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勇者の幼馴染みと僕のよくある話

作者: シラ猫
掲載日:2026/10/05

久しぶりの短編になります。

 僕には好きな人がいます。


 それは幼馴染のミーナ。


 淡い水色のショートヘアに髪と同じ色の瞳、シミ一つない白い肌。


 そんな誰もが羨む美貌の持ち主が僕の好きな人。


 告白したことはないけど、お互い好きだと思う。


 そんな幼馴染は勇者となり、驚くことに世界を救ってしまう。





 僕達は山と山の谷間にある小さな田舎の村で生まれた。その年に生まれたのは僕とミーナの二人だけだったし、偶然にも隣の家。お互いの父親は幼馴染で親友なんだ。それだけでも凄い事なのに、僕の母が姉でミーナの母が妹の姉妹なんだ。当然のように家族ぐるみの付き合いだから、僕たちも当たり前のように仲良くなった。


 お互いの両親は農作業で忙しいので、面倒見るなら一緒の方が楽だからという理由で、ずっと一緒にさせられた。お互いの母が日替わりで子守りし、ご飯もお風呂も寝るときまでずっと一緒だった。


 何をするのも一緒で、遊ぶのは当然ながら、病気になる時も一緒。だからか、笑う時も、泣く時も一緒だった。


 それが当然だったし、別に不満もなかった。僕達はよく喧嘩もしたけれど気も合う、仲の良い友達のような家族みたいな関係。


 しかし、成長するにつれて僕は思い知ることとなる。これといった特徴もない平凡な僕とは違い、ミーナは一言でいうと天才だった。字も直ぐに書けるようになったし、狩りも大人顔負けの腕前。しかも、村一番の美少女で器量もいいから、当然のように誰からも好かれた。


 ミーナが褒められることは嬉しいけど、僕は褒められることがないから恨やましかった。ミーナが村の女の子と遊ぶ時があると、僕は寂しくて辛かった。僕にはミーナしかいないか取らないで欲しい。


 反抗期という訳じゃないけど、僕がいたずらとした時に、納屋に閉じ込められたことがあった。夜になって怖くなり泣いていると、扉をあけて助けてくれたのがミーナだった。朝まで一緒にいてくれて両親に一緒に謝ってくれた姿は今も脳裏に刻まれている。本当にありがたい。



 僕はミーナと一瞬にいる毎日が大好きだった。だから、外の世界では魔族が人々を襲っている事実を知らなかったし、その事が僕たちの運命を変えてしまうなんて知らなかった。





 15歳になり、成人を迎えたのをきっかけに、村の外にある大きな街に行ってみた。門番に入町税を支払い、中に入ってビックリした。


 村では考えられない世界がそこにあった。行き交う人々のオシャレな服装や、活気ある屋台の数々。時刻を知らせる時計塔に、領主の屋敷なんかまである。僕たちは夢中で街を散策し、買い食いとか、店の商品を見て回る。


 僕が真剣に商品を吟味している時に、ミーナに肩を叩かれる。振り向くと、柱に貼られている羊皮紙を指差した。読んで見ると、領主が世界を救う勇者を探しているらしい。


 初めての街でテンションが上がっていた僕達は、勇者に選ばれたらどうしようなんて馬鹿な会話し、試しに領主の館に訪ねてみることにした。



 領主の館に近づくと、多くの人の行列が出来ていた。僕達みたいに勇者の選定に来たみたい。僕たちのその列に並ぶ。


 ミーナとお喋りしながら待っていると、直ぐに僕の番になる。武装した兵士達に挟まれた如何にも偉い人がそこにいた。その人の前には水晶玉がテーブルの上に置かれ、それに手をかざせと指示される。


 僕は周りの視線が集中し、緊張して手をかざすと何も起こらない。ほっとした僕は隣にどいてミーナに場所を譲った。


 ミーナが試したら、村に帰ろうと思っていると、部屋を包み込むような強烈な光が水晶から放たれた。


 光が消え、周囲の人間がぽかんとしている中、ミーナは「やったー!」と僕を抱きしめながら無邪気に喜んでいる。



 僕は戸惑っていた。まさかミーナが勇者だったなんてね。



 偉そうな人は領主様だったらしく、近くに控えていた執事のお爺さんに人払いを指示していた。


 領主様にはこれから王都まで一緒に来て欲しいと言われ、逆らえる雰囲気でなく、二人そろって頷く。


 それからは慌ただしかった。


 僕とミーナは領主様に指示されたメイドたちにお風呂に入れられた後に、綺麗な服に着替えさせられる。その後にとても立派な馬車に領主様も同乗し、王都まで行くことになった。



 急な展開で混乱してる僕と違い、ミーナは馬車から見える景色を楽しんでいた。ミーナって意外と肝が据わってるのかな。



 王様と謁見になると、勇者として世界を救済して欲しいを頼まれる。


 不安そうに僕を見つめるミーナに僕は王様に願いでた。


「僕も一緒に行くことが条件です」


 自分でも愚かな言動だと思うけど、ミーナを一人にさせられない。


 僕は知ってるんだ。彼女がとても寂しがり屋だということを。


 渋い顔をしていた王様も僕が折れない事を分かると了承してくれる。


 それを聞いて嬉しそうにしてるミーナを見て、僕は決意した。


 ミーナだけは絶対に守る。




 一度村に戻った僕たちはミーナが勇者に選ばれたことをみんなに伝えた。


 村人みんなが喜んでくれて、中でも飛び切り喜んでいたのは彼女の父親だった。


 僕の父は僕が同行することに不安がっていたが、「お前が必ず守ってやりなさい」と言って、応援してくれた。それを聞いていた母も渋々納得してくれた。


 ミーナの母からは、頼み事をされた。


 何があってもミーナの側にいて欲しい。


 僕は二つ返事で了承した。言っている意味を知っていたから。



 ミーナはとっても寂しがり屋で、とっても優しい人なんだ。





 あれは僕が朝早くに村の用事で隣町に行った時だった。僕がいない事を知ったミーナが酷く取り乱して泣いていたらしい。だからか、帰った時にずっと手をつないで離してくれなかった。


 僕がいないと不安になるんだって。泣きながら寝ちゃったのに、僕に抱き着いて朝まで離れなかったからね。


 その後は終始不安がるミーナとずっと一緒にいる羽目になった。トイレの時はなんとか交渉して許してもらったくらい。



 ミーナがこうなってしまったのは僕のせいなんだ。


 熱をだして寝込んでいたミーナのために、山に薬草を取りにいった時、イノシシに遭遇し大怪我したことがある。


 事情を知ったミーナは自分が熱があるのにかかわらず、僕の看病するって聞かなかったそうだ。


 僕が目を覚ましてからは両親に二人して叱られて、ミーナは僕の隣に布団を敷かれ、まとめて看病された。



 それからのミーナは僕がちょっとでも怪我すると心配するようになったので、僕は躰を鍛えることにした。


 狩りの腕はあまり上達しなかったけど、頑丈な躰だけは手に入れることに成功した。





 王様に支度金をもらった僕達は旅にでることにした。


 世界を救うには、元凶と噂される邪龍を討伐する必要があるからだ。


 王都を出ていく際に、パレードのように兵士に守られながら外門に向かう際、沢山の民衆から応援された。もちろん、声援は勇者であるミーナに向けてだ。


 僕に対して懐疑的な視線を送るやからもいたけど、気にしない。だって僕は勇者じゃなくてミーナを守るために行くんだから。



 旅は順調とは言い難いものだった。


 先ず、パーティーメンバーが、勇者のミーナ、タンクの僕、戦士のルドルフ、魔法使いのソーニャなんだけど、戦いの連携がまったく上手くいかなかった。


 ずっと一緒に育ったミーナとは言葉を交わさなくてもいいけど、他の二人は違う。攻撃タイミングが被ったりするので悪戦苦闘の毎日だった。



 それでみんなのストレスは徐々に溜まっていく。



 そんなストレスを爆発させる事件を僕がやらかしてしまう。まさにチーム分裂の危機だった。



 戦闘中にミーナばかり見ていたから、タンクのタイミングを間違えて、ソーニャが魔物に襲われ、怪我してしまった。


 なんとか魔物を倒せたんだけど、その後が大変だった。


 ソーニャを怪我させた事で怒ったルドルフから僕はぼこぼこに殴られたんだ。


 逆にそれに激怒したミーナがルドルフをぼこぼこにする。


 その異様な光景にソーニャは大泣きしてしまい。カオスな状況になってしまった。



 気まずい雰囲気の中で、僕がみんなに詫びた。


 それが雪解けになってルドルフもミーナも謝ってくれた。


 僕はもっとコミュニケーションを取って連携を上手くいくように提案する。


 そこから少しずつだけど、連携が上手くいくようになり、戦闘がスムーズにいくようになる。





 魔物に慣れてきた頃に邪龍の手がかりを求めて廃村になった村に訪れた。


 そこはゾンビ系の魔物が溢れていたんだ。


 人間の姿した腐った動く死体。鼻が曲がるくらい臭い異臭を放ち、落ちた体液は地面を黒く変色させる。強くはないが、僕の大盾にこびりついた肉片から異臭がするので大変だった。


 しばらくは鼻の奥に異臭がこびりついて取れなくて、ご飯も満足に食べれなかった。


 僕が食べないとミーナが心配するので口の中に詰め込んだけど、トイレに行った時に吐いてしまった。


 カラスやら犬とかのゾンビもいたけど、何とかなったが、その後は大変だった。


 魔物を一層してから手がかりを探すためにバラバラで捜索することを提案する。


 小さな村だったし、その方が効率がいいからね。


 僕が担当したのは、一番大きかった家。多分村長さんの家かな。


 書斎で邪龍の手がかりを見つけたんだけど、戻る時に床が腐っていたせいで、僕は真っ逆さまに落ちた。


 二時間くらい気を失っていたんだけど、そんな僕を見つけてくれたのはミーナだった。


 僕が気がついた時、ミーナは僕を泣きながら抱きしめていた。


 ミーナを悲しませないように鍛えたのに、また悲しませるなんて、僕はダメダメだよね。


 僕が見つけた資料はかなり重要な手がかりだったみたいで、捜索は打ち切ることになった。



 今でもあの時の悪臭を思い出すことがある。


 だから僕は誓った。


 もうあの地には二度と行かないと。





 2年の歳月が過ぎた頃、僕たちの評判は各国に行き届いていた。


 邪龍の手がかりを追いながら困っている人たちを助けたことで名声が上がったらしい。


 最初は勇者であるミーナだけの声援がいつしかパーティーメンバー全員にも送られるようになる。



 僕はそれで浮かれていたんだ。だからまた大ミスをやらかしてしまう。


 邪龍の臣下であるアークデーモンに僕のミスで幼い少年が人質になってしまった。


 抵抗出来ず、見守るしかなかった僕達にアークデーモンはミーナに向けて、呪いの魔術を放った。


 その場で意識を失って倒れてしまったミーナに満足したのかアークデーモンは去っていくが、僕はそれどころじゃない。


 慌てて駆け寄って状態を見るが、怪我はしていないが意識が全然戻らない。


 街の神官に頼んでも解呪できず、大聖堂にいる聖女様に頼んだけど、ミーナの状態は元に戻らなかった。


 色んな手段を試してもミーナの状態は戻らなかったので、王都に一度戻ることにした。



 王都に着いて、王様に報告するとかなり落胆された。


 世間に公表はしなかったが、王様はこの世は終わりだと言わんばかりに部屋に閉じこもってしまう。



 僕は王宮にある一室を借り、ミーナをベッドに寝かせる。


 それから会議室でチームメンバーに今度の方針について話し合うことにした。


 ルドルフは一度解散しようと言ってくるし、ソーニャはミーナが目覚めるのを待つと言い出す。


 二人の意見を聞いて僕が出した結論は、ミーナ抜きで邪龍の討伐続行だった。


 ルドルフは悲観的で無理だと断ってきたけど、僕が何度も頼み込んで了承してもらう。


 ソーニャには「無理だと思ったら帰るから」と言われて旅の続行を許してもらった。




 それからの旅は今まで以上に困難の連続だった。


 まず、僕がミーナの代わりを担当する。


 タンクならいいけど、魔物を倒すのが本当に大変で何度も二人から文句を言われた。


 自分が下手なことは自覚しているので、空いた時間は鍛錬に充てる。平凡な僕にはそれしかないから。


 朝早く起きて鍛錬する。昼間は邪龍の討伐のための時間で、夜は食事の後はまた鍛錬をした。

 そんな生活を3年続けた頃に、ミーナほどじゃないけど僕もそれなりに戦えるようになってきた。



 散々文句を言ってたルドルフも僕の努力を知ってか、徐々に文句も減ってきて、言葉を交わさなくても連携が上手く行くようになる。

 ミーナのことはずっと心配だったけど、彼女の治す手がかりはきっと邪龍が知っているはずだ。



 更に2年過ぎた頃、ルドルフとソーニャがかなり親密な雰囲気になってきている。

 ずっと一緒にいるから相手との距離感はよくわかる。



 ミーナに会いたい。

 ミーナが無事なら邪龍なんて本当はどうでもいい。

 僕の一番はミーナなんだから。

 ミーナ、君に会いたいよ。



 更に1年が過ぎた頃、ようやく邪龍の巣に辿り着いた。



 にっくきアークデーモンを排除し、魔物を討伐しながら進み、ついに奴の姿を拝める所まで来れた。

 盾を片手に持ち、剣を握って僕は駆け出した。



 邪龍は想像以上に強かった。

 巨大なサイズもさることながら、硬い鱗に守られてダメージが入らない。近づけば爪とか尻尾で攻撃してくるし、下がるとブレスを吐いてくる。

 膠着状態の戦闘は徐々にこっちが不利になってきた。


 魔力が切れたソーニャが戦力外になり辛そうにしている。それを邪龍に狙われ、ソーニャを庇ったルドルフも尻尾で殴られ倒れてしまった。



 一瞬、臆病風に吹かれるが、直ぐに邪龍に向かって斬りかかる。



 辛うじて攻防を繰り広げてたが、体力の限界で足を止まってしまった。

 邪龍もチャンスだと思ったのか、口から液体を吐き出すと、僕はそれを浴びてしまう。



 毒液だった。



 皮膚が焼けるような痛みがして、息が苦しい。

 僕は膝をついて、倒れないように剣を地面に突き刺して堪えたが、それ以上何も出来なかった。



 邪龍がブレスを貯める動作を見た時に己の死を悟る。

 思わず目を瞑って死を覚悟したが、何も起きなかった。



 目を開けた時、邪龍は倒されていて、一人の女性が剣を手に持ち邪龍の側に立っていた。

 ミーナだった。



 目を疑ったが、ミーナで間違いない。

 世界中で一番彼女の事を知っている僕が間違うはずなんだ。



 ここにいるってことは呪いは解けたんだ。



 僕がホッとしていると、ミーナが抱き着く勢いで走ってくる。

 慌ててミーナを呼び止め、毒液が掛かっている状態をあることを告げた。



 ミーナは僕が呼び止めたことに不満そうな顔してたが、事情が分かると、懐から小瓶に入った青色の液体を僕の頭上に振りかける。

 液体でびちゃびちゃになった僕に満足したのか、躊躇いもなく抱き着いてくる。



 抱き着かれた状態で事情を聴くと、聖女にもらった聖水らしい。

 そういえば皮膚の焼けるような痛みは消えていた。



 ぐしゃぐしゃに泣いて鼻水垂らながら僕を抱擁するミーナを見て改めて確信する。

 ぼくは本当にミーナが大好きなんだ。

 普通ならこんな顔している彼女を見たら酷い顔って言われると思うけど、僕には彼女が世界で一番綺麗だと思う。




 雰囲気に流されて告白しようと思った時に、ミーナが僕から離れた。

 疑問に思ったら、仲間の手当てに向かうらしい。

 倒れたままのルドルフの許に向かっている。



 僕の間が悪いのか、起きないルドルフが悪いのか。

 もうちょっと二人だけの世界に浸っていたかったのにな。



 結局メンバーで怪我しているのは、僕だけだった。

 聖女様の聖水でも毒液で焼けただれた皮膚は戻らなかった。

 神官や医者に診てもらったけど結果は同じ。



 仕方なく、王都に凱旋する時に包帯でグルグルまき状態で帰ることになる。

 王様の手配でパレードもしたけど、僕だけ包帯男状態。

 多分知らない人から見たら、お前誰だよって言われるよね。




 その後盛大なパーティーが催されたけど、僕は辞退した。

 だって不気味な包帯姿の男がいたら、折角のパーティーが台無しじゃない。

 ミーナも辞退するって言ったけど、主役なんだから行ってこいと言って送り出した。




 ルドルフから聞いた話だけど、パーティーで王子がミーナに婚約を申し入れたらしい。

 ミーナは考える素振りも見せずに断ったとか。

 王族になれるチャンスを逃すなんて惜しいってソーニャは言うけど、僕は安堵した。

 だって僕がミーナの旦那さんになりたいんだもん。




 ミーナの勇者の力が欲してか、王様はあの手この手でミーナに婚姻を打診してくる。その度にミーナは断っているけど、諦める気配が感じられない。困った王様だよ。



 僕はというと、邪龍の討伐に貢献したので王様が治療を色々手配してくれたけど、効果無かった。途中から僕自身が諦めていた。命が助かっただけでも儲けものだからね。



 ミーナも僕の治療の手が掛かりを探していたけど、成果はなかった。



 ある日、ミーナが僕に黙って旅立った。

 置手紙を残しており、読むと、僕の治療方法を見つけてくるらしい。



 怪我の影響でもう戦えないから足手まといかもしれないけど一緒にいたかったよ。

 寂しいよ、ミーナ。




 一週間経ち、一ヶ月経ち、半年経っても音沙汰がない。

 王様もミーナの行方を捜しているらしいが見つけ出せずにいた。




 新年を迎えて少し過ぎた雪の日に、ミーナが王城に姿を見せた。




 彼女は僕に話しかけずにニッコリ笑って、王様と謁見に向かった。

 もちろん、僕も付いて行くさ。



 彼女は王様に言った。

「王様、私は今日で勇者を辞めます」



 彼女の力を王国に役立てたい王様はミーナの言っている意味が分かってないが、反対する。

 最終的に了承しないと他国に移ると言われ、王様は渋々了承してくれた。



 その後直ぐに僕の許にくると、僕を抱きしめて聞いた事がない呪文を唱えだした。



 赤、青、黄、緑といろんな色の小さな光が僕たちの周りぐるぐると飛び回る。




 すると、

 肌に違和感を感じた。



 光が消えうせた時に、ミーナが僕の顔の包帯を取ってくれた。




「ああ、良かった。治ったわ。治ったのよー!」




 どうやら僕は治ったらしい。

 鏡が無いから確認できないけど、ミーナが喜んでいるならそうなのだろう。



 その後に腕と足の包帯を取ると、綺麗に皮膚の状態が戻っていた。



 豪華な椅子に座っていた王様もわざわざ確認しに来る。

 お祝いの言葉をもらったけど、複雑な顔をしていた。




 それはそうだろう。

 ミーナが纏っていた勇者の気配が消えていたから。



 彼女は勇者から普通の女の子になっていた。




 あれから僕たちは生まれ育った村に戻った。

 褒美としてミーナはここら一帯の土地を貰い、領主に任命された。





 そんなこんなで僕らは今日も元気にやっている。


 ルドルフとソーニャは結婚し、3人の子供までいる。僕とミーナも結婚して最近赤ちゃんが生まれた。


 ずっと僕の側にいたミーナは、今では息子の世話で大変そうだ。



 僕の幼馴染は勇者だった。


 竜の毒に侵され、醜い顔になった僕を救ってくれた人。


 勇者の力は失ってしまったけど、関係ないさ。


 だって、ミーナは僕の勇者なんだから。


(おわり)

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