The Self‐Defense Forces 3
あれだけ居た化け物達が蒸発して溶けていく。絵美は消化作業に当たりながら、今見ている光景が夢でも何でも無い事にようやく実感を覚え始めた。そして震災のあの時見た光景もそれら全てが現実なのだと再認識させられる。長い一日が終わったかと思いきや、市民の避難誘導と説明回りがが待っていた。旧大戦の遺物が爆発し、自衛隊が投入されて見事火災の鎮火と近隣住民への案内と避難誘導を施して残りの遺物も無事回収したと報じたのである。翌日は全国のニュースでその話題がトップに踊り、自分が成し遂げた事の大きさを肌で実感する事となった。駐屯地に戻り、いつもの日常へと戻ったものの暫くはマスコミが押し寄せる形となった。昼食を取った後、休憩室で椅子に腰かける。喫煙ルームは別にあるので煙の匂いがしないのは絵美にとっては都合が良かった。缶コーヒーを飲みながら壁に設置されたテレビを眺めているとマスコミに遠藤一等陸尉が出演していて思わず口に含んだコーヒーを零しかけた。
「今日見ないと思ったらあんな所に」
「あいつも大変だろ?戻ったら労ってやってよ」
視線をドアに移すと、前田二等陸尉が休憩室に入って来た。
「珍しいですね、休憩室に来るなんて」
「ああ、まぁああいった事に参加した隊員のケアは皆でやる様にしてるんだ。怖くは無かったかい?」
「ゾンビみたいな相手でしたので、恐怖感はありませんでしたが・・・」
「今度の相手が京都の震災の時みたいなのだったら?」
思わず、絶句する。そういった想像はしていなかった。
「誰が相手でも対処はしなきゃいけない。だから色々覚悟は必要になる」
「はい」
「これは仮定の話だがもし、京都の震災を起こした妖怪が今でものうのうと生きていたら、君はどうする?」
「それは、どういう?・・・冗談ですよね?」
前田二等陸尉は、真剣な面持ちで尋ねて来ている。
冗談だろうとは思いつつも裏を読んでしまう。
「勿論、冗談だよ。今言った事は忘れて。ごめんね、変な事を聞いて」
そういって、前田二等陸尉はその場を去っていった。マスコミに質問攻めにされている遠藤一等陸尉を眺めながら先程の質問の答えを自分の中で探し始めた。