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森の魔女見習いは、光の少年に恋をした  作者: 國村城太郎
第九章 はじまりの魔女

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第41話 三色の魔女、集う時

 ——三つの魔力が重なるとき、戦場は色を変える。

 怒り・友情・愛。そのすべてが巨人を斬り裂く刃になる。


 ——

 流れる水に乗り、滑るように降りてくる、水の魔女サリル。その青い鎧が、鎧兵(ギガント)たちを威嚇するように青く光った。


「サリル様、どうしてここへ?」

 

「お師匠さまから頼まれてね、結界をたたんで、ここまでやって来たのよ。結界があると魔女はそこから離れて力を発揮することができなくなるからね」

 

 話をしながら、牽制のため、水の龍を三体も維持して、よってこようとする鎧兵(ギガント)を狙って襲いかからせる。

 

「そこの炎はちゃんと風を牽制して、ナナは金をお願い。そうね、要するに魔女と同じ属性の色をしてるのね、この子たち」

 

 こともなげにサリルは鎧兵(ギガント)の仕組みを看破する。

 

「お師匠様も来ていれば、四属性そろって楽だったのにね、まぁ仕方ないわね、ここにいる三人でなんとかしましょう」

 

「えっと、ごめん、この人誰?」

 

 そうレアが緑の鎧兵(ギガント)と闘いながらナナに尋ねる。

 

「あ、ええと私の姉弟子のサリル様……っと、あぶない」

 

 そう言いながら、ナナはサリルを狙おうとしていた金の鎧兵(ギガント)に風の刃をぶつけた。

 

「よ、よろしくお願いします。ナナの友達で炎のレアです」

 

「うん、よろしく、挨拶は大事よね」

 

 そう言ってサリルは戦闘中にも関わらずニコリと微笑む。

 

 その優雅な動きは、水のレールに沿って自由自在に動いて、敵の動きを翻弄しながら、なおかつ言葉を乱したりしない。

 

「あのサリル様、トキが痛がっていて早く行ってあげたいんです、なので三人で早くこいつら片付けて先に進みましょう」

 

 そうナナがお願いすると、サリルは、右手を頬にあて、左手で右手の肘を支え、考え込むような姿勢になる。

 もちろん、その間にも踊るように水のレールの上を進みながらである。

 

「よし、じゃあ、三人で協力して、金色だけ優先して倒しちゃいましょう」

 

 そう言って、組んでいた腕を離す。 

  

「よし、じゃあ、水と金以外は……レアだったわね。あなたが牽制してちょうだい。無理に倒そうとしなくていいから、ナナは目の前に金が来た時だけ倒して」

 

「はい、サリル様」

 

「まかせておいて」

 

 二人の返事を聞いて、いよいよ三人の魔女が鎧に魔力を纏わせて金の鎧兵(ギガント)を狙い動き出した。

 


 サリルは自分が有利属性の炎の鎧兵(ギガント)を牽制しつつ、苦手属性の金の鎧兵(ギガント)の攻撃を誘うように動き、その水のレールが、一瞬ナナの前を横切る。

 

「もらった」——その瞬間、ナナの風の刃が風に弱い大地の属性を持つ金の鎧兵(ギガント)を切り裂く。

 

 ナナとレアの二人でちょうどバランスを保っていた天秤は、サリルの登場で完全に魔女たちに傾いた。


 そのうち、金色だけが狙われていると気付いた敵は金の鎧兵(ギガント)をこちらから遠ざけようとするが、そうすると、バランスが崩れ、今度は緑がレアに、赤がサリルの攻撃で被害を受けるようになってしまう。



 しばらくすると、動く金の鎧兵(ギガント)の最後の一体が、ナナの風に切り裂かれて倒れた。

 

「よし、終わり、次はどれを狙いますか?」

 

 そうナナがサリルに問いただす。

 

「あなたは、もういいわ、先に行きなさい」


 サリルの返事に、ナナはぽかんとする。

 

「え?」

 

「そうそう、あとは私たちでなんとかなるから、ナナは先にトキのところに行ってあげな」


 レアもサリルに習い、ナナの背中を押す。

 

「あんたの目的は、あの子を早く取り戻すことでしょ、いいから行きなよ」

 

「そうよ、その為に金だけやってもらったんだから、赤と緑と青なら、私とレアで大丈夫よ」

 

 そう言ってくれた二人に、一瞬頭を下げると、ナナは奥に続くと思われる扉へ向かって駆け出した。

 

 それを阻もうと赤の鎧兵(ギガント)が前を塞ごうとしたとたん、青い龍の顎に飲み込まれていった。

 

「ありがとうございます、二人とも」


 そう言い残して、ナナは奥へ進む、トキのいる遺跡の最奥部はもう近い。



「さあて、言ったからにはしっかりやってくれるのよね?」

 

 そう言ってニコリと笑うサリル。

 

 なんだか背筋に寒気を感じつつ、レアは、「任せてください」と言った。

 

「あなたは緑だけ集中して狙って、赤と青は私に任せてくれたらいいわ」

 

 均衡は完全に魔女側へ傾いた。

 その後、帝国側が持ち直すことは一度もなかった。



 ナナは、まっすぐトキを感じる場所へ向かって遺跡を降りていく。

 

 遺跡を降りたこの辺りはもう壁を壊すような強引なことは簡単にはできず、進む道を探していくしかない。


「トキ、待ってて、すぐ行くからね」

 

 ナナは時折、魔力で風を起こし、地形を探りながら、少し、また少しと遺跡を進んで行った。


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