表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/129

第49話 皇女様の到着

 次の日からも多忙でゆっくり休む時間も取れないまま日が経ち、皇女様が訪れる時がやって来た。


「これで大丈夫だよね…、何か忘れたりしてない?」

「大丈夫ですよお嬢様。昨日も何度も確認していたじゃありませんか」

「それはそうなんだけど…」


 何度確認していても、心配なのは変わらない。

 ここ数日行っていたことのほとんどが初めてなことばかりで、行き当たりばったり動いていたのもあり、皇女様がお気に召すか気になって不安で仕方がないのだ。


 自分の身支度も終え、王宮の門から総出で迎え入れる。


「…王太子殿下は緊張とかしてないんですか?」

「こういうのには慣れてる」

「そうですよねぇ…」


 使用人の人たちも緊張しているようだし、今ここに居る人で緊張してないといえば、王太子殿下とその補佐だろう。


(やっぱり王族は心構えが違うなぁ…)


 誰よりも身分について知っていて、自分より身分が高い人と話すというのは色んなことを気に掛けて重圧を背負っているはずなのに、それに慣れるなんて想像出来ない。


 よく知っているからこそなのかもしれないが。


「皇女様がご到着されました!」


 そんなことを考えていれば到着したと騎士が伝えに来たため、考えるのを止めて構える。


(ついに来る…!)


 目の前に豪華な馬車が止まり、扉が開かれれば護衛の手を取り皇女様が下りて来た。


「この度は急な申しつけをしてしまい、大変申し訳ございませんでした。私はべルティーナ・グステルと言います。滞在する数日の間どうかよろしくお願い致します」


 皇女だというのに深々と頭を下げ謝罪をしている。

 まさに皇族、王族のような気高い感じはあまりせず、とても優しくいい方そう。


 それに透き通った真っ直ぐで白い長髪も輝く黄色い瞳も綺麗で、まさにマーガレットを人にしたような見た目が可愛らしい。


「気にすることはありません。べルティーナ・グステル様、隣国からはるばるこの国に来て頂き誠に感謝する」


(すごくよそいきの態度じゃん…)


 人には取り繕うなとか言うわりに、自分も王太子スマイルではないか。

 王太子殿下が挨拶をしている中、私はそのことに驚いていた。


 気を取り直して自分も挨拶しなければ。


「初めまして、王太子殿下の婚約者エーアリヒ・リアンです。皇女様のお目にかかれてとても光栄です」


 本当にここまでちゃんと挨拶するのはいつぶりだろうか。


 王宮の飾りだけでなく、自分の礼儀作法も大丈夫か心配になって来る。

 皇女様が物凄く綺麗だったから余計に心配だ。


「あなたがエーアリヒ様ですね!私、すっとあなたにお会いしたかったのです!!」

「え、え?それは…身に余るお言葉です…」

「あなたとずっとお話がしたくて…!」

「本当に光栄です…」


(あれ?どういう状況?)


 私が挨拶を終えれば、皇女様は私の手を握り笑顔で話しかけてくれている。

 けれども内容がよく理解出来ないのだけれど。


(会いたかった?話がしたかった?…何で?)


 それはこの後理由を伺うことは出来るだろうけど、どうしてそんな風に思っているのか気になってしまう。

 私が皇女様について何も知らないのに、皇女様は私のことを知っているということだろうか。


「あぁ…!ごめんなさい!いきなりこのような事を申されても困りますよね…」

「いえ、大丈夫です」


 私が困惑していたのに気づき、自分の言動に落ち込んでいるご様子。


 とはいえ、私だけでなくその場に居た人皆が驚いた顔をしてこちらを見ているけれど、それは気にしていなさそうだ。


「中でゆっくりお話を聞かせて頂けますか?」

「…はい!」


 そう言えば、また笑顔に戻り可愛らしい表情を見せた。

 まるで妹が出来たかのような気分だ。


(でも皇女様っておいくつ…?)


 年齢すら知らないとはさすがに酷いかもしれない。

 この後話すのに、無礼を働いてしまったらどうしようか。


(これらのことに慣れるってかなり大変では?!)


 皇女様を部屋まで案内している間も気が気でなくて、考え過ぎで頭がおかしくなりそうだ。


「こちらが皇女様に泊って頂く部屋です。私が準備しましたのでお気に召されなければ申し訳ありません」

「いいえ。とっても素敵!さすがエーアリヒ様です!!」

「ありがとうございます」


(さすがって…皇女様は一体私をどんな人だとお思いで?)


 それから皇女様は部屋を歩き回ってよく見ている。

 やっぱりどこか気になるところがあったとか。


「マーガレットが飾ってありますね!エーアリヒ様は私の国の国花がマーガレットだとご存知だったなんて、とても嬉しいです!それに私は黄色が一番好きな色で!エーアリヒ様が用意して下さったと思うと、自国に帰る時には寂しくなってしまいます…」


 いや、本で読んで最近知ったことだし、部屋もマーガレットをイメージして黄色を基調としただけで、皇女様の好みとか全く知らないけれど。


 それに皇女様の口調は私がカップルと癒しについて語る時の口調によく似ている。

 そう思ってはいけないんだろうけど。


(私は皇女様に崇められてるの?)


 皇女様の発言には謎が深まるばかりだった。

読んで頂きありがとうございました!


次回は火曜7時となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ