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ロマンス小説が大好きな令嬢は、自分の恋愛に興味ありません!  作者: 希空 蒼


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第16話 その後も楽しいは続く

 シュリヒトとファインが場を離れ見えなくなったところで、私たちは草むらから出ることが出来る。


 告白までの話やその後の話は、シュリヒトがまた王宮に訪ねて来て教えてくれることだろう。

 その話を聞くのもとても楽しみだ。


「今帰ると出会うかもしれないし、私たちも景色を楽しみますか!」

「以外だな。風景など興味はないと思っていた」

「勿論カップルを見る方が好きですけどせっかく来ましたから」


 それに、今はカップルを見るよりも風景を見ていた方が気持ちが落ち着く気がする。

 イチャイチャしているところを見たらさっき、王太子殿下にされたことを思い出してしまって集中出来ない。


「本で見た通り本当に綺麗ですね!!」

「国が誇る景色だからな」


 綺麗だと思うが、正直景色を見てどうすればいいのかわからない。

 きっと見る時間を変えればもっと楽しめるのだろうが、街の風景は遠くて高い場所からだと動きがなくて一度見たら満足してしまう。


(長い時間楽しめるものではないね…)


「この後はどうしましょう?特に考えてなかったんですけど…」

「ついでに本屋に寄ってもいいと言っていなかったか?」

「告白を見るだけのための外出が駄目ならという話でしたけど、行っていいなら行きます!」

「ならそうしよう。時間はまだある」

「はい!」


 いつもは頻繁に外出してカップルを楽しんだり本を買いに行きたいけど、王太子殿下に毎回許可をとるのが面倒だしついて来そうで、新作が出る度にヨハナに買って来てもらっている。

 だから自分で本屋に行けるのはとても嬉しい。


 ただ一つ心配なのが、私が本を選んでいる間王太子殿下を放置してしまうこと。

 本に夢中で王太子殿下を気にせず、本屋の中をうろつき回ってしまうだろう。


(まあ、わかった上で提案してるよね!たぶん)


 二人は再び馬車に乗り込み、街で一番大きい本屋に向かった。


 ここにはやっと来れたという嬉しい気持ちで胸がいっぱいだ。

 婚約する前は何度も通い、どこにどんな本があるか、お店の人もお互いに覚えているくらい。


 久しぶりだから変わっている部分があるかもしれない。


「早速買う本を選んで来ていいですか?」

「あぁ、待ってる」

「じゃあまたあとで!」


 本を選んでいるところもずっと傍に居るのかと思ったけれど、入り口で待っているなら一人で気がすごく楽。

 王宮では色々自由にやっているけど、外でこんなに自由なのはいつぶりだろう。


 ヨハナも護衛も王太子殿下も居ない。

 ここら辺は治安もいいから心配することはないし、羽を伸ばして楽しめそう。


「ヨハナはいつも作品名の書いたメモを見て買うのを大変そうにしてて申し訳ないと思ってたし、自分で探すのは早いしたくさん買っても怒る人が居ないし天国のよう…!」


 私がお金を使うといえばカップルを眺めるために訪れるカフェか本くらい。

 最近外に出てないぶん、お金も貯まってるから買い放題。


 こうやって買い物出来るなら、これから本屋に来る時に王太子殿下がついて来てもいいから頻繁に来たい。


(王太子殿下がついて来るならヨハナも護衛もついて来ないし!)


 満足の行くまで買い物し、会計をしてもらうために入り口の方へ行くと王太子殿下が何やら男たちと話しているようだった。

 しかしここからは聞こえないし、男たちも貴族に見えるし特に気にすることはせず会計を待っていた。


「あ、あれリアン公爵令嬢じゃないか?相変わらず恋愛に関することばかりだな」

「あの趣味じゃ男も寄りつかないだろうな。自分は恋愛しないと謳っているが実際はどうだか」

「王太子殿下と婚約したみたいだしな」


 男たちは遠くで笑いながら話をしていた。


「その王太子の婚約者に対してその言葉とは、彼女を侮辱しているのか?」


 入り口に居た王太子殿下には聞こえており、男たちに不機嫌に声をかける。


「なんだよ。ただの騎士が口を挟んでくるな!」

「お前だってあんな女好みじゃないだろ」


 男たちは自分に話しかけた人が王太子だとは気づかず、更に酷い言葉を重ねた。

 さすがにそこまで言われては王太子殿下も何も言わずにはいられない。


「何かに夢中になれることを素晴らしいことだと俺は思う。お前らは彼女のように夢中になれるものがあるのか?」

「…っ!騎士がそんな口を聞くなんて無礼だぞ!」

「わからないのか?俺は彼女の護衛、つまり王宮直属の騎士だ。このことを上に報告するなど容易いこと。まあ、もう手遅れだがな」


 男たちは王太子の言葉と、胸に付いている王宮騎士団の勲章に気づき青ざめた顔をしてその場を去って行った。


「お話は終わったんですか?」


 私がそう声を掛けると、王太子殿下の肩は跳ね驚いているようだった。


「聞いていたか?」

「いえ?何も聞こえてないですけど」

「ならよかった。買い物は済んだのか?」

「はい!おかげさまで」


(私が聞いてはいけない仕事の話でもしてたのかな?)


 話を聞いていないことに安堵していた様子を見て、私はそんな不思議な気持ちを抱いた。


 でもそう思ったのは一瞬で、告白シーンも見れて自由に買い物が出来た最高の出来事に、すっかりと王太子殿下が男たちと何かを話していたことも忘れてしまうのだった。

 

読んで頂きありがとうございました!


次回は火曜7時となります。

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