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ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


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第37話 全てが終わってから決めていたこと

 私は乗って来た馬車に乗り込み、先に王宮に帰ることに。

 王太子殿下はグロース公爵や王宮騎士団と一緒に牢獄へと向かって行った。


「ヨハナ、ただいま」

「おかえりなさいませ。大丈夫でしたか?」

「うん。作戦は成功だったよ。今は王太子殿下が処罰だったり、その他諸々の事をしてると思う」

「それなら良かったです。お疲れ様でした」


 王宮に帰るとヨハナが迎えてくれて、自室に戻り先に体を休めることにした。


(やっぱりここが一番落ち着くなぁ~)


 もう王宮に住み始めて数ヶ月経つし、過去を思い出したりしない実家よりも落ち着いて過ごすことが出来ている気がする。

 王宮に慣れすぎると、婚約を破棄する時に離れ難くなってしまいそうだ。


 それから王太子殿下が帰って来るのを寝て待とうと、ベッドに横になることにした。



「お嬢様、王太子殿下が帰って来られますよ」

「う~ん、もうそんな時間?」


 ヨハナに起こされ窓の外に目を向けると、昼過ぎだったはずがもう日が落ちて夜になっている。


(結構寝てたんだ…)


 今日はかなり疲れていたようだ。

 長く寝ていたのにもかかわらず、まだ全然眠れるほどに眠い。


(でも王太子殿下のところに行かないと…)


 重い体を起こして着替え、王宮の玄関へと向かった。


「おかえりなさい」

「ただいま。眠そうだが顔色はいいな、安心した」


 そう言って王太子殿下は柔らかく微笑んだ。


(すごく疲れてるだろうに、まず私のことを気遣うんだ…)


 何故か嬉しくなって顔がにやけてしまいそうになるのを止め、話を続ける。


「王太子殿下も疲れてるでしょうし、詳しく聞くのは後日の方がいいですよね?」

「いや、今日の方が仕事としては楽な方だ」

「え?そうなんですか?」


(いつもどんな仕事してるの?)


「だから執務室で待っていてくれ。すぐに向かう」

「わかりました」


 言われた通り、執務室に先に向かった。

 王太子殿下は着替えたり、王宮に居る人に伝えないといけないこととかがあるのだろう。


 執務室に着いてからエリアスが紅茶を出してくれ、それからしばらくして王太子殿下が入って来た。


「待たせたな」

「いえ、気にしないで下さい」


 王太子殿下は入って来てすぐに椅子に座り、グロース公爵のことについて話し始める。


「まず、そうだな…。とりあえず親子で話をさせて完全に和解したというわけではないが、話をしないよりかはマシだろう」


 何も話さず気持ちを伝え合わないまま死んでいくよりかは、ちゃんと話し合ってから死んだ方がいいに決まってる。

 私がそう出来なかったぶん、話し合って欲しかったからその機会を与えてくれた王太子殿下には感謝しかない。


「グロース公爵は死ぬまで牢獄、その父親は病気で残された時間が僅かだからな、別の部屋で病死するのを待つだけになる」

「そうなんですね…」


 思っていたより刑が重くならずに良かったと思う自分がいた。

 王太子殿下を狙っていたし死刑になるかと思っていたけれど、結局誰にも危害を加えていないから死ぬまで牢獄で済んだのだろう。


(グロース公爵も愛されたかったのかな…)


 少しくらいは同情してしまうが、それでも良い事と悪い事の区別はして欲しかった。

 父親が悔いていたと言うなら、関係を修復することだって出来たはずだ。


 そうしたら、こんなことにはならなかっただろうに。


「これで全部解決しましたね」

「ああ。これで悩みの種が一つ消えた」


(一つ?ということはまだたくさん悩みがあるの?)


「私が聞けることなら相談に乗りますよ?」

「話せたら良かったが、それは無理そうだな」

「そうですか…」


 王太子殿下の悩みが聞けることなんてあまりないから聞きたかったけど、話せない内容なら仕方ない。

 残念だけど諦めよう。


「あ、そうだ。グロース公爵のことが終わったら、王太子殿下とおでかけしようと思ってたんです!気晴らしにもなると思うし、どこがいいですか?」


 前に考えていたことを思い出し提案した。

 王太子殿下は驚いているのか、目を見開いている。


「お前から誘って来るなんて珍しいな」

「そうでしたっけ?」

「最初にでかけた時も俺からだったし、その後は見守り隊だとか言って、でかけようとしていたお前について行っただけだからな」

「い、言われてみれば確かに…」


 いつもついて来られるのが嫌で、誘わないようにしていたからだ。


 前に比べて王太子殿下に対する気持ちが変わってきているんだなと、改めて実感した。


「ふと王太子殿下とでかけようと思っただけなので、私の気が変わらないうちにどこに行くか決めておいて下さいね?」

「わかった、しっかり考えておく。そのかわり、言ったからには覚悟しておけよ?」

「どこへ連れて行くつもりですか?!」

「それは秘密だ」

「ちょっと!変なところには連れて行かないで下さいよ?!」


 これはでかけようと思ったことを後悔することになってしまうのだろうか。

読んで頂きありがとうございました!


グロース公爵編は終わりました。

これからエアの過去を深く掘っていく話です!


次回は火曜7時となります。

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