第十三話 料理スキルの詳細
生産室はさまざまな設備が詰め込まれている。スペースが足りなかったのかな。観察していると納品ボックスと書かれた箱と素材ボックスと書かれた箱と生産依頼一覧と書かれた紙が置いてあり壁に時計がかけられている。
生産依頼一覧と書かれた紙には納品してほしいアイテムが書いてある。料理の欄には肉野菜炒めや目玉焼きなどの基本的な料理が書いてある。
さて、まずは貰ったレシピを確認してみよう。
〔料理のレシピ(基本)
基本的な技術と料理が載っている。作った料理にバフ効果を付与できる。料理スキルを持っているものにしか効果がない。
切る 焼く 魔力を混ぜる など
肉野菜炒め 目玉焼き 味噌汁 など〕
〔調薬のレシピ(基本)
基本的な技術と薬が載っている。作った薬が効果を発揮する。調薬スキルを持っているものにしか効果がない。
磨り潰す 加熱する 魔力を注ぐ など
初級肉体回復液 初級魔力回復液 初級異常回復液 など〕
〔鍛冶のレシピ(基本)
基本的な技術と武器防具が載っている。作った武器防具に特殊な効果を付与できる。鍛冶スキルを持っているものにしか効果がない。
叩く 研ぐ ルーンを刻む
鉄の短剣 鉄の槍 鉄の盾 など〕
どうやらレシピは持っているだけで効果があるが本として読むことも出来るようだ。読んでみよう。
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はじめに
本書で言う料理とは普段やっている食事としての料理ではない。戦闘を支援するための日常とはなんら関係ない技術だ。もちろん料理スキルを極めれば普段の食事もよりいっそう美味しくなることは否定しない。だがそれは料理スキルの本質ではない。
目次
料理とは
食材の魔力を混ぜる
料理の効果を決定する
食材の魔力を増幅する
料理技法一覧
料理レシピ一覧
料理とは
料理とは食材に宿っている魔力をそのまま保存し、増幅することでその食材を使った料理を食べた者の能力を強化するという技術だ。ゆえに料理スキルの使用にもっとも大切なのは魔力の操作精度だ。魔力の操作精度が悪いと必然料理の効果も落ちる。
それと当然のことながら料理の効果は永続しない。魔力には限りがあるからだ。料理人はこの限り有る魔力を効果時間と効果量。どちらに振り分けるかを常に考えなくてはならない。効果時間が足りなかったから全滅しました。や、効果量が足りなかったから全滅しました。などと言うことにならないよう気をつけよう。
食材の魔力を混ぜる
食材単体では料理の効果を発揮するに至らない。なので複数の食材の魔力を混ぜる必要がある。そのためには食材と料理にあわせた工程をレシピ通りにこなす必要がある。もちろん料理スキルに身を任せればレシピに書いてある通り正確にやってくれるだろうがそれでは料理人としての技量が成長しない。なので私は少なくとも一度はスキルに身を任せずに調理してみるほうがいいと思っている。
料理の効果を決定する
当然のことだが料理の効果は使った食材によって変わる。だがそれは料理の効果を調整することが出来ないということではない。食材の魔力を混ぜる際特定の食材の魔力を多くするなどの調整をすることで料理効果のある程度の変更が可能だ。この調整はレシピに載っていないので自分で開発するか人に聞く必要がある。至高のレシピを目指そう。
食材の魔力を増幅する
料理の最終工程として食材の魔力を増幅し、料理効果として定着させる必要がある。この工程を経ていないと少量の魔力が単一の状態に戻ろうとする作用に抗いきれず再びばらばらになってしまうのだ。食材の魔力を増幅するには専用の加工が施された皿が必要となる。ちなみにこの皿は生産ギルドが提供しているので安心してほしい。
さて、話を戻そう。前述した工程を解説するが難しくは無い。盛り付けが終わった皿に魔力を込めるだけだ。しかし料理を大量に作っていると忘れがちになるのがこの工程だ。絶対に忘れないようにしよう。
料理技法一覧
さまざまな技術が書かれている...
料理レシピ一覧
さまざまな料理が書かれている...
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なかなかためになる本だった。ブルーベリーちゃんにもあとで読んでもらおう。よし、とりあえずやってみるか。
まずは料理に合った食材を用意する。今回は肉野菜炒めを作ってみることにする。とりあえず材料も工程もレシピ通りやってみよう。
...
完成だ。野菜の切り方や食材をフライパンに入れる順番なども詳細に設定してあって少し戸惑ったがあれが食材の魔力を混ぜるということなんだろう。
あとはこの皿に魔力を込めるだけだな。...魔力を込めるってどうやるんだ。
【ヘルプ 魔力を動かす 魔力を動かすには体内の魔力を意識して動けと考えてください。普段はなにも感じないようになっていますが意識すれば魔力を感じることが出来ます】
【ヘルプ 魔力を込める 体内の魔力を触れているアイテムまで動かしてください】
魔力を意識か...おお、本当だ。何か体の中に力があるのが分かる。これを動かそうとすればいいのかな。えーと...動いた!なんだか変な感覚だ。ゾワゾワする。前に魔法陣を使ったときはこんな感覚しなかったのに。
〔称号『天然魔力使い』を取得しました〕
えぇ...何それ。まあいい。確認は料理を完成させてからにしよう。えーと、魔力を込めてっと。
【チュートリアル クリア 初級回復液のレシピを獲得しました】
うわっ、そうか。このチュートリアルまだ終わってなかったのか。完全に忘れてた。まあこれは関係ない。取得した称号を確認しよう。
〔『天然魔力使い』 魔法を使用する前に魔力を操作した。”こりゃ!まずは魔法を使ってみろと言ったじゃろ!”
魔力の操作精度が向上〕
そうか。そういえば私一度も魔法使ったこと無いな。まあ損になるような効果じゃないみたいだしいいか。
さて、ブルーベリーちゃんも鍛冶に集中してるみたいだし。私も料理に集中しようかな。
◇◇◇◇◇
ふう。うわ、もうこんな時間か。ひと段落したところでふと時計を見てみたらかなり時間が経っていた。そろそろ終わりにして帰ろう。
「ブルーベリーちゃん、もう結構時間経ったよ。そろそろ帰ろう」
「ん?ああ、もうそんなに経ったの。分かったわ」
生産ギルドの受付まで鍵を返しに行く。
「すいません、鍵です」
「ああ、はい。結構長い間やってましたね。お疲れ様でした」
「それじゃあさようなら。またきます」
「はい、さようなら」
生産ギルドからの帰り道を雑談しながら歩く。
「熱中してたみたいだけど楽しかった?」
「そうね。いままでやったこと無かったけどやってみると意外と楽しいわ」
「それはよかった」
宿舎に着いた。夜ご飯も朝ご飯と同じように無料で出してくれるようだ。ありがたい。
食べ終わったので部屋に戻る。
「じゃあ私は寝るからブルーベリーちゃんは昨日と同じように好きにしてていいよ」
「分かったわ」
「明日もたぶん7時に起きるから」
「うん」
「じゃあおやすみ」
「おやすみ」
「ログアウト」
〔お疲れ様でした〕
ふう。さて、あとは現実でもご飯を食べてお風呂に入らないとな。
「恵ー、起きてるー?」
「どうしたのお母さん。起きてるよ」
「ああ、降りてきたの。そうそう、言ってなかったけど明日京都に行くんだけど恵は来る?」
「えっ。京都?」
「そう。ちょっと用事があってね。一緒に行くんならお昼はちょっといい店にしようと思ってるんだけど」
「行く!」
「分かった。じゃあ準備しといてね」
京都かー。美味しいものいっぱいあるし楽しみだな。ああ、そうだ。ブルーベリーちゃんに明日ログインできないって伝えておこう。
「ログイン」
「ん?どうしたのよ。急に起きて。寝たんじゃなかったの?」
「明日は一日寝てると思うから誰か来たらそういっておいて。あと明日は街から出なければ好きにしてていいよ」
「ええ?一日?まあ分かったわ」
「じゃあ今度こそおやすみ!」
「おやすみ」
「ログアウト」
〔お疲れ様でした〕




