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一日目 始業式

6月26日(水)文章を多少訂正しました。


春特有の暖かな日の光を浴び、新庄明しんじょう あきらは花山中学校の昇降口の前で大きな欠伸をしていた。


今朝は寝坊し、熟睡していたところを無理やり母に起こされたのでまだ頭がぼーっとしている。

ちゃんと寝癖を直す暇すらなく一応水で濡らしてはきたがまだだいぶ髪がはねている。


周りを見渡すとみんなきちんとした格好で明のように寝癖がはねているものは誰もいなかった。


「まぁ、始業式もクラス替え発表もあるのだから当たり前か…」


そう思った矢先、よく見たら一人明と同じように寝癖のついた学生がいた。しかも見慣れた顔の男だった。


「明、お前今年は何組だよ?」


その寝癖男は明の方に近づいてきた。彼は明の小学生のときからの親友である川上亮太かわかみ りょうた

そして亮太の声を聞きもう一人明の背後から男が現れた。彼の名は松井直樹まつい なおき。彼もまた小学校からの親友である。


「俺は4組。2人は?」


「俺も4組だよ。」


「なんだ、明も亮太も一緒か。」


「三人一緒なのは小学6年生の時以来か。二人ともよろしくな。」



亮太が嬉しそうな笑みを浮かべて言うと、二人もつられて笑みがこぼれた。


「そう言えば工藤は今年何組になったんだ?」直樹言った。


「サキちゃんも同じクラスだったらなぁ…今年こそ二人で愛を育めるのに。」


「また始まった…亮太の妄想癖。無理無理、工藤には明って旦那がいるんだから。」


直樹が明をからかうように言った。


「沙紀も4組だよ。そんで沙紀は彼女ですらねぇ。ただの幼馴染だ。また同じクラスだと他の奴らにもからかわれるんだよなぁ…はぁ…」


明は大きな溜め息を漏らした。


「また同じクラスで悪かったわね。」


明は近くから聞きおぼえのある声を聞いて血の気が引いた。


「文句があるなら校長にでも言って来たらいいじゃん。まあ新庄君にそんな度胸ないこともわかっているけどね。」


そこには明の幼馴染、工藤沙紀くどう さきが立っていた。


「あれ、沙紀…お前どうしてこんなところにいるんだよ。今日はテニス部の朝練だからって家早く出たんじゃないのか?」


「朝練は始業式があるからって早く終わったの。そんなことより3人で何話してたの?」


「何でもねえよ。」


明が答えた。


「私に言えないってことはどうせエッチな話でもしてたんでしょ?新庄君のいやらしー。」


「そんなことはねえけど…」


明と沙紀がそんな話をしていると亮太が話に割り込んできた。


「サキちゃん、そんなことより今度の土曜日俺とデートしない?」


「デートって…別にリョウ君と付き合った覚えはないけど…なんで?」


「そんなケチくさいこと言わないでさ。今、面白そうな映画とかいっぱいあるじゃん。一緒に観に行こうよ。」


「あ、でもその日どっちみち部活の練習試合ある日だった。ごめん。」


「諦めろ、亮太。あんまりしつこいと嫌われるぞ。」


直樹の一言でようやく亮太は諦めたようだった。


「じゃあ、また後でね。」


沙紀がこちらに手を振りながら校舎の中に入っていった。


「亮太も懲りねえな。可愛い女の子がいるとすぐデレデレになる癖なんとかならねえのかよ。みっともねえ。」


「そりゃ、お前は顔も成績も学年トップクラス、スポーツ万能でモテる俺らからすれば嫌がらせのようにモテるからわからないだろうけどさ…モテねえ男はこうでもしないとさ。明だったら俺の気持ちわかるよな?」


「亮太お前、今遠回しに俺をモテないって言っただろ。気持ちはわからなくもねぇけど、俺自分からそんなに女子に声かけられねえし。」


明がそういうとちょうど授業開始五分前のチャイムが鳴り響いた。いつの間にか周りで騒いで他の生徒たちもいなくなっていた。


「やべぇ、早くしないと新学期早々遅刻扱いにされちまう。」


そう言って三人は勢いよく昇降口に飛び込んでいった。





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