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食欲少女、VRMMOを食べる  作者: 豚肉革命
第一章 黒龍王ラグナロク撃退戦。あるいは食欲少女が無敵になるまで。
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第十五話 黒龍王討伐の報酬

〔黒龍王ラグナロクが死亡したことにより決戦スキル『ラグナロク』が解除されます〕


 おお、周りの燃え盛る地面が元の雪山に戻っていく。不思議な光景だ。


「おおっ、誰かが出てきたぞ!あの人たちが黒龍王を討伐したのか!」


 うわあ。めっちゃ注目されてる。どうしよ。そう思っているとなんか豪華な服を着たイケメンが話しかけてきた。王子様って感じだ。


「やあ、はじめまして。さっき冒険者に聞いたんだけど君たちはイートとブルーベリーという名前なんだってね。黒龍王を討伐してくれてありがとう。国を代表してお礼を言うよ」


「ああ、えーと。ど、どういたしまして?」


「ははは、そんなに硬くならなくてもいい。君たちはこの国の英雄なのだから」


「はあ。分かりました」


「それで本題なんだけど君たちにはこれから王城に来てほしい。人類誕生以来誰も成し遂げることが出来なかった黒龍王討伐を果たした英雄だ。褒美を渡さないわけには行かないからね」


「そういうことなら...」


「よし、決まりだね。転移してくれ」


「え、ちょ」


 展開が速い。気づいたら豪華な装飾が施された大きい扉の前に立っていた。


「ここが謁見の間だよ。これから父上と会ってもらうけど礼儀作法とかは気にしなくていいよ」


 えぇ...何だこの人。即断即決じゃん。判断と行動が早すぎる。そして謁見って。急すぎるでしょ。


「その前に、なんで私たちだけなんですか?」


「ああ、他の冒険者には褒美を断られてしまってね。自分たちでは黒龍王を倒せなかっただろうということらしい」


 そんなこと無いと思うけど...まあ実際に戦ったひとがそういってるんだ。納得しておこう。


「準備は出来たかな。さあ、行こう」


 だから早すぎるって。心の準備がまだ済んでないんだけど。


 扉が開く。中に入るといかにも王様っていう格好をした人が豪華な椅子に座っていた。


「よく来たな。英雄イートと英雄ブルーベリー。欲しいものはあるか?黒龍王を討伐してくれた報酬とは別にどんなものでも用意してやろう」


 この人も判断が早い!私たちが部屋に入ったとたん話し始めた。まあ長々と興味の無いことを話されるよりはいいと思っておくか。それで、欲しいものか。


「美味しいものをください」


 まあこれだよね。


「む?それだけでよいのか?」


「はい」


 むしろ他に何がいいのかが分からん。


「うむ。そういうことなら黒龍王討伐記念パーティーの準備をさせている。あと少しで料理が出来るはずだ。世界中から食材を集めたので存分に食べていくといいだろう。それとこの国の料理屋で頼んだものの代金はすべて余が払う。」


「ありがとうございます!」


 何だこの王様...最高じゃん。


「よい。黒龍王を討伐してくれたのだ。こんなものではまだまだ足りないというものだ。ではユリウスよ、パーティー会場まで案内して差し上げろ。ついでに報酬も払っておいてくれ」


「分かりました父上。では行こうか。こっちだよ」


 もう終わった...まあこんなものなのかな。


「じゃあ宝物庫まで転移してくれ」


 えっ。まさか王城内の移動にも転移を使ってるの?


「ここが我が国の宝物庫だよ。それでこれが報酬の入ったマジックバッグだ。まだ容量に余裕があるからこの宝物庫に入っているものをどれでも好きに持って帰っていい。ああ、私がいると邪魔になるかな?外に出ていよう。終わったら出てきてくれ」


 えぇ...何だそれ。大雑把過ぎるでしょ...とりあえずこのマジックバッグって奴の中身から確認してみよう。


〔〈マジックバッグ(最高級)〉R:9 耐久‐/‐ 帰属:イート 譲渡不可 破棄不可

 アイテムを大量に入れられるバッグ。最高級なので中の物の時間が止まり重量が無くなる。最高級なので容量は城が一個入るほど。

 『鑑定』結果

 最高の職人と呼ばれるデラモーンが長い時間をかけて作り出した最高傑作の一つ。国宝。〕


〔〈100000000000ゴールド〉〕


 は?え、えーと。いちじゅうひゃくせん...い、一千億ゴールド...ま、まあうん。黒龍王を倒したんだし。これくらいはむしろ当然ってもんでしょ。


「ねえ、イート」


「ん?どうしたの、ブルーベリーちゃん」


「さっきからいろいろありすぎて話す暇が無かったんだけど...これ、あたし召喚される前より強くなってるわよね」


「え?ああ、まあ、うん。そうね。黒龍王倒したしね」


「そういうわけで冥界まで戻れるようになったのよ。だからひと段落したらでいいけど一度家まで戻っていいかしら?」


 冥界か。前ブルーベリーちゃんが食べ物は変わらないって言ってたから優先度はそんなに高くないけど...ブルーベリーちゃんの家は興味が有るな。


「冥界って私もいっていい?」


「え?イートも来るの?あたしの家に使用人以外が来るなんて初めてよ!歓迎するわ!」


 ブルーベリーちゃん...まあ喜んでくれたのならよかった。


 さて、ブルーベリーちゃんとの話も終わったし。


「それじゃあ宝物庫の物を漁ろうか」


 もらえるものは貰っとかないと損だよね。


「そうね。まあでも人間の持ってるものだしそんなに性能の良い奴は無いでしょ」


「そういえばブルーベリーちゃんの装備すごく強かったね」


「まああたしは冥界でも数少ない大悪魔だから装備も強くて当然ね!」


 うーん。なかなかピンと来るアイテムがないなあ。


「ブルーベリーちゃん、そっちは何かいいものあった?」


「無いわね。全部あっても意味ないかあたしの家にあるものの下位互換ばかりよ」


「そっか。じゃあもうちょっと奥のほうを見て何もなかったら終わりにしようか」


「そうね」


 結局何も無かったので宝物庫から出た。


「終わったかな。なにかいい物はあったかい?」


「無かったわね。もうちょっといいものそろえたほうがいいんじゃない?」


「ブルーベリーちゃーん!」


 事実でももうちょっと言い方を選んで!


「す、すいません」


「はっはっは!かまわないとも。どうせ黒龍王に通用するような武器や防具など無いのだからな!それを成し遂げた君たちでは物足りないだろう」


 優しい人でよかった。


「ではパーティー会場まで行こう。転移してくれ」


 やっぱり移動は転移なのか。


「ここがパーティー会場だ」


 広っ。なんだここ。それにテーブルに料理が山盛りになっている。すごく美味しそうだ。


「料理はもう用意してある。好きに食べてくれ」


「うえっ、あっ、はい。ありがとうございます」


 しまった、料理を見すぎて反応が遅れてしまった。


「それでは僕はこれで」


「えっ」


 行ってしまった。まあいいか。いまはそれより料理だ。近くの椅子に座って食べ始める。肉はまだ黒龍王の余韻があるから後に回そう。まずはサラダからにしよう。


 美味しい。新鮮な野菜の味に酸味の有るソースがよく合う。それにさすがは王宮。食材もいいものを使っている。さて、次はスープかな。


 これはコンソメスープかな。具材に味が染みていて美味しい。ん?これは...天ぷらまであるのか。茄子にピーマン。それに芋。他にもさまざまなものが天ぷらにされている。


 うーん。サクサクしたいい食感だ。美味しい。おっ。ポテトが揚げてあるじゃないか。これも食べよう。


               ◇◇◇◇◇


 食事に集中していると使用人が話しかけてくる。


「あ、あの。申し訳ありませんが用意してある料理が尽きてしまったので出来上がるまで少しお待ちください」


 え?辺りを見ると皿に盛られていた料理がなくなっている。どうやら食べ過ぎてしまったようだ...しかしどうやら少し待てばまた料理が出てくるようだ。よし、待とう。

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