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外界機兵アナザイム  作者: 紅陽炎
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01:この世界にさようなら

そこは大地の無い世界だった。

視界に広がるのは一面の海。

そして空を飛ぶ鉄で出来た人型の巨人。


逃げている。

一機の巨人は逃げている。煙を吹きながら逃げている。

三機の巨人に追われて逃げている。

 

(待ち伏せされた!)


分かっていたはずだ。

ここでやられることは死を意味するのだと。

そんな『異常』なことを理解していたはずなのに。


追う三機の巨人が持つ銃からビームが飛ぶ。

それを横にずらし、捻り、絶妙な動作で回避して、

自身も反撃しようと銃を持ち上げた途端、

その手が肩の部分から爆発した。


「……もう少し、だったろ!?」


元々警告ブザーでうるさかったコックピットが更にうるさくなる。

エネルギー残量も足りず、武器も無い。

この機体の損傷では敵も振り払えない。


このままでは近く墜落するだろう。

敵も分かっているのか、一定の距離を保ったまま近づいてこない。

エネルギーの残量はどんどん下がり、そして――――――――


「……ごめんよ、美月」


彼が恋人の名前を言い終わる前に、

速度と高度が下がり水面に激突して跳ねた。

機体が動きを止めたと同時、敵の銃から放たれたビームが彼の機体に殺到し、

パイロット春日和弘は機体と共に爆散した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



どんなに健康な人間でも、死ぬことが分かっている人間でも、

いつ死ぬかは誰にも分からない。

そういう意味では死が訪れる確率は大して変わらないと実感した瞬間だった。


とても健康な人間の部類に入る春日和弘は休日も何もすることがなく、

大通りをぶらぶらと歩き、交差点の信号を渡ろうとしたその瞬間、

彼の目には青々とした空が映り、身体は宙に舞っていた。


信号無視のトラックにはねられたのだが、

彼にはそのことを理解する前に強い衝撃に打ちすえられ、

痛みを感じる間もなく、意識が暗くなっていくのを感じた。


それは強烈な眠気に似ていた。


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