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森の魔女見習いは、光の少年に恋をした  作者: 國村城太郎
第八章 風と炎の誓い、帝都へ

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第37.5話 炎の魔女の流儀(SS③)

 隊商の野営中の事件で、全身に傷を受け、無理矢理炎で傷を塞いだヴァイスという名の男を連れてレアは空を裂くように飛んでいた。

 向かうは師の結界。

 

「風の子、本当はもっとお話したかったな、同じ歳くらいの魔女に会うの、初めてだったし」——空を飛びながらそんな独り言をこぼしているうち、レアは師匠の結界のある火山に近づいていた。

 

「師匠! 怪我人を連れてきました」

 

「えらく早く修行を切り上げたのかと思ったら、どれ、こっちへ連れておいで」

 

 レアの師である炎の魔女ラニアが、結界でレアを迎え入れてくれる。

 

「こいつは酷いね、何があったんだい?」

 

「実は——」


 レアは帝国の実験体だったという話をかいつまんで説明した。

 

「付け焼き刃にしちゃ、きちんと傷は塞がってるね。上出来だ、あとは任せなさい。レア、私の横についてしっかり勉強しなさい」


 そういってラニアはヴァイスの治療をはじめた……。


「……ひどい事をされてたね。魔力が適合するように、無理矢理身体の一部を遺跡の遺物に置き換えられていたよ。そのままにしておけば、いずれ身体ごと喰われていただろうね——もう焼き払って再生したから大丈夫だがね」


「酷いことを人はするんですね」


「そうだね、私たち魔女には力がある。だからこそその使い方は、まちがっちゃならない。いいね、レア」


「はい、師匠」



 翌日の夜、ヴァイスはやっと目を覚ました。

 

「ここは?」


 見知らぬ場所に呆然とするヴァイスのもとにレアがやってくる。


「あら、やっと起きたのね、身体の調子はどう?」


「ああ、あんたはあの時の魔女か、助けてくれたんだな、ありがとう。俺の身体はもう?」


「大丈夫、もう化け物にはならないわよ、きちんと切り離して燃やしたからね」


「ありがとう……以前は、魔女は怖いものだと、子供の頃聞かされたおとぎ話のままに思っていたよ」


「それは、だいたい悪さして酷い目にあって帰った奴らのお話だからね、まったく」


 少しむっとしてレアが答えると、ヴァイスは慌てて訂正する。


「す、すまない、助けてくれてありがとう」


「いいわ、戻ったら魔女のいいところ、広めてちょうだいね」


 そう言って笑うレアの表情は、とても生き生きとした命の炎をヴァイスに感じさせた。



 3日後、動けるようになったヴァイスは二人の魔女に丁寧に礼を言う。


「本当にお世話になりました」


「ここから普通に出て行くのは難しい、レア修行に戻りがてら、人里まで送っていっておあげ」


「はい、師匠。じゃ、しっかりつかまってよ」


「え?」

 

 レアはその細身に似合わぬ力で、ヴァイスをお姫様抱っこの態勢で抱え上げると、そのまま脚元に爆煙をおこし飛び上がった。


 断末魔のようなヴァイスの悲鳴が火山に木霊していった。


 ——後日、ヴァイスの語る魔女談には、優しいけれど、恐ろしい目にも会うという教訓話があったという。

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