小さな約束
「それよりあなたはビートルズが好きなの?」
「はい!軽音部でビートルズのカバーやってるんです! ビートルズと言えばRicken backerのギターですよね!」
「 カバーを?そうなの!」 律子の声も弾んだ。
「君は見たところ健康そうだけどお見舞い?」
「はい じいちゃんが入院してます。
じいちゃん この時間いつも点滴と検査だからこの時間ウロウロしてます。まだ二ヶ月くらい入院かもしれないです。じいちゃん我がままだから」 少年は初対面なはずの律子にも明るくハキハキと話した。
「そう 大変ね。
なら提案があるんだけど。」
少年はキョトンとした。
「あなたさえよければ この本一緒に買わない?私もほしいけど 君が先に手にしてた、
だけど君はお小遣いが足りない、
よければ明日からこの時間 この本を一緒に見ない?
あー おばあさんとは嫌よね。 ごめんなさい。
少し話し相手がほしくて つい、、、」
「いいですよ!ナイスアイデアですね!」
「ありがとう。そしたらこうしましょう
今日はあなたが持って帰ってちょうだい。 明日三階の中テラスの庭で待ってるわ。今日と同じくらいの時間でね。本を二人で見ましょう。どう?
私が退院する時に 君にその本は渡すわ。
未来ある若者に。ね!」
二人は名前を聞く事のないまま小さな約束を交わした。
少年は大事そうに本を抱え祖父のいる病室に戻って行った。