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第1話 恋愛も婚約もしたくない!

「ハッ!あそこのカップル、とっても幸せそう!見ているだけで癒される~」


 私、エーアリヒ・リアンは大のロマンス小説好きである。


 普段はロマンス小説を読み漁ったり、お茶会などで令嬢たちの恋話を聞いて過ごしていることが多い。


 今日は、昔からの友人であるノアと街のカフェに来ていて、テラスからカップルを眺めながら美味しいものを食べ、癒されている最中だ。


「エアったら本当に人の恋愛ばっか何だから!もう婚約していない方がおかしい年齢なのよ!?」


 そう、私は十八歳である。


 そしてこの国の女性の成人年齢は十六歳。

 もう周りの皆は婚約しているし、ノアも勿論婚約者がいる。


 でも、私は自分が恋愛をしたいと思わないから、ずっと一人で生きていたい。

 自分が先ほどのカップルのように愛されるのは想像出来ないし。


「私は見たり聞いたりするだけでいいの!私が誰かを好きになる何てこともないだろうから」

「いつまでそんなこと言ってるのよ…」


 こんな感じでノアにはいつも会う度に呆れられてしまっている。


「絶対そのうち誰かを好きになったりするって」

「そんなことはない!」


 絶対にない。


 だって、どんなに顔が良いご子息の方でも、その方が誰かと恋愛している所を見たいと思ってしまうし。


「特に王太子殿下が愛する女性に向ける言葉とか視線を眺めているのとか、最高に癒される気しかしない」


 物語で言うとするならば、いわゆるモブだ。モブになりたい。


 ヒロインになって恋をしたくないし、愛されたくもない。

 かと言って、悪役になって誰かの恋路を邪魔したりするのも絶対に嫌! 


 恋愛の様子を近くで眺めるだけが一番いいの!


 私の結婚したくないという発言は、わりと街では有名な話で公爵令嬢である私には滅多に縁談は来ない。

 この国では王室の次に位が高いのは公爵で、大公という爵位がない分、縁談はほとんど蹴ることが出来る。


 断られることが目に見えている為、縁談を申し込んでくる人がいないのだ。


 一年に一度くらいは縁談が来ることもあるけど、それは勿論丁重に断っている。


「まぁ、エアがそれでいいならもう何も言わないわ」

「私はノアの恋話たくさん聞かせてもらうからね?」

「全く…」


 ノアは溜息をついて、やれやれといった感じだ。


 そんな私たちのやり取りを遠くの席でこちらを見ながら、こそこそと話をしている者がいた。

 私もノアも、そのことには全く気がつかなかった。


 ノアと出かけた日から、二日が経った頃。


 リアン家に一通の手紙が。


 お父様に呼ばれて、嫌な予感しかしない。


「ねぇ、ヨハナ。もしかしてとうとうお父様も私に呆れて、縁談を受けるつもりなのかな?」


 涙ながらに、専属侍女のヨハナにそう問いかける。


「旦那様がお嬢様に呆れる何てことはあり得ません。きっとお嬢様の早とちりですよ」

「そうだといいけど…」


 ヨハナは私が生まれた時からずっとお世話になっている侍女で、私の気持ちをよく分かってくれている。


 婚約したくないとずっと言い張る私を咎めたりせず、私のやりたいことを誰よりも応援してくれる。

 私はそんなヨハナが大好きで、尊敬している。


 お父様の部屋の前に着き、恐る恐る扉を開けた。


「…失礼します」

「座りなさい。とても大事な話があるんだ」

「う…、はい…」


 気が乗らない。今すぐこの場を離れたい。何も聞きたくない。


「実はな…、王太子殿下から婚約の申し込みがあって…」

「はい?」


 お父様が何を言っているのか全く理解出来ず、口を開けたまま呆然としてしまう。


「今何て…?」

「だからその…王太子殿下がエーアと婚約したいと―」

「―何故!?」

「それは私には…」


 なんで!?今まで話したことが無いほどに接点が何もなかったでしょ!


 どうして今更婚約を申し込んで来るのー!?


「信じられない…」

「エア、流石にこの婚約は…」

「…断れない、ってことですよね?」」

「そうだ」


 お父様も本当に言いづらそうに話をしている。


 ヨハナの言った通り私に呆れて縁談を持ってきた訳じゃなかった。

 けど、嫌な予感は的中。


 この婚約はどうしても避けられない!


 話は申し込みを受ける方向に決まり、自室に戻った私はヨハナに宣言した。


「私に婚約するということは、何か重要な理由があるはず!だからそれを暴いて婚約破棄してもらうことを目指す!」


 私が大声をあげて宣言した言葉は、部屋中に響き渡っていた。

読んで頂きありがとうございました!


新作がいよいよ始まりました。

これからよろしくお願いします!


次回は火曜7時の投稿となります。

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