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ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


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第30話 本性を暴いてみせる

 あれからグロース公爵には、『恋愛相談をお受け致します』と手紙を出した。

 返事はすぐに送られて来て颯爽と日程が決まり、ついにその日が。



 不審に思われない程度に外に騎士を配置し、隣の部屋には王太子殿下やヨハナ、エリアスが待機している。

 ノアとシュリヒトにまで来てもらうわけにはいかないので、それぞれの家で報告を待っているという感じだ。


「お久しぶりです、グロース公爵」

「久しぶり。今回は引き受けてくれてありがとう」


(大丈夫…落ち着いて)


 やっぱり近くに誰かが居るとわかっているだけで、グロース公爵と二人きりで部屋に居ても怖くない。

 これなら普段通り話を進められる。


「絶対引き受けてくれないと思っていたよ」

「しばらくは引き受けるつもりはないと言いましたが、今後一切引き受けないと言ったわけではありませんから」

「確かにそうだね」


 断ったことをまだ根に持っていたのかと思うと、この後大丈夫かと少し不安にな気持ちになってくる。

 まだそれとない会話だが、本題に入ってからどんなことを話し出すのか。


 その笑顔の裏にはどんな本性が隠されているのか。


(取り繕うのが得意者同士、本性を必ず暴き出す…!)


「それで、どのような相談ですか?」

「長い話になるんだけど、聞いてくれるかい?」

「聞きますよ。恋愛相談なんですから」


 聞かないなら引き受けた意味がないというのに、わざわざ聞いてくるとはおかしな人だ。


「…僕は昔から父の政治の道具だったんだ」


(んん??恋愛相談?)


 真剣な顔を向けたまま、内心で何を言っているんだと不思議に思う。


 とはいえ、まだ一言しか聞いていない。

 この先に恋愛に繋がる話があるのだろう。


「立派にグロース家を継げるように厳しい教育と、父の願望のために色々とさせられたよ。婚約も良家の令嬢とするように言われて、仕方なくたくさんの令嬢に話しかけていた」


(父の願望…。たくさんの令嬢に話しかけた…)


 元グロース公爵の願望は恋愛相談と関係がないから聞けないとして、たくさんの令嬢に話しかけたということは、私と出会ったお茶会で他の令嬢とも会話をしたり、それ以降もそれを続けていたのだろうか。


「正直うんざりしていたよ。父のためにここまでしないといけないのかって。令嬢たちに愛想を振りまくのは大変だった。それはあなたもそれは同じですよね?」

「…そうですね」


 私も母に何も言われないように、目上の人には良く見えるように振舞った。

 こんな無駄な会話をすぐに止めて、恋愛小説を読みたいと思っていたのだから。


 だから、振りまきたくない笑顔を振りまくのが大変なことに共感は出来る。


「だからあなたに出会った時に運命だと思いました。恋愛がしたくないなら、他の令嬢にしていたように振舞わなくていいと思ったから」

「なるほど…」


(運命って…、それに結婚もしたくないと言ったはずなんだけど…)


 でも、これで私にこだわる理由はわかった気がする。

 恋愛をしたくない人と結婚がしたかったというわけだ。


 好きでもない人と結婚するくらいなら、お互い好きではない同士がよかったようで。

 グロース公爵は人気があるし、好きになられて追っかけられるのがさぞ嫌だったんだろう。


「最初はそう思っていたんですけど、僕はあることを知ってその考えは変わりました」

「あることですか?」

「あなたも僕と同じように厳しく教育されていたという話です。ですから、僕の気持ちを分かってくれると思ったんです」

「…っ!…それは、同情したとでも言うつもりですか?」


 その話を持ち出されるとは思っておらず、つい構えて顔がこわばってしまう。


(それをどうして知っているの?リアン家に住む人たちしか知らないのに)


「すみません。怒らせるつもりはなかったのですが…」

「怒ってはいないので話を続けて下さい」

「はい。同情というより、他の面を考えても気が合うと思って、あなた以外に僕の婚約者に望ましい人はいません。現在王太子殿下と婚約しているのは承知ですが、嫌なのであればお手伝いもします」

「お手伝いって、私と王太子殿下を婚約破棄させるということですか?」

「そうです。絶対に婚約破棄出来ます」

「その自信はどこから?」

「言うことは出来ませんが、いい方法がありますので」


(言えないいい方法ね…)


 絶対に婚約破棄出来るというならば、それはもう本当に王室の座を奪うつもりなのか。


 現状、王太子殿下は婚約者として公爵家の令嬢を選んだわけだ。

 最善と言える婚約者ということは、それだけ王室の存在は大きくなっている。


 こちらから婚約破棄することは出来ないに等しい。


 それを覆すには王室の価値を落とすか、奪うしかない。


「もう婚約破棄出来る当てはあるので大丈夫です」

「では、婚約破棄は決まったも同然と言うことですか?」

「…それは…まぁ。私が勝てば…」

「勝つ?勝負でもしていると…」

「そんなところです」

「そうですか。では、すぐにでも婚約破棄したくなったら言って下さい。すでに実行出来ますから」

「…ありがとうございます」

「僕は失礼しますね。婚約のこと真剣に考えて頂けると幸いです」

「わかりました」


 言うだけ言って、あっさりと部屋を出て行った。


(真剣に考えてもあなたと結婚するつもりは微塵もないですけど)


 しばらくしてから、部屋に王太子殿下が入って来た。


「どうだった。大丈夫だったか?」

「大丈夫です!いい情報は得られたと思います。案外色々と語ってくれましたから」


 さて、これからは本格的に探る計画を立てなければ。


 元グロース公爵の願望は王室と関係あるに違いない。


 

読んで頂きありがとうございました!


エアがグロース公爵よりも身分が上のカイトに砕けた口調なのは、イアンとして接している時の癖や、砕けて話せるほど仲良くなってエアが本当の自分でいられている証拠です^^


次回は日曜7時となります。

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