがないのに気がついた。そこで月希は水面などで自分の姿を映すために湖を探すことにした。



――――――――――――



洞窟がある谷の結構近くに湖はあった。洞窟を出て上空に飛んだところ、すぐ視界に入ったのだ。洞窟を見つけた時に見つけられなかったのは、探した時間が夜だったからであろう。月希は湖の近くに降り立ち、ゆっくり湖に近づいた。


水面には銀色の鱗で覆われているドラゴンが写っている。口を開けてみると、大きい犬歯のようにとがった歯が並んでいた。目は金色で猫の目みたいなに瞳孔が縦長になっている。足は四足で、翼が背中から生えていて尻尾も長い。月希が人間だった頃では考えられない容姿だろう。姿の確認が済んだ月希は、洞窟へもどった。


月希は早速最初にいた草原に自分がいる姿を思い浮かべる。すると風が自分の周りをまわり始めた。空気中の魔素だと思われる。そして、月希は転移!と強く念じた。


風がまた強くなり、霧散する。月希がいたところには何もなくなっていた。



―――――――――



風が吹いている。いつの間にか閉じていた目を開けるとあたりいちめんの緑が視界に入ってきた。無事に草原に転移できたようだ。


転移できたぁぁぁああ!!


「グルァァァァァアアア!!!」


月希はテンション上がり大声(咆哮)を出してしまった。遠くにいた気配が逃げるようにさらに遠くへ行ってしまったような気がしないでもないが、テンションが上がっている月希は気にも止めなかった。そのままの勢いで日本に転移しようとしたが、自分の姿がドラゴンだったことに思い当たり、寸前のところで止めることができた。


月希の最終目標は日本に帰ることである。もちろんドラゴンのままでは日本に行けないので人化を習得するのは最優先課題である。


人化がもし出来るのなら早く習得しなければ!


人化の実験をするために転移で洞窟に戻ってきた。すると何故か洞窟の中で強く感じられていたものが外と同じくらいしか感じられなくなっていた。これはおそらく魔素であり、月希が転移した時に溜まっていた魔素が消費されたのだろう。ちなみに最初にいた草原は魔素が特別濃いらしく、最初に洞窟に来た時よりも濃い魔素が感じられていた。


月希は再び転移をしようとしたが、弱い風が起きるだけで、転移ができなかった。そばにあった石は転移させることができたことから、体積に比例して必要な魔素が増えるのだろう。これらのことから月希は草原以外の場所で転移が使用出来ないということを示している 。人化に成功すればこの問題も解決されるだろうが。


そうと決まれば人化の実験である。人化も魔法の1種だと考えれば、イメージが重要になるのだろう。そこで月希は生前の自分の姿を思い浮かべる。そして人化!と強く念じると風が自分の周りを回り始め、銀色の光が出た。それに月希は驚き、思わず目をつぶった。


光が収まり目を開けると、視点が少し低くなっているように感じられる。この視点の高さは随分慣れているものであった。


おおー 手だあ!!


自分の姿を見てみると、いたのは裸の人間だった。月希は大事なところを見てあるべきものがあるのを確認すると、大きく安堵する。ドラゴンになったせいで性別不詳になったというわけではなく、性別がちゃんとあったからである。


すると突然再び銀色の光が出てきて、目をつぶってしまった。しばらくして目を開けると視点がドラゴンの時に戻っていた。自分の姿を見るとドラゴンになっている。


え?なんで?


月希はもう1度人化をして、人化状態が何秒ほど持つか計測してみることにした。先程は20秒くらいである。


人化!!


人化してしばらく待つと、約40秒後にドラゴンに戻った。人化できる時間は伸びて行くらしい。体がまだ人間の状態に慣れていないらしく、繰り返し人化をすれば一日中人化できるようになるだろう。


月希は繰り返し人化をしながら、ほかの実験もやっていく。

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