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食欲少女、VRMMOを食べる  作者: 豚肉革命
第一章 黒龍王ラグナロク撃退戦。あるいは食欲少女が無敵になるまで。
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第九話 ブルーベリーちゃんのスキルと「デイナムート」

「ブルーベリーちゃん、ステータスって言ってみてくれる?」


「なに、急に。ステータス?って言えばいいの?きゃっ!何か出てきた!何これ!?」


「それはステータスって言ってスキルや職業を習得出来る奴だよ」


「は?なにそれ意味わかんない。そもそもスキルって人間の願望を神力が具現化してる奴でしょ?あたしに使えるわけが...て、そうだったわね。あたし半分天使になったんだった。ああ、なんか落ち込んできたわ」


「そう...で、相談なんだけどどんなスキルを習得したい?」


「ちょっと!いまあたしが落ち込んでるのが見えないの!あんたのせいなんだからせめて慰めなさいよ!」


「そんなこと言われても自業自得だってさっきも言ってたじゃん」


「くぅぅ。そうなんだけど!そうなんだけど!慰めるくらいしてくれてもいいじゃない!」


「わかったわかった。天使になっちゃって残念だったね」


「心がこもってない!」


 ええ?そんなこと言われても。感情こめて慰めるなんてやったことないし。こんな感じ?


「残念だったね?」


「何で疑問形なのよ。はあ、もうそれでいいわよ。で、スキルだったかしら。いままでそんなの使ってなかったし何でもいいわよ」


「じゃあ私が勝手に決めちゃうけどそれでいい?」


「いいわよ。どうせ弱くなってるんだから多少強化したところで誤差でしょうし」


 そうか。じゃあどうしようかな。もともと悪魔だし魔法とか得意そうだよね。そんな感じで埋めていこうかな。


〔名前:ブルーベリー

 Lv:1

 種族:悪魔/天使

 職業:天魔

 スキル:メインスロット:『冥術(強化)』『風魔法』『土魔法』『魔力強化』『魔力腕』『採掘』『料理』『鍛冶』『調薬』『従者』『天魔波旬』『天地神明』

 サブスロット:〕


 大悪魔だからなのか悪魔/天使という特殊な種族だからなのか天魔という職業が選択できた。英雄と同じように強力な職業だったのでこれにした。あと魔力腕という魔力で腕をつくれる普通ではない特殊なスキルもあったので選んでおいた。


「こんな感じでどう?」


「あんた悪魔に魔法を使わせるって...人の心とか無いの?」


「えぇ?どういうこと?悪魔って言うくらいだから魔法とか得意なんじゃないの?」


「そんなわけ無いでしょ!そもそも魔法って言うのは人間が作り出した技術で悪魔からすると下等な技なのよ!」


「へえー。でももう習得しちゃったからね。どうしても嫌だったら使わなくてもいいよ」


「そうは言ってないでしょ...しかたがないから使ってあげるわ」


 ふう。ひと段落したかな。それじゃあ魔法を試してみようかな。って、そういえば私金策に来たんだった!解呪とか召喚とかいろいろありすぎてすっかり忘れてた!よし、夕方までまだ時間があるし。草原の魔物を狩りつくすつもりで行こう!


 しばらく魔物を狩っているとふとチラッと見た依頼掲示板に薬草採取の依頼が張ってあったのを思い出した。そういえばこんなに草があるのに採取が反応しないな?


【チュートリアル 採取してみましょう 採取するものを摘んでみましょう。最初は素手でも大丈夫ですが毒がある植物もあるので手袋をしたほうがいいでしょう。採取のスキルがあれば通常よりも楽に作れます。生ものは劣化するのでインベントリに入れるか氷などで冷やしましょう 報酬:〈武器強化結晶〉1個】


 そういうことかー!採取スポットとかそういうのは無いのか!それなら早速その辺の草をむしってみよう。


【チュートリアル クリア 〈武器強化結晶〉を手に入れた】


 むしった草を鑑定してみよう。


〔〈雑草〉R:1 耐久62/100

 特に何の効果も無い雑草。繁殖力が高い。

 『鑑定』結果

 サレワラ草。サレワラ科サレワラ属。さまざまな環境に適応できるため変異種が非常に多い。〕


 えぇ...ただの雑草に科とか設定してあるの...このゲームの製作者は変態だな。まあいいや。それだけ種類があるのなら味に違いも有りそうだし目に付いた奴から適当にむしってこう。


 おっ、空が暗くなってきた。スライムのほかにも角の生えたウサギとか蛇とか結構狩れたしLvも10に上がった。そろそろギルドに換金しに行こう。ちなみに採取したものは全部雑草でした。


 街に着いたら門番のグレンさんが話しかけてきた。


「イートじゃないか。今度はスライムを焼いてないよな?」


「当たり前じゃないですか。自慢じゃないですが私は一度注意されたことを繰り返したことが無いんです」


「そ、そうか。まあそれならいい。じゃあまたな」


「はい、また」


 街に入るとついてきたブルベリーちゃんが話しかけてきた。


「ねえ、あんたイートって名前なのね」


 そういえば自己紹介を忘れていた!


「そうだそうだ、ごめん。忘れてた。私の名前はイート」


「聞き忘れたあたしも悪いし謝罪はいらないわ、イート」


「そういってくれると助かるよ」


 うっかりの清算も終わってしばらく話しているとギルドに着いた。受付に向かって集めた素材の納品依頼があるか聞く。幸い全部の素材の納品依頼があった。私が食べる分だけのこしてすべて売ると52300ゴールドになった。あれ?草原で5時間狩ってこの値段ってことはサハギンの姿焼きめっちゃ安くない?まあいいか。これからカイナートさんに奢ってもらうんだ。安いのはいいことだろう。


「じゃあ夕飯に行こうか」


「そうね。いろいろ有りすぎてお腹空いたわ」


 「デイナムート」に着いた。カイナートさんいるかな?


「おっ、イート。こっちだ、こっち」


「カイナートさん」


 もう近くにいたようだ。


「うん?後ろにいるその人は誰だ?」


 ブルーベリーちゃんのことだ。どう紹介しようか。


「えーと...私の従者です」


「従者?まあそういうこともあるか。よし、その人の分も奢ってやろう」


「え!そんな、悪いですよ」


「いいよいいよ。ここの料理は安いし」


「そういうことなら...ありがとうございます。ほら、ブルーベリーちゃんもお礼いって」


「あたしも?えーと、ありがとうございます?」


「なんで疑問形なの。ちゃんとして」


「はは、別にかまわないよ。じゃあ入ろうか」


 店に入った。夕飯時だというのに人が少ない。なぜだろう。不思議に思っていると察したのかカイナートさんが説明してくれた。


「ああ、人が少ないのが不思議かい?ここは冒険者用のバフ料理を出してる店だからね。これから冒険に行くって時でもなければなかなか来ないよ」


「そうだったんですか」


「ちなみに実はこの店にはチャレンジメニューなんて無いんだ。私たち冒険者が勝手にそう呼んでいるだけでね。店主は普通の料理として出してるよ」


「そうだったんですか!?」


「ああ。冒険者にとって料理バフは重要だ。それが付くわけでもなくただ腹にたまるだけのメニューだからね。それに腹の容量は料理バフの量に直結するから、料理を食べ切れなかったなんていわれると冒険者としての意識を疑われるんだ。あと見た目が気持ち悪いし。だからこそ食べ切った人を尊敬するんだけど」


「へえー」


「それじゃあ、好きなものを頼んでくれ。出来ればチャレンジメニューを食べているところを見せてほしいがどうしてもってわけじゃないからな」


「分かりました」


 さて、何を頼もうか。どうせなら食べたことの無い奴を頼みたいが。ん?足煮込み(スライム使用)?何だこれは。まさかスライムを美味しく料理したというのか?説明はスライムで足を煮込んだ料理としか書いていない。これにしよう。


「私は足煮込みにします」


「足煮込み!?そ、それを頼むのか。さすが英雄だな」


 そんなになるほどの料理なの?


「わ、私はハンバーグ定食にしよう」


「ブルーベリーちゃんは?」


「うーん。あたしはこのから揚げ定食特盛で」


「そうか、よし。注文しよう。すいません」


「はい、注文お決まりでしょうか」


「私はハンバーグ定食を」


「あたしはから揚げ定食特盛」


「私は足煮込みをください」


「あ、あなたは...今度は足煮込みですか。分かりました。えーと、ハンバーグ定食が一つ。から揚げ定食特盛が一つ。足煮込みが一つでよろしいですね」


「はい」


 足煮込み。楽しみだなあ。

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