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切妻瑞貴の慟哭

「……止せっ」

 地面に俯せになった切妻瑞貴が苦痛で顔を引き攣らせながら目の前にいる輩に向かって叫ぶ。

 人気の無くなった夜の住宅街。陽が照らさずとも涼しくならない外気温は汗を伝わせる。外灯で寂しく照らされるアスファルトで舗装された道。地震による二次災害を防止する為にブロック塀は取っ払われ、代わりに生垣で周囲を行き交う人々の視線を遮っている。

 外灯が道の他に照らすのはジャージに身を包んだ切妻瑞貴と、顔を醜悪な笑みで歪めた者と、その者に背中を踏まれて地面に倒されている者だけだ。

 いくら深夜と言っても彼等以外に人っ子一人いないのは不可解である。

 零時と一時の間であるこの時間帯ならばまだ人の往来が少しはあっても可笑しくはない。しかし、そのような気配は微塵も感じさせない。

 人気が無い空間で切妻は叫び続ける。

 例え自分の右肩が醜悪な笑みを浮かべる者の指で抉られ、肩の骨、神経、肉ごと腕もがれた状態だとしても。腹に拳一つ分の穴が開けられている状態だとしても。傷口から止めどなく白の霊気を流していても、自分の保身の為ではなく、目の前で倒れている者の為に叫び続ける。

「止せ、止せ、止せっ!」

 切妻の言葉を訊いてはいるのだろうが、それを無視し、醜悪な笑みを浮かべている者はまるで獲物を捕まえる猛禽類のように右の手を開き、振り上げ、そして――――



 時は二週間を遡る。

 切妻が怨霊成仏課に入ってから三ヶ月が経過した。

 仕事の方にも慣れが感じられるようになってきたが、如何せん課員が少ないので一人あたりの仕事量が半端無く多く、連日眼の下に濃い隈を形成させるまでに疲労を蓄積させていった。

「瑞貴ー、ちょっと来てー」

 自分の机でデスクワークをしていた切妻は上司に当たる猫の死神――美耶に呼ばれたので乾いた眼を瞼越しに軽くこすりながら立ち上がって美耶の席へと向かう。

「何?」

「悪いんだけど、外の仕事瑞貴が行ってくれない? 多分これ今の状況じゃ瑞貴以外には荷が重過ぎるからさぁ」

 そう言って美耶は欠伸をしながら写真が添付された一枚の紙を切妻に渡す。切妻は紙に書かれた内容に目を通す。

「何々? 今回の対象は『桜井京子』年齢は二十九。二十四の時に二つ上の『桜井正也』と結婚。一年後に一人息子の『桜井正人』を生み、三人家族で暮らしていた。が、桜井正也は博打癖があり給金をどんどんパチンコ、競馬、賭け麻雀に費やし家計は火の車となる。が、桜井正也は桜井京子に消えた金は事業に投資していると嘯き、桜井京子はそれを信じる。また、その際に借金をしており、それも真っ当な金ではなく所謂闇金。桜井正也は博打で当てて返済しようとするが物の見事に失敗。桜井正也は桜井京子と正人を置いて逃げて行方を晦ます。逃げた桜井正也の代わりに桜井京子が借金の返済をさせられる羽目になりそうだった時に、桜井正也が金を借りた相手『幸田克俊』と一悶着し、隠し持っていたナイフで腹部を刺される。その場に居合わせナイフを刺した瞬間を目撃した桜井正人を殺そうとする相手を桜井京子は必死になって抑え込み、その際に幸田克俊は自身の腹にナイフを突き立ててしまう。幸田克俊は動揺してナイフを抜き取って力の限りに放り投げ、ナイフは桜井正人の胸

に突き立てられる。三人は救急車を呼ぶ事も出来ずに死んだ……。結構重い内容だな」

「そうなんだよ。で、今回は恨み辛みじゃなく、自分を責め続けて怨霊になっちゃったパターンなんだよ」

「つまり」

「息子を助けられなかった事に対して罪悪感を生んで現世を彷徨っている間に感情が蓄積して怨霊になった」

 だから、と美耶は眠いであろう目を無理矢理通常時と同じくらいに開いて切妻に告げる。

「この人――桜井京子を見付け次第、藁人形で負の感情を無くして即座に成仏させて。早くしないと」

「分かった」

「え、ちょっと」

 切妻は頷くと美耶の言葉を最後まで訊かずに即座に自分の席へと舞い戻り、机の下に置いてあるボストンバッグを担ぐ。

「じゃあ、行ってくる」

「瑞貴待っ」

 美耶の言葉を後ろから受けながら切妻の姿が消える。

「人の話は最後まで訊こうよ。……でもま、瑞貴なら多分大丈夫だよね」

 一瞬だけ瑞貴の後を追って続きを話そうとも思ったが、切妻の実力ならば大丈夫だろうと美耶は少し浮かべた腰を落ち着かせる。

 消えた切妻は現世へと出現した。

 切妻は現世に着くと直ぐ様スーツから動きやすいジャージへと着替える。霊は霊気を物質化して衣服を自由に変化させる事が可能なのだが、切妻は霊気の物質化が不得意であり、衣服を変かさせる事が出来ない。今着ているジャージと脱ぎ終えたスーツははあの世で買った物だ。

 因みに、死神である切妻は常人には見えないのだが、念の為に近くの公園に設置されている公衆トイレで着替えを済ませた。

「さて、と」

 脱いだスーツをなるべく皺が出ないように綺麗に折り畳んでボストンバッグに仕舞う。こうやってもスーツに皺は出てしまうので、帰ったらクリーニング屋に赴かなければいけないだろう。こういう時は美耶や九重桜と言った霊気を物質化出来る者を素直に羨ましいと思う切妻である。

「……それにしても、毎回思うけど重いな」

 手にしたボストンバッグを軽く上下に振りながら呟く。このボストンバッグの中には先程仕舞ったスーツの他に計四十体もの藁人形が詰め込まれている。藁人形には怨霊の恨み辛みを溜め込む事が出来る。

 怨霊は死霊に戻りたいが為に他者に恨み辛みをぶつける習性をもっている。怨霊成仏課は怨霊の恨み辛みを全て無くしてから成仏をする。恨み辛みがある状態だと未練があると判定されて成仏が出来ない。なので恨み辛みを無くさねばならない。

 また、恨み辛みを無くすにしてもその怨霊が成仏させるに値するかを判断しなくてはならない。これは自らが望んで怨霊になった者でない者に限り、判別方法は『善悪判断札』と呼ばれる札を怨霊の額に張る事で分かる。

 さて、その怨霊の恨み辛みを無くす為には体外に放出しなればいけないのだが、恨み辛みは感情を持たない無機物にはぶつけられず、命ある者にしかぶつけられない。恨み辛みをぶつけられた者が死者ならば同じような怨霊に成り果て、生者ならば生者と死者の間の存在である半霊という存在になってしまう。

 怨霊の恨み辛みを無くし、且つ他者が怨霊、半霊にならないように藁人形が必要となってくる。藁人形は生き物以外で唯一恨み辛みを蓄える事が出来る性質を持ち、その性質故に古来から現在まで日本では呪術に用いられている。

 この藁人形を用いて恨み辛みを払拭させるのだが、藁人形一つでは怨霊の恨み辛みを全て受け持つ事が出来ない。最低でも三十体は必要である。なので切妻のボストンバッグには予備も含めて四十体もの藁人形が入っているのだ。

「……この藁人形も改良の余地ありだな」

 溜息を吐きながら、切妻はジャージのポケットから手帳とボールペンを取り出し、『藁人形の軽量化または必要数の低減が必要』と書き込んでいく。

 怨霊成仏課は設立されてから約四ヶ月しか経っていない新しい課なので問題も山積みだ。課員全員は問題点を手帳に記し、仕事をこなしながら問題点を改善していくのが日課となっている。

 が、その改善と言うのも一朝一夕で出来る程簡単なものではない。二桁を超える問題点の中で改善出来たものは片手の指で数えられる程度にしかない。

 現実は厳しいものだ、と怨霊成仏課の課員全員がぼやいていたりする。

 が、その事は置いておくとして。

 現在切妻は日本にいるのだが、自分が住んでいた地域から遠く離れた県にいる。切妻は生前はあまり遠くまで行く事が無かった。行くとしても小学校三年までは家族と一緒に隣県にスキーをしに行ったり温泉に行ったりで、小学校三年以降では修学旅行や林間学校くらいのものだ。

 ここは切妻が一度も来た事が無い地域で、知り得る地理情報が殆ど無い場所である。

 唯一知っているのはここは住宅街の中にある公園という事だけだ。

 公衆トイレから出た切妻は辺りをきょろきょろと見渡す。公園内には撤去されたブランコ、滑り台、砂場、雲梯、鉄棒、ベンチが寂しく点在しており、人は一人もいない。時間帯的に夜の十一時を過ぎているので子供が遊んでいる筈はない。

 背の低い鉄柵を越えた先には二階建ての民家が密集していると言ってもいいくらいに並んでいる。外灯で淡く照らされたアスファルト舗装の道は歩道と車道が分かれていないものだった。

「……取り敢えず、霊気でも探ってみるか」

 切妻は辺りを見て怨霊がいない事を知ると目を閉じて怨霊の霊気を感じ取ろうとする。霊ならば霊気を、生者ならば生気を無意識のうちに体外に出している。死神はそれを感知して特定する事が出来る。怨霊の霊気は死霊の霊気よりも淀みがあり、重く冷たい感じがする。切妻はそのような感じのする霊気を探す。

 が。

「……怨霊の霊気を感じないな」

 考えられる可能性は二つ。

 この近くに怨霊自体がいないか、怨霊が霊気を体外に放出しないように抑えているか、だ。

 可能性としては後者の方が断然高い。

 前者ならば空気中に霊気の残滓が残っていなければならないからだ。怨霊がここを去ったとしても、霊気は尾を引くように軌跡を辿るように薄らではあるが残る。なので、いたと言うならば空気中に怨霊の霊気の感じが残っていなければならない。が、そのようなものは無い。

 自らの霊気を体外に放出しない――つまりは遮断すれば、空気に霊気を溶け出す事は無い。体内に秘めたままならば他者から感知されなくなる。また、霊気の遮断は死霊でも怨霊でもやろうと思ってやれる程簡単ではなく、死神でさえも霊気の流れをコントロール出来るようにならなければ不可能だ。が、稀に霊になった段階から既に遮断が出来る霊もいる。これは霊気のコントロールとは関係なく、体質によるものだ。

 恐らく、成仏対象の桜井京子は霊となった段階から霊気を遮断し続けているのだろうと切妻は考え、霊気感知をやめる。

「これは長丁場になりそうだな」

 切妻は現世で実に二週間もの時間を費やした。

 二週間の間に街の近郊へと向かってもみたが、桜井京子の足取りは掴めずにいた。資料によるとこの近辺にいる事が窺えるのだが、その情報に間違いでもあるのではないだろうか? と疑ってしまう。

 怨霊には範囲型と執着型の二通りのパターンに分かれるが、桜井京子の場合は執着型であった。執着型は一人に対象を絞り、その者に恨み辛みを集中的にぶつける性質を持ち、もし狙われた者が逃げても執念深く追い掛ける。

 桜井京子の対象は桜井正人。彼女の息子だ。生前に守り切れずに死なせてしまった未練が桜井正人を対象としてしまった。桜井京子はこの街に住んでいた。当然桜井正人も住んでおり、彼女は息子を捜す為にこの近辺にいる。

 ……と、資料には書かれている。

「……で、全然見付からない、と」

 切妻は電信柱に背を預けて溜息を吐く。仕事柄そう簡単に怨霊に巡り合えるとは限らない。それは分かっているのだが、こうも足取りが掴めないと些か精神が磨り減る。

 ボストンバッグを肩に掛け直し、電線が宙を駆け巡る空を見る。もうとっくに日が暮れて、今日と言う日も後二時間程で終わってしまう。

 が、こんな二週間でも進展があったと言えばあった。

「悪いな。まだ見付けられなくて」

 切妻は隣でしゃがんでいる男の子にそう声を掛ける。

「ううん」

 男の子は首を横に振る。

 進展とはこれだ。

 今から一週間前。切妻は怨霊の霊気の他に並行して死霊の霊気も探っていた。そして、男の子を発見した。

 男の子の名前は桜井正人。怨霊の息子で、狙われている対象だ。彼は一週間前、郊外にある林の中を彷徨っていた所を切妻に発見され、今日日共に行動をしている。

 本来ならば死霊の桜井正人は成仏させなければならないのだが、切妻はそれをしなかった。

 理由は単純であり、桜井京子を誘き寄せる為。

 と、言えば利用している風に聞こえるが、実際はそうではない。切妻も最初は桜井正人の霊気を探ったのは、もしかしたら桜井京子が近くにいるかもしれないと言う希望からであり、囮に使おうなぞとは思っていない。が、実際には桜井正人一人しか見付ける事が出来なかった。

 切妻が桜井正人に近寄り、成仏させようとした時に正人が近寄り、切妻の眼を見るように見上げ、大粒の涙を零してしゃくり上げながら彼に尋ねた。

「おかあ、さん、はど、こ?」

 この一言で、切妻は正人を成仏させずに、共に連れてる。

 切妻は正人を京子に逢せようとしているのだ。

 成仏してしまえば前世の記憶を消し、即座に転生が行われる。そうなると正人は二度と京子に出逢えなくなってしまう。

 齢僅か四つの幼子にとってそれはあまりにも非情だ。子は愛しい親を求めて彷徨っていた。切妻も幼い頃……とは言っても正人の倍の年齢の時ではあるが、その時に親を亡くしている。親が近くにいない怖さを、哀しさを彼は知っている。

「君のお母さんが何処にいるのかは分からない。けど、俺と一緒に捜そう。一人よりも二人で捜した方が、怖さで、哀しさで、心は押し潰されないよ」

 切妻は泣きじゃくる正人に目線を合わせ、優しく頭をなでながらそう答えた。純粋に放って置けなかったと言うのもあるだろうが、正人を過去の自分と照らし合わせてしまったのが一番の原因だろう。

 切妻の場合は周りの人に心配をさせまいと感情を表に出さず、心の内で怖さ、哀しさを徐々に小さくしていったが、正人はそこまで感情をコントロール出来ない。また、正人は死霊なので、母に逢いたいと言う未練から怨霊に変化しても可笑しくは無い。

 なので、正人が怨霊に変化しないように、そして京子に逢わせる為に切妻は京子を捜している。

「さて、じゃあ正人。もう一回スーパーの方に行ってみるか」

 切妻が首を軽く回し、正人を不安にさせないように柔らかい笑みを作って手を差し出す。

「……うん」

 正人は伏し目がちながらも頷き、差し出された手を握る。切妻はそれを確認すると道を歩き始める。

 切妻はここ一週間はとある場所を重点的に調べている。

 それはスーパーマーケット。幼稚園。公園。そして旧桜井邸である。

 そこは生前の正人が京子と共によく訪れた場所であった。京子は正人を捜している。ならば、例え怨霊と成り果て自我を失いながらも、無意識のうちに正人との思い出が残っている場所へと向かう筈。そう考えた切妻は正人に京子とよく一緒に行った場所は何処か? と訊いてその場所へと向かうという行動をここ一週間取っている。

 が、成果は芳しくなく、擦れ違いか、はたまた見当違いの場所に行ってしまったのか逢えず仕舞いでいる。

 それでも弱音を吐かずに切妻は正人の手を引いて歩く。

「……ねぇ、おにいちゃん」

「ん?」

 正人が握った手を引っ張るので切妻は立ち止まる。

「だっこ」

「はいはい」

 そう言えば、今日は歩きつめたからな、と切妻は正人を抱える。

 この一週間で正人は切妻に心を許している。

 当初は知らない人という事で警戒されていたが、自分に悪意を持っていない事。本当に京子を捜そうとしている事。自分を安心させようとあれこれやってくれる姿勢が徐々に正人の警戒心を和らげ心を手繰り寄せ、今では正人は気兼ねなく切妻に物事を頼むようになった。

 切妻は抱えた正人の背を優しく叩きながらスーパーへと向かい、流石に店内には入れない時間帯だったので外回りをぐるりと一周するが、京子は見付からなかった。

「……今日はここまでにするかな」

 抱えた正人の首がこくりこくりと前後左右に揺れる。霊になっても四歳の子供だ。こんな深夜帯に起きているには相当の気力と体力を使ってしまうだろう。

 完全に寝入った正人を抱え直し、切妻は寝床兼拠点としている公園へと戻る事にした。公園には屋根のある空間は公衆トイレしかない。流石にそこで寝るのは勘弁なのでもっぱらベンチで眠っている。正人と共に行動するようになってからは正人をベンチに寝かせ、彼の頭の下に丸めたワイシャツを枕代わりに置き、スーツを布団代わりに上に掛けている。切妻自身はベンチの横で胡坐をかいて寝ている。

 寝床へと帰る時だった。

 夜に一度眠ると朝まで目を覚まさない正人が急に目を覚ました。

 そして、正人は進行方向に目を向ける。

 スーパーから公園までの道の丁度半分に当たる場所で、唐突に目的は達成された。

 桜井京子に出くわした。

 京子は切妻と正人とは逆に公園からスーパーへと一直線に向かっていた。

 京子は姿こそ人であった。これは怨霊の第一段階であり、怨霊成仏課の成仏対象となる。更に恨み辛みが溜まってしまうと体に変化が見られる。怨霊の体が変化してしまうと、成仏対象からは外れてしまう。その理由は変化すると戦闘力として最低でも二倍に上がり、藁人形を使う暇を見付ける事が難しく、成仏よりもこちらがやられないように交戦するしかなくなってしまうからだ。

「取り敢えず、変化前でよかったよ」

「おかあさん!」

 切妻は京子の下へと向かおうと暴れる正人を押さえて、京子を一瞥する。外灯の真下で照らされている京子は視線を地面に落としたまま、五メートルの間隔を空けて立ち止まっている。

「…………セ」

 重く響く声が切妻と正人の耳に届く。

「お、かあ、さん?」

 今まで訊いた事の無かったのだろう母親の声に不安を抱いた正人は恐る恐ると京子に声を掛ける。

 その次の瞬間。

「ソノ子ヲカエセ!」

 京子は叫び、ぐわっと顔を上げると狂気の光に浸食された瞳を切妻に向け、突進した。

 正人は驚愕を顕わにし、声を出せずにいた。今まで見た事も無い母親の声に怯え、更に目を固く閉じて両耳を手で押さえる。目には涙が浮かんでいた。体も恐怖で震えていた。

 切妻は咄嗟に右斜め前へと駆け、そこに立っていた電柱を蹴って宙を舞い、闇夜でも不気味に光り輝く眼を宿した京子の後ろに降り立ち、即座に向き直る。

 突進した京子は先程まで切妻がいた空間を両の手で押した。より正確には、切妻の肩があった箇所を押していた。

 その行動から切妻は推測する。京子がどのようにして他者に恨み辛みをぶつけているのかを。

(多分、押すか掴まれるかでぶつけてる)

 京子は伸ばした手を引く際に僅かながら指を閉じた。その瞬間を切妻は見逃さなかった。

(そして、恐らく正人の近くにいる相手に狙いを定めている、と)

 執着型は一人だけを標的に選ぶ。が、例外も存在する。それは切妻はよく分かっている。過去に切妻も二人を標的にした執着型の怨霊に出くわしているので例外に遭遇しても取り乱しはしなかった。

 そして、桜井京子の場合は桜井正人本人と桜井正人に接触している者が対象となる執着型の例外だろう。また、正人本人か接触者のどちらが対象になりやすいという点は接触者になるのだろうが、正人から離れればどうなるか分からないし、敢えて調べようとも思わない。

 なので切妻は正人を抱えたまま京子の恨み辛みを晴らしに行く。

 左手で眼を閉じ耳を塞いで震える正人を落ちないようにしっかりと抱き、右手でボストンバッグから藁人形を二つ取り出す。

「カエセェェエエエエエエエエエエ!」

 京子が唾を飛ばしながら叫び、切妻に手を伸ばす。切妻は取り出した藁人形を二つ前方に投げ、少し後方に下がる。

 伸ばした手が藁人形に触れると、それを掴んだ。

 その瞬間、京子の恨み辛みが藁人形へと流れ込む。どうやら掴む事で恨み辛みをぶつけているらしい事が窺えた。

「おか、あさん、じゃ、ない……」

 それを一瞥していた切妻の耳元で、震える正人が絞り出すように声を出す。

 京子の様が何時もと違っていたから。

 京子の声が何時もと違っていたから。

 京子の心が何時もと違っていたから。

 それ故に正人は、京子が京子でないと感じてしまった。

 正人の言葉を訊き、切妻は胸がちくりと痛んだ。

 母親を捜していたがあまりの豹変振りに恐怖する子。子を想うあまり負の感情に押し潰されてしまった母親。どちらも互い互いに逢いたいと思っていた。漸く母と子は出逢えたが、本当の意味では二人はまだ出逢えていない。

 それが、切妻にはとても痛々しく思えた。

「……大丈夫。俺が何とかするから」

 正人の背を軽く叩き、切妻は力強く正人に言い聞かせた。

「ソノ子ヲカエセェェエエエエエエエエエエ!」

 掴んだ藁人形を地面に叩きつけると、京子は三度切妻へと手を伸ばす。

「貴女に息子は帰す。けど、その前に貴女を元に戻す」

 そう京子に声を掛け、切妻はボストンバッグから藁人形を出す。

 ここから先はほぼ同じ動作だけを互いに行った。

 京子が手を伸ばす毎に切妻が藁人形を手に進行先に投げ、それを掴んで恨み辛みを藁人形にぶつける。怨霊としての力が弱い為か、速度はあまりなく、藁人形を掴む力も怨霊の平均よりも下だと見受けられる。

 切妻は息一つ切らす事無く京子の手から距離を取り、正人の安全を第一に行動した。また、切妻は反撃もしない。

 そのような行動を十七回行う。

 十七回目、三十四体目の藁人形に恨み辛みをぶつけた京子は、ぶつけ終えると同時に息を荒げ、膝から崩れ落ちた。

(死霊に戻ったか?)

 恐らくは恨み辛みを差し切っただろう。漏れ出る霊気の質を確認出来れば直ぐに分かるのだが、生憎と京子は現在も遮断をしているので彼女の出方で判断しなければならない。なので近付かず、不意の一撃を避けられるように距離を保つ。

「う……うぅ……」

 外灯により僅かに光を当てられている京子は頭を振り、細く開かれた瞼の奥に見える瞳には狂気の光は消えていた。どうやら、完全に怨霊から死霊に戻ったようだ。

「わ、わた、し、は……」

 京子は辺りを見渡し、頭上に設置されている人工的な光源に照らされた震える正人を抱えた切妻を発見する。

「正人っ!」

 目を見開き、立ち上がって切妻の方へと駆けようと足に力を入れるが、怨霊時に動き続けた故に疲労が溜まってしまい、力が入らずにがくんと崩れそうになる。

「よっと」

 切妻は京子との距離を一息で詰め、崩れそうになった京子を空いている右腕で優しく受け止めて地面への衝突を防ぐ。京子は倒れそうな所を助けた切妻に礼を言わず、正人へと手を伸ばす。その目には涙が浮かび、切妻を睨みつける。

「帰して! 正人を帰して!」

「あぁ、帰すよ。初めからそのつもりだし」

 切妻は京子の背中を右腕で支えながら、今も尚震えている左手に抱えた正人を彼女の方へと送る。

「は、初めからって……?」

 正人を受け取った京子は切妻の言葉で荒げていた口調を落ち着かせ、疑問に満ちた目で切妻に問う。

「初めからは初めから。俺は正人が貴女を捜すのを手伝っていただけ」

 切妻は自分が死神だという事と、死神としての仕事の事は敢えて話さない。ここで死神だの仕事だのと説明するのは無粋であるし、何よりも息子を利用した、息子と自分の命を刈り取りに来たと誤解されてしまう。誤解されてしまうとそこから切妻に対して恨み辛みが募ってしまい、再び怨霊に身を落としてしまう可能性が出てくる。死霊に戻ったばかりの霊は不安定で、少しの切っ掛けで恨み辛みが蓄積しやすくなってしまうのだ。なので、切妻は京子に恨み辛みを募らせないように特に差しさわりの無い情報だけを提供した。

 嘘の一つも言っていない切妻の言葉を訊くと、京子は顔を青くして肩を震わせる。

「わ、私は、何て勘違いで、貴方に失礼な態度を」

 疑いもせずに京子は切妻の言葉を鵜呑みにした。いくらなんでも初対面の相手の言葉を信じ過ぎやしないかと思うが、この性格故に逃げた夫と今生前生活してこれたのだろう。相手を疑わず、夫の借金を知らず、夫の言葉を信じて生活費を削っていたから、このような結末になってしまったが。

「気にするな。傍から見れば、見知らぬ人物に抱かれて恐怖に震えてるようにしか見えないし」

 切妻は京子にそう告げると、眼を閉じ、耳を塞いで震えている正人の頭を優しく撫でる。すると、正人は震えながらも目を開けて自分を抱えている筈の切妻の顔を見ようと頭を上げる。

 頭を上げた先には切妻の顔は無く、代わりに正人が逢いたいと焦がれていた見慣れた母親の顔がそこにはあった。

「お、かあ、さん……?」

 先程の見た事も無い顔ではない京子に、正人は少しきょとんとする。

「あぁ、正人。その人は本当に君のお母さんだよ」

 切妻は正人の頭を撫でながら優しく答える。切妻の言葉で正人は改めて目の前の顔を見る。

「ま、さと」

 涙を溜め、愛おしくそう呼ぶ目の前の人は正人の知っている京子そのものだった。

「おかあさんっ!」

 顔をくしゃくしゃに歪め、大口を開けて母親の名前を呼ぶと、正人は泣きじゃくりながら彼女の胸に顔を埋める。

「正人っ!」

 京子も大粒の涙を零しながら、我が子を優しく抱き寄せる。

「おかあさん! おかあさぁん!」

「正人! 正人……!」

 互いに逢いたいと思っていた母と子は、漸く出逢う事が出来た。

 三十分と言う長いようで短い時間、親子は再会の抱擁を続けた。切妻は母と子の間に割って入るような無粋な真似は出来なかった。京子と正人がこうして顔を合わせられるのはこれで最期なのだ。死神になれば記憶の保持も行われるのだが、生憎と二人の霊気量は死神に適さない程に低い。死霊の二人にこれから待つ先は成仏しか残されていない。

 なので、切妻は自分の右腕で支えられた京子が正人を抱き、二人して涙している様を見守るだけにした。気持ちが落ち着き次第、成仏させようと思いながら。


 この時、切妻が仕事を受ける際に美耶の話を最後まで訊き、母と子の為と思って抱擁を見守らずに成仏させていれば。次に起こる惨劇を防げたのだが。


「ありがとうございます。貴方の御蔭で、私は息子に会えました」

「おにいちゃん! ありがとぉ!」

 三十分もの抱擁を終えた京子と正人がそれぞれ礼を述べる。

「気にするな」

 切妻はそうとしか言わない。この後に成仏させるとあまり長々と言い繕うよりも簡潔に纏めた方が双方にとって都合がいいのだ。

「さて、こうして再会出来たんだが、もう自分が死んでるって自覚は?」

「……あります」

「?」

 京子は目を伏せて重く頷き、正人は目をぱちくりさせながら疑問符を浮かべる。恐らく、正人は即死であり、また死についてよく分かっていない年なので自分が死んだ事に気付いていないのだろう。その反面、京子は即死ではなく、死を理解していたからこそ死んだと気付いているのだろう。

「まぁ、何だ」

 切妻は言い辛そうに頭を掻きながら二人に告げる。

「貴女と正人はもう死んでるから、これから転生する為に成仏して貰う」

「転生……ですか」

「そう、転生。転生すると前世の記憶は消える」

「……もし、成仏を拒否したら」

「その時は俺が強制的に成仏させる。俺はそう言った仕事を生業にしてるからな」

「……そうですか」

 京子は目を伏せ、決意する。

「……分かりました」

 目を開け、切妻を真っ直ぐ見据える。

「成仏します。ですが、少しいいですか?」

「何だ?」

「成仏して転生した後……私は正人と一緒にいられますか?」

「それは分からない。それだけは運次第だな。運がよければ兄弟として生まれたりするかもしれない」

「そうですか。……では、成仏するにあたって一つだけ我が儘を訊いて頂けませんか?」

「内容次第だ」

 神妙な顔つきで京子は切妻に願いを告げる。

「私と正人を一緒に成仏させて下さい。もう、息子と離れ離れになるのは嫌なんです。ですが、成仏してしまったら遠くに行ってしまうかもしれない。そう思うと胸が張り裂けそうになるんです。けど、離れたくないというのは私個人の想いでしかありません。ですから、せめて成仏する瞬間まで一緒にいたいんです。お願いします」

 京子は深く頭を下げる。

「いや、別に頭は下げなくてもいいから。それくらいならするし」

 切妻は息子想いの母親なんだな、と思いながら了承する。因みに、切妻と京子が会話している間、正人は二人が何を話しているのかよく理解出来なかったが、京子の悲しそうな顔を見て戸惑う。

「おかあさん、どうしたの?」

「ううん、何でもないよ。大丈夫。大丈夫だよ」

 正人を抱き上げ、安心させるように抱き締める。母親の温もりを直に感じた正人は先程の戸惑いを一気に払い、眼を閉じて微睡みへと向かう。

「……お願いします」

「分かった」

 切妻はこくりと頷き、右腕を上げ、京子と正人の方へと向ける。

 右腕から己の霊気を二人に放出し、あの世へ繋がる道へと強制的に向かわせる。

 ――――筈だった。

 右腕を上げ、霊気を放出しようとした時だった。

 切妻の背後に、突如多大な量の霊気を内包した何かが舞い降りた。

「っ!?」

 切妻は直ぐ様振り返る。

 が、その時には。

「――――――――――――――――――――え?」

 切妻の右腕は宙に舞い、京子の首には穴が穿たれた。

 そして、正人の頭がこの世から消失した。

 頭部を失った正人の体と肩から分離した切妻の右腕は傷口から白い霊気を撒き散らしながら空気に溶けるように消え、首に穴の開いた京子は声を出せずにその場に倒れ込む。

「っがぁぁああああああああああああああっ!?」

 切妻は右肩から神経を伝わる激しい痛みに声を荒げる。白い霊気が零れるその右肩の傷口は綺麗ではなく、引き千切れたかのようにずたずたと筋繊維が垂れる。

 一体何が起きた?

 そう思うよりも早く、今度は腹部に激痛が走る。

「ぐぅああぁぁあああああああああっ!?」

 激痛に苛まされながらも、切妻は自身の腹に目を向ける。

 そこには一本の腕が生えていた。

 否、生えているのではなく背中から突き刺されていた。

 切妻は後ろを見る。

 そこには怨霊がいた。それも変化してしまっている怨霊が。

 街灯に照らされる怨霊の肌は黒々しい赤。目は逆さ月のように曲がり、口は三日月のように開き醜悪な笑みを浮かべている。そして左の腕だけが地面に届くくらいに長かった。

 この怨霊の顔の輪郭を、切妻は知っている。

 それは、二週間前。

 桜井京子の資料に添付されていた写真に、その顔は写っていた。

 幸田克俊。

 桜井京子と桜井正人を殺し、桜井京子の一動作で死んでしまった男。

 肌の色、眼の形、口の開き方は異なっているが、輪郭は紛れも無く幸田克俊その者だった。

 幸田は怨霊と成り果て、桜井親子を狙っていたのだ。

 執着型の例外。幸田の場合は自分が死んでしまった相手とその家族を対象とする。

 彼が金を貸していた相手である桜井京子の夫であり、桜井正人の父親である桜井正也は既にこの世にはいない。幸田によって半霊となる前に、消滅させられたのだから。

 霊気を遮断し、二人が揃うのを窺っていた。自我を失っても、好機だけは見逃さなかった。その場にいる誰もが油断する、その瞬間を。

 幸田は引き抜いた左腕の指を舐めると、重々しい足取りで京子の方へと向かう。

 切妻はそれを防ごうとするが、幸田が左腕を払い、切妻を吹き飛ばす。背中を電信柱に当て、地面に落ちる。切妻の口からは霊気が漏れ出す。体を動かそうとしても、霊気の流出が激しい所為か、言う事を訊かない。精々首を巡らすだけだった。

 幸田は京子の側まで来ると、彼女の背中を踏み躙る。鬱憤を晴らすかのようにしつこく、入念に踏み躙る。しかし、いくら踏んでも彼の恨み辛みはぶつけられない。

 何故なら、幸田の恨み辛みをぶつける方法は自身の腕で貫く事なのだから。

 幸田は京子を踏み躙りながら三日月のような口の角を更に鋭利にさせ、月の形を大きくする。

「……止せっ」

 地面に俯せになった切妻が苦痛で顔を引き攣らせながら目の前にいる輩に向かって叫ぶ。

 例え自分の右肩が幸田の指で抉られ、肩の骨、神経、肉ごと腕をもがれた状態だとしても。腹に拳一つ分の穴が開けられている状態だとしても。傷口から止めどなく白の霊気を流していても、自分の保身の為ではなく、目の前で倒れいる京子の為に叫び続ける。

 これから幸田がする事を、分かってしまっているから叫ぶ。

「止せ、止せ、止せっ!」

 だが。

「止せぇ!!」

 切妻の言葉を訊いてはいるのだろうが、それを無視し、幸田はまるで獲物を捕まえる猛禽類のように右の手を開き、振り上げ、そして――――


 振り下ろし、京子の頭を貫いた。


「……ケケ」

 空気に溶けるようにして消える京子の体を見詰めながら、幸田は笑い声を上げる。

「ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケエケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 自分を死に至らしめた要因をこの手で葬った事による愉悦。快感。それらが幸田の中で犇めいていた。

 歪んでいる。

 生前からなのか、それとも怨霊に成り果ててしまったからなのかは分からないが、歪んでいる。

 このような怨霊は、成仏ではなく、討伐される。


 ガキッ。


 何かが壊れる音がした。幸田は気付かずに笑い声を上げるが、音には反応しなくとも、光には反応した。

 視界を塗り潰す程に強力な白光。幸田は思わず瞼を閉じるが、光は瞼をも透過して瞳に迫る。

 幸田がどうにかしてそれを退けようとする前に、唐突に光は消え去る。

 光が消え、何がどうなったのかを無意識に確認する為に幸田は目を開ける。

 そこには『死神』がいた。

 黒いローブに身を包んだ体は肌は消失し、肉が消え去り、骨が丸見えの状態だ。眼球が収まっていた窪みには鈍い赤の輝きが埋まっている。

 そんな死神の左手には死神の身の丈程の大鎌が握られている。右手には何も握られていない。いや、右腕が存在しない。

 隻腕の死神が取った行動は至ってシンプルだった。

 手にした大鎌を力任せに薙いだ。

 その速度は音速を超えていた。

 幸田は反応し切れずに上半身と下半身が分かれた。

「ケ?」

 何が何だか分からない間に、幸田の上半身は縦に二等分された。そして、死神は大鎌を巧みに操って幸田の頭部を細切れにする。幸田は自分の身に何が起きたかさえも知らずにこの世から存在を消された。

 空気へと溶ける幸田の体と細切れにされた頭部を死神は一瞥する。

 この空虚な空間には、死神が一人だけぽつりと立っている。

「アアォォアアアアァァオオオオオオオォォアアアアォォアアァァァァァァォォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォアアアアアアアアッ!!」

 隻腕の死神は赤く輝く眼孔を天に向け、哭いた。震わせる喉が存在しないのに、空気を取り込み排出する肺が存在しないのに、哭いた。死神は只々、天に向かって哭いた。


 慟哭する死神の足元には、留め具が壊れたチョーカーが転がっている。

 この死神は、切妻瑞貴。死神の力をセーブしているチョーカーを外した本来の姿――本性。

 チョーカーは、切妻の体の内を巡る霊気の激しさに耐え切れずに壊れた。

 切妻の霊気が激しさを増したのは自分の不甲斐無さを責めたから。

 目の前で、消された事を。

 何も出来ずに、消されてしまった事を。

 早く、成仏をしなかった事を。

 早く、見付けられなかった事を。

 切妻は、後悔した。

 後悔しても、もう遅い。

 だから、切妻は哭くしか、なかった。







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