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ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


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第38話 どんなデートが待ち受けているのか

 今日は久しぶりにノアとカフェで話す約束をしている。


 本当はシュリヒトも呼んで王宮で話すつもりだったのだが、ファインとの婚約発表の準備で忙しくしていて呼ぶことが出来なかった。

 もっと早く婚約発表を予定していたところ、グロース公爵の件あって私が出席出来ないと、延期にしてもらっていたのだ。


(早く発表したかっただろうに、申し訳ないなぁ…)


 今度会う時に謝らなければと、そんなことを考えている内に待ち合わせ場所にノアが姿を見せる。


「あ!ノア、こっちだよ!」

「エア!何だか外で会うのが随分久しぶりに感じるわ」

「そうだね。王宮に来てもらってばかりだったし…。今度は私がノアの方に行くよ」

「それはいいけど…、王太子殿下は大丈夫なの?」

「ノアの家に行くくらいなら大丈夫だよ」

「そう」


 ノアも来たところでカフェに移動する。

 訪れたカフェは以前、王太子殿下と婚約する前にノアと会った最後のカフェだ。


 ここのカフェはカップルもよく居て癒しがたくさん得られるし、お菓子も美味しくて人気だから頻繁に来ている。


「グロース公爵のことは結局ほとんど何も出来なかったけど、無事に解決出来たのね」

「うん。これでようやく安心出来るよ」


 実はグロース公爵については、処罰や父親と話せたということ以外なにも聞いていない。

 聞いたら教えてくれたかもしれないが、王太子殿下が自ら話そうとしなかったため聞かなかった。


 だから、グロース公爵がどんな計画を立てていたのかも、結局知らないままだ。


「そうそう、次会ったら聞きたかったんだけど、王太子殿下のお願いどうだった?」

「ええ?」


 ノアがこうも人の恋話のような話をしてくるなんて珍しい。

 いつも呆れたように私の話を聞いているノアが、私のその話題を振ってくるとはよほど気になっているようだ。


「どうって…」


『ありのままの自分でいろ、取り繕わなくていい』


 そう言われたことを思い出した。


「…そんな大したことじゃないというか、ありのままの自分でいろと言われたくらいで…」

「なーんだ。エアがよく言う恋愛小説的な展開があると思ったのに」

「あはは…」


 ノアは残念そうな顔をしている。

 そんなにそういう展開を期待していたのだろうか。


 私が自分の恋愛に興味がないことは、ノアもよく知っているはずなのに。


「だって、送り迎えのお願いを受けてからあんまり経ってなかったから」

「それは続けてるんだ~」


 残念な顔から一気にニヤニヤと、どこか楽し気な表情を浮かべている。


「なんか立場逆転してない?!前まではノアの恋話を私がたくさん聞いてたのに!」

「そうだけどさ、エアと王太子殿下の恋話が面白くて。エアの気持ちが少しわかる気がするわ」

「私は面白いんじゃなくて、癒しだってば!」


 そう簡単に私の気持ちを理解なんて出来るわけがない。

 私と同じ思考を持つ人には、まだ一度も出会ったことがないのだから。


 この先、カップルを見たり、恋話を聞くのが癒しだと言う人に、出会えることが果たしてあるのだろうか。


「まあ、でも、婚約破棄すると言いながら案外仲良くやってるのね」

「確かに最初に比べて仲良くはなってるけど…」

「ねえ。本当にまだ王太子殿下に一切の恋愛感情が無いの?」


 ノアに言われて、王太子殿下に恋愛感情があるのか考えてみる。


(恋愛感情か……)


 誰かを好きになると、その人のことばかり考えてしまうもの。

 けれど、今の私はまだほとんど恋愛小説のことを考えているからこれは違う。


 見かけると視線で追ったりしてしまう。

 見かけることが少ないし、見かけても今日は王宮に居るんだなくらいにしか思わないからこれも違う。


(あれ、無い?)


 最初よりも距離が近くなったり、触れられた時の反応が違っているといえども、恋愛感情と呼べるものは芽生えていない気がするのだが。


「…無いかも?」

「ええ!?噓でしょう?!あんなふうにお互い話してて無いですって…!?」


 信じられないと言った顔だ。

 今日はノアの表情が次々と変わっていくから、見ていて面白いし嬉しい。


「エアはそうでも王太子殿下は絶対に…」

「ん?何て言った?」

「ううん、何でもない。これからもっと面白くなりそうだなぁって」


 ノアが確かに何か呟いたはずなのだが、何て言ったのか全く聞き取れなかった。

 ものすごく気になるが誤魔化したくらいだ、聞いても教えてくれないだろう。


「ノアから見たら本当に面白いかもしれないね。今度王太子殿下の行きたいところにデートする予定だし」

「それってエアが提案したの?」

「そうだけど…」

「王太子殿下の行きたいところに行こう、って?」

「うん」


 ノアは考え始めた。

 王太子殿下がどんなところに行くか予想でもしているのだろうか。


「…絶対覚悟した方がいいわよ?」

「それ王太子殿下にも言われた」

「エア…頑張って!」

「何をどう頑張るの?」

「きっと王太子殿下は本気でエアを落としに来ると思うわ」

「ええっ?!」


(本気で落としに来る?!王太子殿下が?!)


 どうしてそんな思考回路になったのか。

 婚約期間の終わりが迫って来てはいるが、そこまで急くほどとは事情があったり。


 とはいえノアが言い出したことだ、王太子殿下が本当に落としに来るかは定かではない。


 でも、以前王太子殿下の扱いが上手かったノアの言うことだから、信憑性は高い。

 ノアは王太子殿下と同じように、覚悟した方がいいと言っているのだから。

読んで頂きありがとうございました!


次回は木曜7時となります。

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