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森の魔女見習いは、光の少年に恋をした  作者: 國村城太郎
第八章 風と炎の誓い、帝都へ

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第37話 再会

 ——闇の中、ひと筋だけ『懐かしい風』が混じった。

 再会は偶然か、運命か。

 その出会いが、帝都侵入の歯車を動かし始める。



 ——

 ナナとレアは腰をあげて、いつでも動ける姿勢をとる。


 茂みの中に潜む複数の気配をナナとレアは感じていた。

 どんなに気配を消そうとも、その保有する魔力は隠せない。これだけ群れる動物は珍しい、おそらく人間の集団であるとナナは感じていた。


 「火薬の気配がないから、帝国兵ではないわね」

 

 そうナナにだけとどくような小さな声でレアが言う。

 

「一人だけ知ってる風の気配があるわ。このままじゃどうしようもないし、こちらから声かけてみましょうか?」

 

 それを聞いて、レアが意を決して声をかける。

 

「そこに潜んでいる人たち。もうバレてるわよ。とりあえず出てらっしゃいな」

 

 そう大声で呼びかけられた集団は少しの間をおいて、茂みから立ち上がり歩いてきた。


 十五人ほどの雑多な服装の集団。帝国兵のように、銃は所持していない。

 ただ手斧やナイフなど粗末な武装はしていた。だが粗末な武装だというのにその訓練された動きは帝国や王国の兵士たちにも負けないほどの洗練された動きを見せていた。

 

「こんなところで若い女二人旅とは随分物騒な話だ。いったい何者だ?」

 

 そう代表者らしき男が話しかけてくる。


「わたしたちは『ただの』旅人よ」

 

 そんな堂々として、普通の少女にはできなさそうな、大きな態度でレアが返事をした。

 

「あんたたちこそ集団でこそこそして何なの?」


 険悪な空気が流れる。

 

「女二人だからと思ったが、まさか帝国軍のものか?」

 

 そうリーダーは話しながら、手を武器にかけていつでも抜けるようにした。

 

 ナナとレアはいつでも魔法を使えるよう、胸のペンダントに手をかけた。


 

 そんなとき集団の奥から声がする。


「ちょ、ちょっと通してくれ」

 

 後ろから一人の男が出てくる。

 

「ああ、やっぱりレアさんだ、私だお世話になったヴェルンだ。わかるかな?」

 

「あ、あの隊商の……」

 

 ナナは懐かしい風がどこから来てるのかをやっと思い出す。

 

「ヴェルンの知り合いなのか?」

 

 リーダーらしき男がそう尋ねる。

 

「そうだ、私の命の恩人だ。帝国の実験体にされた私の身体を救ってくださった人だ。お二人とも、魔女様なんだ」

 

 そうヴェルンが話すと、ざわざわと集団に動揺がはしる。

 

 ナナとレアは視線を交わすと、隠しても仕方ないと、二人でペンダントをそのまま外す。

 

 二人の肌の色がどんどん薄くなり、真っ白な肌になる。目は燃えるような紅に染まり、髪の毛が根元の方より、栗色から金色に変化する。

 

 二人の魔女がそこに現れた。


「ほんものなのか?」

 

「あの髪と目の色、間違いない」

 

 そんな声が集団のあちこちから出ていた。

 

「失礼した。私はこの小隊のリーダー、ゲハルトという。魔女殿はどうしてこんなところに?」

 

 最初に話した男がそう尋ねてきた。

 

「私たちは帝都に向かう途中よ」

 

 レアが文句あるの? と言わんばかりに睨みつつそう言い放つ。

 

「帝都にはいったい何を?」

 

「人捜しよ」

 

 レアの返事に目を白黒させるゲハルト。

 

「レアさん、どうか我々の話を落ちついてきいてくださいませんか?」

 

 そうヴェルンが頭を下げる。

 

 レアとナナは、顔を見合わし頷きあう。

 

「いいわ、すわりましょ。時間かかりそうだしね」

 

 そう言って焚き火の周りにヴェルンとゲハルト、ナナとレアが4人で座ることにした。



「レアたちに救われた私は、同じような人を助けたくて帝国に戻ったんだ。そこで、このゲハルトたちに出会って仲間になった」


「あとは私が話そう」

 

 ゲハルトが話に割り込んでくる。

 

「我々は、帝国支配地域の旧軍人と、帝国軍に恨みのある帝国国民が手を取り合ってつくった、反帝国のレジスタンスだ」

 

 そう言って、彼はナナとレアの顔を見回す。

 

「今回、帝都の地下水路の地図が手に入ったことで、囚われた仲間の救出に向かう所なんだ。あなたたちの目的地は帝都のどこなのかわかっておられるのか?」

 

「おそらく、遺跡の中心部、最奥……」

 

 そうナナが推測を言葉にする。

 

「それは要するに帝城に乗り込むという事になる。どうだろう、私たちと協力して、一緒に帝都に入らないか?地下通路の情報を我々は提供できる」

 

「悪くないわね、でもあなたたちのメリットは? このままじゃ私たちだけが得をしそうだけど」

 

 そうレアが尋ねる。

 

「なに、君たちが帝城に行けばきっと大騒ぎになるだろう? それは私たちには最高の陽動になると思わないかい?」

 

 悪戯そうな表情で、そうゲハルトは答えた。

 

「わかった、協力するわ」

 

 ナナが即座に答えた。

 

「いいの?」——レアが心配そうにナナを見る。

 

「どうせやることは同じよ。トキのとこに真っ直ぐ行って連れ戻すだけだもの」

 

「それも、そうか。よし、わたしもその話に乗るわ」

 

 レアは手をあげて、ナナと拳をコツンとぶつけた。

 

 そして、ナナはゲハルトと、レアはヴェルンと握手を交わした。

 

「よろしくね」

 

「よろしく頼む、魔女殿」

 

「あの時は助かった、そして今回も、ありがとう」


「こっちの為にもなるんだから、気にしないでいいわよ」

 

 四人がそれぞれの言葉で共に行く約束をした。

 

 黒い風がおさまり、熱い風がナナを吹き抜けていった。 


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