表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/129

第60話 想像していなかった結婚

 窓から差し込む温かい日差しに包まれながら、お父様と一緒にカイトの近くまで歩いて行く。


 その間、私はこれまでのことを頭の中で振り返っていた。


 今でも婚約を申し込んで来た理由はわかっていないけど、何故か当然にリアン家に送られてきた手紙。

 そして仕方なく受ければ放置される毎日。


(愛人でも居るのかと思うくらいの放置だったから、作る気はないって言われた時は驚いたなぁ)


 夜会で勝負を受けてから惚れさせるために奔走していたはずだけど、結局成果があったのかもわからないし。


 急に決まったデートからカイトの様子も変わって来て、どこに行くにもついて来たり大変だった。

 それで助かったこともあるけど、本当に毎回ついて来るのは勘弁して欲しかったな。


 カイトには何度も心の内を見透かされて、言葉一つ一つが私の胸に刺さった。

 いくら線を引こうとしてもすぐに踏み込んで来るカイトにはどうしても敵わない。


 楽しいことばかりじゃなかったけど、これから二人で歩んで行く道が楽しいと幸せが続くことを願って。


 思い出も振り返り終わったところで、カイトの近くへ辿り着いた。


「エア、幸せになるんだぞ」

「もう幸せですよ」


 お父様の腕から手を離せば、お父様はそう呟いた。

 その時寂しそうな表情ではあったけど、私が微笑めばすぐに安心した顔を見せた。


 それからカイトと並んで牧師の話を聞く。


「健やかなる時も病める時も、お互いを愛し支え合い続けることを誓いますか?」

「「誓います」」

「それでは誓いのキスを」


 その言葉を聞いて私は固まった。


(え?誓いのキス?…そっか!キスあるじゃん!私はどうしてそれを忘れてたの?!)


 周りからはわからないだろうが、私は今酷く動揺している。

 それをわかっているのはおそらく、目の前にいるカイトだけだろう。


 だって、今も笑いそうになっている。


「ふっ…」

「…っ!!」


 カイトは柔らかく微笑んでから私の唇にキスを落とした。


 体温が伝わって来るし、顔も近くて心臓鼓動がどんどん加速していく。

 一度目ではないけど、両想いになってから初めてのキスだから余計に緊張する。


(…てか、長いっ!!)


 あまりにも長くて周りが困惑して来ていたので、私はカイトの腕を軽く叩いた。

 そうしたら、ようやくカイトは唇から離れる。


「ははっ」

「何笑ってるんですか!」


 幸せそうに笑うから、唇が離れたのに速い鼓動が全然収まらない。


 とにかく恥ずかしいという気持ちで結婚式は終えた。


 それから夜の結婚発表をする夜会の準備だ。

 始まるまではカイトと会話をして時間を潰すことに。


「白いドレス姿のエアも綺麗だった」

「ありがとうございます…、殿下もかっこよかったですよ」


 式が終わってから数時間経つものの、まだ恥ずかしさが残っていた私は普段通りに話せず敬語になってしまう。


「どうしてあんなにキス…長かったんですか?普通一瞬なのではないでしょうか…」

「そうとは限らないだろ。エアがよく読む小説にはキスは一瞬だと書いてあるのか?」

「うっ…書いてないです…」


 小説にはそこまで書かれていない。

 だから一瞬だったのか、長いのかは定かじゃなく、普通は一瞬というのはただの私の想像だ。


「でもあんなに長くされては後でお父様の顔を見るのも恥ずかしい!」

「その内慣れる」

「慣れるようになるほどキスするつもりなんですね!?」

「悪いか?」

「悪いです!心臓がもちません!」

「それなら仕方ないな」


 そんなことを言いつつも、絶対に頻繁にキスをしてくるような男だと私は知っている。

 だからその言葉は信用ならない。


(もっとそういう恋愛要素多めな本を読んで、勉強して耐性をつけておかないと駄目だ…)


 そうじゃないと本当にこの先耐えられない。

読んで頂きありがとうございました!


次回は日曜7時となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ