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ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


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第57話 ずっと行きたかった場所

 楽しく会話をしながら馬車で進んで行き、二人は街に着いた。


 予想通り、馬車から降りれば周囲の視線を一斉に集めている。

 そして手を繋いで歩き始めれば、驚く声が耳にたくさん入って来た。


 皆はどうしてこの二人が堂々と街を歩いているのか、さぞかし気になっていることでしょう。


「本当に変装しなくて良かったんですか?」

「もう変装しなければならない理由はないだろう」

「そうですけど…ちょっと心配です」


 不思議な目で見られるのは一向に構わないけど、何か面倒ごとにでも巻き込まれるのは嫌だなと思っていた。


 令嬢に会えば色々聞かれるだろうし、嫉妬で嫌みでも言って来るはず。

 それか、性格のひねくれた男たちに絡まれることだってあるだろう。


 まあそれも、カイトが何とかしてくれると思うけど。


(王宮騎士団のイアンじゃなくて、王太子のカイトに言われたら誰も何も言い返せないもんね…)


 変装していないのは、私を守るためという理由も含まれていそうだ。


 そうこうしているうちに宝石屋に着いた。

 最初のデートで行った所とは違って、もっと大きな店で明らかに高級そうなものしかない。


(値段が…高い…)


 私は値段を見て絶句した。

 宝石一つでこんなに値が高いなんて、本だと何百冊と買えてしまえる程だ。


「どの宝石にするのか決めているのか?」

「はい。赤にするつもりです」


 結婚するのだから当たり前のことのようにそう答えたのだが、カイトにとっては予想外な言葉だったようで驚いていた。


「どうして驚くんですか?」

「いや、赤色を選んでくれるのは嬉しいが、自分の色のものも買っていいんだぞ?」


(あーそういうことね)


 前は赤色のドレスを持っていないと思って勝手に仕立て屋を呼んで作らせたし、デートで赤い宝石の装飾品を買ったから、私が無理に赤色を選んだのだと思ったようだ。


「このぐらいカイトの色を纏っておかないと、周りの方が私たちが本当に両想いだって信じなさそうでしょ?」

「…そうだな」


 自分の色も買っていいと言っておきながら、赤色を選んでくれたことに心底うれしそうにしている。


「その代わり、カイトもちゃんと私の色を纏って下さいね?」

「もちろんだ」


 私としては値段がましな宝石を選びたかったけど、結局店主の話やカイトの意向で希少価値が高く値段もおかしなくらい高い宝石を買うことになった。


 カイトはあまり物欲がないから資産はたくさんあるかもしれないが、これに使うくらいなら正直他のことに使ったらいいのにと思ってしまう。


「少し休憩しよう。いい所があるんだ」

「それは楽しみです!」


 カイトが行きたい所を決めているなんてこれまた珍しい。

 カップルが行くようなところには詳しくないと言っていたのに。


 そうして連れて来られた場所は、私が最初のデートで二番目に訪れたカップルしか入れないカフェだった。

 相手の居なかった私が入れず、反対側のカフェから観察していたあのカフェ。


「どうしてここに…」

「もうカップルだから入れるだろう。入りたいと言ってたじゃないか」


 確かに言った。カイトに対してどれほど入りたいか嘆いてた記憶が鮮明に頭に残っている。

 中に入れたらどれほど幸せかと、そう言った。


 けれどその時私は、カイトと入れば皆が堂々とラブラブ出来なくなるから駄目だとも言ったし、それに対してカイトはじゃあ二度と入れないなと言っていたことも覚えている。


「入って大丈夫ですかね…。ちゃんと皆イチャイチャしてくれるかな…?」


 見たいものが見れないかもしれないという不安を抱きながらも、いざ入れるとなったらすごく入りたい気持ちでいっぱいだ。


「俺たちがイチャついていれば周りも自然とそうなるんじゃないか?」

「確かにそうですね…って、え?!」

「入るぞ」

「ちょっ…ちょっと待って下さいよ!」


 悩んでいる私を気にもせず、手を引っ張ってカイトは中へと入って行った。


(カップルを見たいだけなのに私たちまでイチャイチャしろって言うの?!心の準備が~!)


 中に入ればもちろんカフェは一気に静かになった。


(あ…カップルしかいない…幸せ…、じゃなくて!やっぱり皆動揺してる…!)


 私が婚約も結婚しないと謳っているのも、またカイトと私が婚約しているのも周知の事実。

 少しして、ひそひそとどうしてあのお二人が、といった言葉が聞こえて来る。


 そんなことを全く気にもせず、カイトは口を開いた。


「俺とお茶を楽しんでくれますか、愛しいエア」

「なっ…!なな何を言ってるんですか!そんなことを急に外で言わないで下さい!!」

「外じゃなかったらいいのか?」

「そういうことじゃないとわかって言っているでしょう!?」


 真っ直ぐな愛の言葉を言われ慣れていない私に顔は、真っ赤に染まっていることだろう。

 体温が急に上がり、ものすごく熱くなってきた。


 カイトの言葉と私の反応で皆は察したのか、小さな歓声を上げている。


(恥ずかしい!本当に恥ずかしい!)


 しかもこういう時に限ってカイトは愛称を呼ぶ時に照れたりしないのだ。

 まだ照れていたら、私がこんなに恥ずかしくならなかっただろうに。

読んで頂きありがとうございました!


完結まで二人のイチャイチャを多めに書いていきます^^


次回は日曜7時となります。

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