序盤
___目を開けると、いつもの私がいる。
だけどなにか感じる違和感。
なんだろうと思い周囲を見回した、そしたら今まで気づかなかったことに驚愕してしまう、それほど私の部屋とは変わり果てた異空間に居たのだ。
なんだろうか…映画の戦闘シーンでみるような眩しい光やスポットライトがギラギラと光っていて、頑張って目が開けられるくらい眩しい。
私、「下淀空舞」はこの居心地の悪い空間に苛立ち、
空「あぁあ眩しいなあもう!!!」
と胸に閉じ込めてたイライラを大声にして吐き出してしまった。
すると、その大声に気づいたのか3人の人がこちらに駆け寄ってくる。
眩しいながらも目を開いてみると、
私と同じ中学生くらいの男子、20代くらいの女の人、30代くらいの男性がいた。
中「なんだよこの眩しい空間……!」
2「眩しい!アタシ早く仕事行かなきゃなのにっ……!」
30「先が見えませんね………」
そんなことを口々に言っていると光が弱くなった。
そしてどこかしらのスピーカーらしきもの越しに聞こえる声が。
??『5人アツマッタためゲームを開始シマす。説明は下に落ちテル紙を読んデくダサい。』
…ゲーム?説明?
いろいろと混乱していたがまず「5人」というワードが気にかかった。5人?ここには4人しか……
??「えへへっ!やっほーちょっと遅れちゃった☆ボクは道明寺マリー!マリーって呼んでね☆」
突如道明寺マリーと名乗る女の子がぴょんぴょんと跳ねてこちらへ向かってきた。
ピンク色の髪を2つにくくりリンゴ飴の形をしたピンをつけたオッドアイの幼女で、個性が強すぎる。
空「あっそんなことよりも!とりあえずこの説明しょ…
マ「えーそんなことってなぁにー!?全くぅみんな堅い顔しちゃって~…初対面なんだからまずは自己紹介しあおうよー!☆」
はぁ、こんな状況なんだから普通堅い顔になるだろ。これだから子供は嫌い………
マ「だってー☆誰が誰なのか分からなかったらこれからやるゲームでも名前なんて呼べば良いか分からないし気まずくなっちゃうよー??」
説明を読んでから自己紹介する、という考えはこいつにないのか…?
2「まぁ…言ってることに一理はあるよね。じゃあアタシの名前は…」
20代らしき女の人が口を開いたその瞬間。
黒いナイフのようなものが誰かのの腹を突き破る。
中「…えっ?」
どうやら中学生に見える男の子が刺されたよう。
腹を突き破られた男は「カフン」と息を漏らしながら血を吐き出した。
中「ぎゃあああああ!!なんだよこれ!!!いだっ…いたい…!!」
荒ぶる男を横目に私は急いで説明書を見た。
『この ゲームは 率直に言うと 敵から逃げる ゲームです。
ここで言う 敵 は ブラットキラー と呼ばれます。
ブラットキラー は 姿を見せません。 その代わり 黒いナイフ を 投げてきます。
ナイフ を 避けないと もちろん 刺さってしまいます。
最後の 最後まで 逃げ切った1人が この世界から 現世へ戻ることが 出来ます。』
彼は不幸にもブラットキラーに殺されたのだ。
…ッチ。この幼女がいなければみんなナイフに警戒して彼は生きていたかもしれないのに……
彼はギャーギャーと喚き叫びながら光に包まれて消えていった。こんなこと思うのもクズみたいだけれど、私じゃなくてよかった………と目の前の悲劇を噛み締める。
3「…っとりあえずあそこにある部屋に行ってみましょう。見てみる限り眩しくはなさそうですし…」
マ「えへぇそうだね!!いってみよー☆」
3「は…はい…」
男性はこの状況にビクビクとおびえていたが、マリーは不気味に瞳孔の開いた目をパチパチさせている。
隣の部屋に移動している時私は震えながらもマリーに
空「ねぇ、マリーちゃんはこの状況が怖くないの?」
と聞く。すると
マ「人には必ず死が舞い降りてくるんだよ、だから怖くない!☆えへ☆」
と。
2「この状況が怖くないなんて…あの子楽しんでるようにも見えるわよね」
女性はマリーに聞こえない程度の声量で私にぼそっと言ってきた、酷く共感してしまう。
隣の部屋のドアに手をかけた時後ろからナイフが飛んできたけど、みんな警戒していたので避けることが出来た。そして中は無難な白い壁紙に黒い床の部屋。クリーム色の大きなテーブルがひとつあって、お世辞でも暮らしやすい部屋とは言えない。
2「なんかカビ臭くて嫌だけどここにしばくいるしかないわね」
この世界で生き残るには人をべったりと信じず、酸いも甘いも噛み分けて行動することが大切。
人を信じて盾にされる、なんてこともあり得る。
空「はぁ、私………大丈夫かな?…」