表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/129

第54話 ベルティーナ様に真実を

 今まで王太子殿下が照れている時はそっぽを向いていたし、いつでもそういった恋愛感情を表に出していなかったから、顔が赤くなっているのを見るとちゃんと好かれているのだと実感する。


「…話を戻す、婚約はこのまま継続し予定通りの日程で結婚する、それでいいか?」


 王太子殿下は咳払いをして、再び婚約に関する話へと戻した。

 これからに関わる大事な話、浮かれていないでちゃんと考えないと。


「はい、それでお願いします。でも、気になったんですけど…勝負って引き分けですか?」

「いや…ああ、そうだな」


 一度否定しようとしたような気がしたのだけれど、気のせいだろうか。


 ちゃんと勝敗を決めるならどっちが先に惚れていたのか聞く必要があるけど、私自身も気づいたのはベルティーナ様との婚約話を聞いた時であって、いつから好きになっていたのか明確じゃない。


 だから、王太子殿下も同様にわからないだろうから、明らかにする必要はないかな。 


「このまま二人の時間を過ごしたいが、そういうわけにはいかないな…」

「そうですね」


 私にはしなければいけない事がある。


「ベルティーナ様には私から言います」

「…わかった」


 ベルティーナ様には話していた途中に部屋を出て、それっきり部屋に籠もり避けていた謝罪をしないといけないし、私の本当の気持ちを打ち明けないといけない。


 それは私から伝えるべきことだから。


 王太子殿下は気を遣って言おうと思っていたと思うけど、私の気持ちを察してくれたようで、心配な表情ながら許可してくれた。


「ではお互いに今回の件を片付けないとですね」

「ああ、説得してくる」


 私たちは一緒に執務室を出て、違う方向へと向かった。


 王太子殿下は客室に、私はベルティーナ様の部屋に。


「失礼します」

「エーアリヒ様!!元気になられたのですね、本当に良かったです!」

「心配をお掛けしてごめんなさい」


 ベルティーナ様は温かく迎え入れて下さった。

 これから話を切り出さないといけないけれど、申し訳ない気持ちがあって胸が痛い。


 いつもの席に座り、早速話し出す。


「まず、部屋を退室してからずっと顔を合わさずにいた事を謝りたいのです。本当にごめんなさい」

「いいんですよ!エーアリヒ様が病み上がりだって知らなかったですし、体調を気遣えなかった私も悪いですから」

「違うんです。体調を崩して治ってから一週間も経っていますし、部屋に籠もっていた間も体調が悪かった訳ではないのです」

「…そうなのですか?」

「嘘をついてしまってごめんなさい。ベルティーナ様はとても心配してくれていたのに…」

「元気だったのなら良かったです!」

「…ありがとうございます」


 どうしてこんなにもいい子なのだろう。

 これが皇女としての器の広さなのだろうか。


(私も見習わないといけないな…)


「それから、私は王太子殿下のことが好きです。だから、婚約を破棄することは出来ません」

「そうだったのですね…」


 とても驚いているけれど、少し寂し気な表情を浮かべているような気もした。

 ベルティーナ様も本気で王太子殿下のことが好きなんだと、痛感して申し訳なく思う。


 けれど、それでも譲ることは出来ない。


「私の提案は余計でしたよね…、私が婚約を申し込んだと聞いてエーアリヒ様は落ち込まれてしまわれた。これは私の考えが甘かったせいですね。エーアリヒ様は王太子殿下のことを好きじゃないと勝手に決めつけて、行動に移してしまった…。私こそごめんなさい」


 ベルティーナ様から謝罪を受けるなんて思っていなかった。

 別に謝られるようなことをされた覚えはないし、そのことについては謝る必要はないのだから。


「謝らないで下さい!ベルティーナ様のお気持ちは嬉しかったです。好きになる前の私なら喜んでその話に乗っかったはずですから…!」


 そう、婚約当初なら喜んで乗っかった。

 そしたら私の思い描いていた通り、婚約も結婚もしないまま友人も作ることが出来ただろうから。


「エーアリヒ様…。では婚約の話は取り下げさせて頂きますね」

「本当にごめんなさい」

「もう謝るのは無しですよ!私だってエーアリヒ様と同じでカップルを眺めるのが好きなのですから、王太子殿下とエーアリヒ様がラブラブなところを堪能させて頂きますからね!」

「え?!それはちょっと恥ずかしいような…」


 いざ自分が誰かの癒やしを与える側になると、恥ずかしいもののようだ。

 絶対私の行動で同じ気持ちを抱いていたカップルが、この国には溢れていたりするのでは。


(今度から街で癒しを得るのは控えようかな…)


「エーアリヒ様、私のことは気にせず幸せになって下さいね。私も一生を添い遂げたいと思える方をまた見つけますから」

「ではその時はお互いに堪能し放題になりますね!」

「それは素敵な考えですね!!」


 お互いの気持ちを伝え合い更に仲が深まった二人は、久しぶりに夜まで語り合い、将来の癒しの妄想の話で盛り上がっていた。


(あ、そういえば王太子殿下にベルティーナ様と友達になったこと伝え忘れてた)


 けれど、これから先時間はたくさんある。

 そう急いで話さなくても大丈夫だ。


 もう二人が離れることはないのだから。

読んで頂きありがとうございました!


次回は日曜7時となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ