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ある人外さんのお話  作者: 狐月鏡
第1章 転生したお話
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第1話

夕方になりかかっていて太陽がオレンジがかっている。あたりが暗くなっている中で住宅地の道を1人の高校生らしき人物ーー狐月月希が歩いていた。


――――――――――――



「なんだ?」


どこかで言い合う声が聞こえる。路地裏の方だ。月希は気になったものはとことん納得するまでやるタイプの人種だ。尤も、気にならないことには全く興味を示さないのだが。だからなのか


「行ってみるか。」


そんな軽い気持ちで見学に行ってしまった。現場まで辿りつき声の主を見てみると、二人の人間がいる。片方は小さい女の子で、だいたい歳は十歳くらいに見える。もう片方はモヒカンの世紀末でヒャッハーしてそうな男である。ヒャッハーは女の子に向かって何か怒鳴り散らしているが、女の子も頑張って反論しているようだ。


「女の子つえー勇気あるなぁ。」


そう月希が考えてしまっても仕方がないだろう。もし月希があんな男に怒鳴り散らされれば、逃げるか謝るくらいしか出来ないのだから。そのままこっそり見ていると、堪忍袋の緒が切れたのか女の子方(・・・・)が、ヒャッハーに殴りかかった。するとヒャッハーはこちらにふっ飛んでくる。


「………………ぐぇっ!?」


月希は呆然としてしまい、よけられずにそのまま一緒に吹っ飛ばされた。


「……いってぇ……なんだよもっ!?」


今度はトラックに吹っ飛ばされる。ヒャッハーにあたり、吹っ飛ばされた先が道路の真ん中だったようだ。

月希は意識が遠くなって目の前が真っ赤になった。ヒャッハーは道路の端に倒れている。朦朧とする意識の中、ふと女の子の方を見ると女の子の目が驚愕で見開かれていた。月希がいた事を気づかなかったらしい。


なんだこの人生の終わり方…

あいつ(幼なじみ)に一言言っときたかったな

あー…最後に好物のアメリカンドッグ食いたかった…


そんなしょうもないことを考えていたのが最後となり、月希は意識が無くなった。



――――――――――――



ここは?


意識が戻って見えたのは白だった。上下左右すべて白で染まっている。


なんで意識があるんだ?

死んだんじゃなかったのか?


『生きてるー?』


月希が混乱していると突如、どこからともなく声が聞こえてきた。声質が喧嘩していた女の子に似ている。


!?……生きてる…のか?

たぶん生きてると思う。


『ならよかったよかったー』


…で?だれ?


『あ、私ー?神だよー?』


…ごめんもっかい言って?


『あ、私ー?神だよー?』


……で、その、神様が何のようですか?


『いやーさっき力加減間違えちゃってさー』


ってことはあの女の子が神様ってこと?


『そーそー』


はぁ…ってことはあなたのせいで死んだと。


あの喧嘩していた女の子は神様だったようだ。それなら人を吹っ飛ばすあの力も納得できる。尤も、そんな力を地球上で発揮しないで欲しいが。


『ごめんねー。でもなんでそんなに冷静なのー?普通の人なら取り乱してもおかしくないと思うけどー?』


この神様の口調は妙に語尾が伸びていて、聞いている者の力が抜けるようだ。この口調の前では絶対に緊張はできないだろう。そのせいか月希は自分が死んだことを冷静に対処できている。


なんかあなたのしゃべり方が変なせいで逆に冷静になっちゃいましたよ…


『あらあらーそれはよかったわー。』


で?これから俺はどうなるんですか?


『あーそうそうーこれからあなたには異世界に行ってもらうのよーもちろん剣と魔法の世界ねー』


なんていうテンプレ…

じゃあ日本にいたおれはどうなるんですか?

そのまま死亡になったんですか?それとも存在を忘れられた感じ?


『いえいえー失踪ってことになるわねー』


……なんで?


『うーん…また帰ってこれるかもしれないじゃない?』


本当ですか!!?


『それはあなた次第ねー』


…まあ頭の片隅に置いときます。


異世界に行っても帰ってこれる可能性があるらしい。良くある小説などでは転生したら帰ってこれないのが通例だが、今回は違うようだ。帰ってこれない可能性もあるらしいが。


『じゃあー私のせいでこうなっちゃったんだから2つ願い事を叶えてあげるよー』


なんで2つ?ふつう3つとかじゃない?


『じゃあ1つでもいいのよー?』


い、いえ…2つで結構です。


『ふふふーじゃあ決めたら言ってねー?』


何故かこの神様は2つにこだわるらしい。それは置いとき、小説でよくあるテンプレの願い事は最強のからだや最強の剣や膨大な魔力などであろう。しかし月希は別に戦いたいわけではない、無事に日本に帰ればいいのだ。


日本に帰れるかもとかも言ってたから転移魔法とか?時空魔法かな?そんな感じの魔法が使えるように、だなぁ。あとは平穏に暮らせて誰にも邪魔されないようにお願いするくらいだな。

時空魔法が使えるようにと誰にも邪魔されない暮らしでお願いします!


『わかったわーじゃあ異世界に行く準備はできたかしらー?』


月希は頭の中でやり残すことがないか考える。そうするとふと自分が死んだ理由について考えが至った。


あ、あのーなんでヒャッハーと言い合いなんてしてたんですか?


『ヒャッハー?ああーあの人のことねーあの人も神様なのよー?あんな身なりだけどねー』


ひ、ひとは外見でははかれないってことが心の底から理解したよ…


『ただ一緒に地球散歩してたんだけどねーちょっと喧嘩しちゃってーふふっ』


あの組み合わせはないわー……


月希の中での神様のイメージはもっと尊厳のある人だったが、それはいとも簡単に崩れたようだ。地球に散歩しに来て、喧嘩をし、人を1人巻き込んでしまった神様を見ればそうなるのもしょうがないだろう。


『ま、まあそろそろ行きましょー』


はいー準備オッケーですー


『それではれっつごー!』


神様の気配が消えたように感じ、床が抜けるような気がした。すると下に落ちていく感覚に見舞われ意識が急に無くなった。



――――――――――――



風が吹いているのを感じる。うっすらと目を開けるとあたりいちめん緑の絨毯のような草原が広がっていた。どこを見ても草原しかなく、生き物の気配も感じられない。街などの近くに出ると思っていたが違ったようだ。


ここが異世界かー

雲もあるし基本的なところは地球と変わらないんだな。


少し歩いてみようとふと下を見ると銀色のものを発見した。


なんだこれ……鱗?ってか足?


銀色の鱗で覆われた足のようで、ねもとは自分にくっついている。ふと後ろを見てみると尻尾という人間ではありえないものがあった。この尻尾もまた銀色の鱗で覆われている。


横に振ってみる。


ブウォンブウォン


動いた。


よく見ると背中に銀色の翼のようなものが。


羽ばたいてみる。


バサッバサッ


おっと浮きそうになった。




…………なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!

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