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プロローグなんて無い

 異世界トリップというジャンルがある。

 主人公が、なんらかの理由によって異世界へ飛ばされてしまうという漫画や小説の設定の一つだ。

 ネット小説では、わりと有名な方で、俺もいくつかその手の作品を読んでは現実社会とは全く違う異界の地へ思いを馳せたものだ。

 いつか自分も異世界へ行き、周囲に美女を侍らせて貴族のような生活をしてみたいなんて考えたこともある。

 強力な魔法でドラゴンをぶっ倒して、国中の人達から喝采を浴びたる俺。マジカッケー。とか想像したりもした。

 しかしながら、そういった妄想は、あくまで想像の中で楽しむものであって、本気でトリップしたいと考えていたわけじゃない。

 まあ、そりゃそうだろう。

 第一、家族も友人も全て現実の世にいる。

 長年勤めている会社にも義理はあるし、上司や先輩、同僚達には大変お世話になっている。都合の良い時だけ頼ってくる後輩達のフォローも、そう悪いもんじゃない。

 少し足を伸ばせば美味しい料理が食べたい時に好きなだけ食べることが出来るし、週末に仲間と行くイカ釣りは耐えようの無い興奮を与えてくれる。

 俺は今の生活でそれなりに満足していた。

 だからコンビニで買い物を終え、自動ドアを出た次の瞬間、だだっ広い平原の草むらに立っていたという異常事態に遭遇した俺は、自分でも驚くほど冷静に発狂することができた。

 頭を抱え、奇声を発しながら地面を転げ回り現実逃避を図る俺が正気に戻れたのは、同じく奇声を上げながら何度も何度も大木に頭を打ち付ける同志を発見したからに過ぎない。人間、自分以外の誰かが恐慌状態にあると冷静になれると聞いたことがあるが、その話は正しかったと証明することができたわけだ。








 風に吹かれて足元の草花がさやぐ。

 空は快晴。雲ひとつ無い晴天。

 遠くに連なる山脈の麓からは森林が広がり、向かって右側には湖が波に乗って陽光を光らせている。

 実に長閑な風景である。

 しかし湖に眼を向けると、その真ん中辺りに図鑑でしか見たことの無い首長竜のような生き物が数匹見える。

 もはや、ここが先ほどまで住んでいた世界とは異なるという事実に何の疑問も無い。

 ずっと仏頂面のままの同志は、腕を組んで木に凭れ掛かったままだ。

 それでも俺が近くに座ると顔だけはこっちに向けてくれた。


 同志は背の高い女性だった。二十歳前後に見えるが、実際の年齢は分からない。

 腰まである長い群青色の髪を頭の後ろで縛り、ポニーテールにしている。

 身体にフィットしたグレーのスーツの上に黒いレザージャケットを羽織り、やはり黒の革ズボンを無骨なベルトで留めている。

 履いている編み上げのブーツも黒いので全身黒尽くめである。

 何というか全く色気が無い。ついでに言うと胸もない。愛想もない。

 顔は悪くないのに勿体無い話だ。


「俺は天寺。天寺(あまでら)恭太郎(きょうたろう)


 とりあえず、自己紹介してみる。


「あぁ?」


 「あぁ?」じゃねぇよ。

 なんでキレてんだよ。

 こっちが名乗ったんだから、そっちも名乗れよ。

 予想外の返答に対し、心の中で突っ込む。

 あえて口に出さないのは俺が礼節ある社会人だからである。


「俺は恭太郎って言うんだけど、君の名前は?」


「あー?」


 あかん、これDQNや。

 こちとら頑張って友好的に話しかけてるのに取り付く島もない。

 不機嫌なオーラを隠そうともせず、声を掛ける度に睨みつけてくる。

 本当ならこんな奴とは関わり合いになりたくない。けれど全く知らない世界に放り込まれた俺にとっては唯一の同志だ。

 諦めずに話しかけてみる。


「なあ、異世界トリップって言葉知ってるか?」


「‥‥‥」


「異世界トリップって言葉知ってるか?」


「‥‥‥」


「異世界―――」


「うっせぇ! 知ってるよ!」


 同志が喚く。

 聞こえてるなら返事をしなさい。


「アニメやゲームでよくあるアレだろ、それが何だってんだよ」


 アニメは観ているらしい。


「何って‥‥俺達が、今置かれている状況さ」


「‥‥んなワケねーだろ」


「いや、ここは間違いなく異世界だ」


 さっきまで、頭がカチ割れるんじゃないのかって勢いで大木にヘッドバッドを繰り返していたくせに、何も理解できていないらしい。

 俺はあまり話すのが得意じゃないが、上手くないなりに必死に今の現状を伝える。

 今、俺達が置かれている状況。

 元の世界へ戻りたいが、戻る方法があるかどうかも分からない事。

 それを調べるためにも、この世界でしばらく生きていかなくてはならない事。

 そして、もし戻れなかった場合は、この異界の地に骨を埋める覚悟をしなければならない事などを。

 真剣な俺の表情を見て茶化しているわけじゃないと気付いたのだろうか。

 仏頂面は相変わらずだが、口を挟まずに聞いてくれた。


「っざけんなよ!」


 俺が話し終えると、自分の置かれた立場というのが理解できたのか。

 同志がキレた。

 怒りの矛先をどこに向けていいのか分からない彼女は、凭れ掛かっていた木を蹴りつけはじめる。

 木がへし折れるまで何度も何度も。

 折れた木の幹の太さは直径1メートルくらいはあるように見えたが、気にしないことにした。

 同志もDQN流のストレス発散法で少しは落ち着いたらしい。

 荒い息を整えながら俺を睨みつける。


「おい、お前!」


 同志が初めて俺を呼ぶ。


「なんだ?」


「‥‥名前は?」


 恭太郎だっつってんだろ。

 聞けよ人の話。

 叫びそうになったが、幸い口からついて出る事はなかった。


「天寺だよ、天寺恭太郎」


「‥‥日本人か?」


 これは別に同志がボケたわけではない。

 俺が輝くような金髪に透き通るような碧眼のイケメンだったからである。

 勿論、元の世界にいた頃は黒髪に黒目の典型的な日本男児だったわけであるが、この世界へ来た時、理由は不明だが何故かこの姿になっていた。

 俺がそれに気付いたのは、同志に声を掛ける際、湖に自分の姿が写ったからだ。

 同志が俺を見て外国人だと思っても仕方の無い事だと言える。


「ああ、日本人だ。この姿はおそらく『ロードスリー』というゲームのデフォルト設定のものだ」


 『ロードスリー』というのは、所謂VRRPGと呼ばれるゲームのタイトルだ。

 細かい説明は省略するが、VRというのは仮想空間において現実と同じようなリアルな体験をする事が可能な技術の事である。

 それにRPGが付いているわけだから、VRRPGとはリアルな仮想現実の中で楽しむロールプレイングゲームという意味になる。我ながら実に分かりやすい説明だ。

 その『ロードスリー』では、最初に自分が操作するキャラクターの容姿を選択する必要がある。

 種族の選択から始まり、髪型やその色、眼、鼻、身長や肌の色等々、無数のパーツを細かく設定することができる。

 そのキャラクターメイキングに置いて、一番最初の全く設定を変更していない状態。つまりデフォルト設定の容姿が金髪碧眼の人間族。つまり今の俺の姿である。

 ちなみに俺は学生時代にデバッグのバイトを数日間やっただけで、ゲームそのものはやった事は無い。

 デバッグの際にテストプレイを強制的に何度かさせられたぐらいだ。

 そのテストプレイの際に俺に与えられたのが、デフォルト容姿のキャラクターだったので、その影響かもしれない。


「ロードスリー? 知らないな‥‥」


 同志は鼻を鳴らし、つまらなそうに呟いた。

 知らないという事は、同志の姿は『ロードスリー』のキャラクターでは無いということか。

 さらに言えば、もしかしてここは『ロードスリー』の世界なのでは? と考えていた俺の推測は外れている可能性が高くなる。


「すると、同志は何のキャラなんだ? まさかそれが本当の姿ってわけじゃないだろ?」


「これは『Blue(ブルー) hazard (ハザード)online(オンライン)』のキャラだ」


 知らん。

 俺もいくつかオンラインゲームを遊んだことはあるが、そんな名前のものは聞いた事が無い。


「悪いが、知らないな」


 そう答える俺に、同志は見下すように鼻で笑った。

 いい加減、俺の額にも青筋が浮かんできたが、気合で抑える。


「ところで、そろそろ名前を教えてくれないか?」


「あー?」


「いや、名前だよ。名前」


「ああ、名前か」


 同志はようやく自分がまだ名乗ってすらいない事に気付いたらしい。

 あまり頭は良くないのかもしれない。


「レインだ」


 ドヤ顔をして同志がポーズを決める。

 もっとも、俺にはバランスを崩した体操選手にしか見えなかったが。


「それはゲームのキャラ名だろ。本名はなんて言うんだよ」


「あー? こっちの世界で、そんなもん意味あんのかよ」


「いや、特に意味はないけど」


「まあいい。教えてやるよ」


 やれやれといった風で小馬鹿にしたような声を出す。


飯塚雅彦(いいづかまさひこ)だ」


「ネカマじゃねーか!」


 今度は声に出して叫ぶ。

 何がレインだ。この野郎!





 同志は俺に、雅彦という名で呼ぶことを禁止した。

 俺がネカマ、ネカマと連呼したのが、お気に召さなかったらしい。

 本名なんだからいいじゃんと思ったが、本気で睨んで来たので、しぶしぶ了承する。

 ここで喧嘩別れする事になっても困る。

 俺は小心者だから、このよく分からない世界に一人で残されたら生きていけない。


 ちなみに同志は俺の事を「デフォルト」と呼ぶ。

 俺は別に恭太郎と呼ばれても構わないのだが、同志にその気は無いらしい。

 反対するのも面倒なので、好きに呼ばせておく。


「なあ、メニュー開かなくね?」


 パントマイムみたいに虚空に手を挙げ不審な動きをしていた同志が尋ねてくる。

 こいつは、ここをゲームの中だと勘違いしているのかもしれない。

 外見がゲームキャラに成り代わってるのも、それを後押ししている。

 だが、ここはゲームではない。

 間違いなく現実に存在する世界だ。

 当然ながら、メニューを開いたり、それを操作したりなんてできるわけがないのだ。

 

「‥‥あ、もういい。開けた」


 そう思っていた時期が 俺にもありました。


 同志は何も無い空中から、2本の短剣を取り出し腰のベルトに吊るす。

 そして再び、空中を弄る。


「マジか‥‥?」


 何も無いはずの空中から次々と道具を取り出す同志を目の当たりにして驚きを隠せない。


「おう、頭ん中で『開け』って念じたらできた」


 ここはゲームの世界ではないはずだ。

 だが、現に同志はアイテムボックスを開いて中身を確認している。

 なら、ここは何だ?

 恐ろしく精度の高いVRの世界なのだろうか?


 俺は恐る恐る『メニューオープン』と心で唱える。

 すぐさま視界のやや左上方にウインドウが開かれる。

 俺の記憶にある『ロードスリー』のメニュー画面と同じである。

 仮想空間でもないのに、ウインドウが開ける理由なんて分かるわけがない。

 ログアウトのボタンを試してみるが、予想通りというべきか、反応はなかった。

 諦めて、ステータスを確認する。



【名前】デフォルト

【Lv】1  

【種族】人間   【職業】  戦士

【HP】18/18  【MP】 3/3

【装備】布の服 なし なし

【魔法】なし

【スキル】レベル変更 魔法変更 スキル変更 職業変更



 やはり、かつてテストプレイに使用したキャラクターの能力そのものだった。

 しかし名前がデフォルトになっているのは、何故だろう?

 確か「test19」という名前で登録してあったはずなのだが‥‥。

 俺は同志の方を向く。

 地面に大量の道具を並べて吟味しているようだ。

 こいつの所為で名前が変更になったというのなら、こいつの名前も『同志』になっていたりはしないだろうか?

 いやいや、もしかしたら『ネカマ』に変わっているかもしれない。

 後で確認しておこう。

 俺は再びステータスに目をやる。


 レベル1なのは仕様だ。

 問題ない。

 職業の戦士というのも仕様である。

 能力値が最低だが、これもレベル1だから仕方ない。

 クッソ弱いが全然問題ない。いやホント。強がりとかじゃなくて。

 俺が心配していたのは特殊スキルである。

 テストプレイキャラ専用のスキルを使用できるかどうかが最大の焦点だったのだが、どうやら使用可能らしい。

 俺は安堵の溜息を吐く。


 前にも言ったが、俺が使用していたのは、デバッグを目的としたテストプレイ専用キャラクターである。

 その性能自体は本来のユーザーが使うキャラクターのものと同じであるが、テストプレイキャラにのみ付与された特殊スキルがある。

 テストプレイに必要とされるのは、指定された条件下で、指定された行動を取り、指定されるまま行動し、その経過及び結果を収集することである。

 それは延々と繰り返される単純作業。

 ならば、テストプレイキャラに付与されるスキルは、それを安易にするものであろう事は想像に難くない。


 この『レベル変更』というのは、レベルを任意で設定することが出来るというスキルである。簡単に言えば、いつでもレベルを上げ下げできますよ、という能力である。

 『魔法変更』は、全魔法から習得したい魔法をいつでも習得することが出来、またいつでも忘れる事が出来るスキルだ。

 『スキル変更』は、そのスキル版。『職業変更』はその職業版である。


 これは本来、デバッグのテストプレイ時に戦闘を短縮したり、モンスターの攻撃を延々と受け続けたり、逆に全くダメージを与えずに攻撃し続けたりと、そういったものを目的として付けられたものだ。

 当然ながら、ゲームを楽しむ為のスキルではない。ユーザー様に楽しんで頂けるよう奔走するスタッフの為のスキルである。

 俺にとっては思い出したくも無い悪夢。

 想像してみて欲しい。

 (ヴァーチャル)(リアリティ)という、まるで現実のような体験が可能な世界の中で、朝から晩まで、小鬼に錆びた剣で胸を刺されたり、オーガに首や手足をへし折られたり、巨大な獣に丸呑みにされたりし続けないといけないのだ。それを毎日毎日繰り返すわけである。

 もちろん、痛みなんて無いし、身体が破損する感触があるわけでもない。

 だからといって恐怖や嫌悪感が無くなるわけじゃない。

 そのあまりに陰惨なバイト経験がトラウマになり、『ロードスリー』という単語を聞くたびに、あの気が狂いそうなデバッグ作業を思い出すようになった。

 俺はわずか数日でバイトを逃げ出し、後に世に出た作品も手に取る事は無かった。


 だが、この世界に飛ばされた俺にとって、この強力なスキルは何よりも心強い味方だ。

 俺は躊躇わずレベルを最大値の400まで引き上げる。

 あくまでこのレベルは『ロードスリー』のものだ。

 別のゲームのキャラクターである同志と同じであるとは思えない。

 さらに言えば、この世界において、『ロードスリー』のレベルが、どの程度の位置づけなのかも不明である。

 『ロードスリー』における100レベルが、この世界では50レベル相当である可能性もあるのだ。

 俺はまだこの世界の住人と会った事がない。

 この世界の平均レベルも俺は知らないわけだ。

 死にたく無いなら、レベルの出し惜しみはしない方がいい。


 『魔法』も全て覚えようと思ったが、困ったことに、いくつかの魔法は名前を見てもどんな効果だったか思い出せない。

 なんせ俺が最後にプレイしたのは10年以上前の話だ。それもほんの数日のみ。覚えていないのは仕方無いだろう。

 実際に使ってみたら分かるのかもしれないが、適当に使った魔法が自爆魔法だったりしたら目も当てられない。

 勿体無いが、効果の分からない魔法は諦めることにした。

 次にスキル習得だが、これは全スキルを一括でオンにする。どのスキルがいつどこで役に立つか分からない。使う使わないは別として、習得だけはしておくことにしたのだ。

 職業は無難に『騎士』にしておいた。防御力と魔法耐性に補正が入るからという理由もあるが、何といっても格好良いからだ。これはもう完全に俺の趣味である。

 剣なんてゲームの中でしか使った事はないが、今の俺はゲームのキャラクターだ。

 大丈夫だろう‥‥多分。


 最後にアイテムボックスを開く。

 そこに並ぶのはゲームに存在するあらゆるアイテム。

 ゲーム中、プレイヤーが入手可能なアイテムはイベントアイテム以外全て揃っている。

 さらに、消費アイテムは全て∞個ずつ収められている。

 テストプレイでは、スタッフに使用しても良い数を指定されていたが、ここにはそんな指示を出す者はいない。好きなだけ使っても誰からも文句を言われることはない。

 試しにポーションを一つ取り出してみる。

 アイテムボックスにあるポーションの数は∞個のまま変わらない。

 ポーションをアイテムボックスへ戻す。問題なく収納する事ができた。


 装備品も全種類が揃ってはいるが、こちらは1つずつしか入っていない。

 消費アイテムとは違い、大量に所持する理由もないからだ。

 よって、エクスカリバー二刀流とかはできない。

 あってもやらないけど。

 色々と迷ったが、職業に合わせて『正騎士の鎧』と『騎士剣』にしておく。

 これで一応、見た目は騎士っぽくなっただろう。

 この世界の騎士が、どんな格好をしているかまでは分からないが、賊に間違われる事は無いと思う。

 作中でも騎士が使用する装備なだけあって、守備力も高く、動きを妨げない機能的な作りなのも気に入った。

 勿論、もっと強力な装備もある。

 だが、竜鱗を使った防具や希少金属でできた武器など、あまりに目立つ格好も憚られた。

 これは俺が小心者である事も一因である。

 


 と、ここで重要な事実に気付いた。


 いつから中世ヨーロッパ風のファンタジー世界だと錯覚していた?


 ロードスリーの世界観が中世風だった為に漠然とそう考えていたが、単なる憶測に過ぎない。

 俺が住んでいた世界よりずっと文明が発達している可能性もあるし、そもそも人が住んでいる保障もない。

 いや、そんなまさか…。

 流石に人間ぐらい住んでいるだろう?

 本当にそうか? 何故言い切れる?

 この世界の事を俺はまだ何も知らない。

 関を切ったかのように不安やら焦燥やらがあふれ出し、胸と脳髄を圧迫する。


「おい同志!!」


 思わず同志を呼ぶ。


「うっせー。なんだよ」


 不機嫌そうな声が返ってくる。

 だが返事があった事で、少しだけ焦燥が緩和される。


「行動を開始するぞ。まずは人里を目指そう!」


「あー?」


 俺は不安を隠すように早足で歩き出す。

 アテなんてあるわけがない。

 それでもジッとしていられなかった。


 同志はブースカ文句を垂れながらも、俺に付いてきてくれた。


正直、このタイトルは無いわ‥‥。

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