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第8話「デブリーフィング」

第5章第8話「デブリーフィング」

…………


「無事に救出もできて、戦死者も出なかったところで、反省会をしようか」


 基地に戻り、車両格納庫内で点呼を行い、『終わった――!』となりかけていた兵士に冷水をさす。デブリーフィング自体、何度もやっている事だから、スムーズに進む。



 敵方に同格部隊がいるはずがないと慢心していた。


 予想以上の装備に焦り、無謀な強行策を実行してしまった。


 そもそも、事前偵察が不十分であった。


 作戦実行時の通信、火力支援、回収などのバックアップが不十分であった。


 フリーハンドと放置をはき違えていた。


 さすがに、往復20時間以上の車両機動はあらゆる面でよろしくない。


 ファーストエイドの訓練が不十分。


 止血帯の痛みに耐えかねて外してしまう例が続出した。


 「Call-A-CAB-N-Go-Hot」にすらまごついた。


 問題点が多すぎる。編制以来、何度も再訓練を行ってきたが、元が促成栽培の単一能力部隊で、同格部隊が居ないというより強くなろうと言う気概が発生しなくても何ら疑問でもない環境と言うのが悪い。一番悪いのは『圧倒的に強すぎた』と言う事なのだろうが、じゃあ、どうやってアグレッサーを用意するの?と言う話だ。1個分隊なら用意できるが、その程度の規模では意味がない。とは言え、色々とそれだけでは説明できない不可解な事実があるし、比較的単純に解決可能な不足を補う方法を考える必要がある。


 『敵方に同格部隊がいるはずがないと慢心していた』これには、現状どうにもならないが、どうにかアグレッサーを編制して鼻をへし折る。ぐらいしか対策が浮かばない。しかも、『俺たちよりも上がいる』と言う事を理解させられても『敵方に同格かそれ以上の部隊がいる』にはつながらない可能性が高い。


 『予想以上の装備に焦り、無謀な強行策を実行してしまった』……これが一番不可解だ。1900年前後__つまり、第一次世界大戦以前__の装備相手に動揺して、無謀な強硬策を取ったこと。どう考えてもおかしい。前線指揮はグミだ。結構直情型なきらいがあるが、ここまで無謀な作戦は考えない。何方かと言うと、最大限置き土産を残してさっさと逃げ帰る奴だ。念のため、第1軍集団衛生幕僚部に指示を出しておく。話は結果が出てからになる。


 『そもそも、事前偵察が不十分であった』……これに関しては何の申し開きもできない。どうせポイントが有り余っているのだから、こういう部分は盛大に使うべきだったのだ。ちょうどいいところに『作戦支援用UAVセット』とやらがあるためこれを購入することにする。内容はMQ-1C×4機、CQ-10F×2機、RQ-11D×24機、WQ-19×2機、RQ-21×8機、RQ-38(ブラックホーク・ナノ)と10年以上前の旧式機ばかりだが一通りそろっている。欲を言えば、整備役務や教育訓練プログラム、ブラックボックス開示、燃料弾薬の調達とかをパッキングしてくれると非常にグッドなのだが、そんなFMSじみたパッケージではなかった。


 それと、『警戒監視用装備セット』を購入する。こいつの中身はグローバルアイと言う大型装備もあるが、赤外線レーザー盗聴装置、ミノックスカメラ、マッチボックスカメラ、赤外線カメラ、赤外線追跡装置、電波方向探知機、ピッキングツール、合鍵作成機、盗聴器、盗撮器、ヘッドライト、IRサイリウムなどのポケットやバッグに入るものが大半だ。これらの装備を新規に導入して運用する部隊を編制して、人員や装備、資材の定数を決定して、調達・輸送、交付、整備を行い、教育訓練計画を企画、立案、実行、評価、修正を加えていくというプロセスがあるが、それらは第1軍集団の戦務局、人事局、作戦局、計画参謀部、総務幕僚部、警戒監視幕僚部など関連部署間で決定してもらうことにした。


 『作戦実行時の通信、火力支援、回収などのバックアップが不十分であった。』は前項で半ば改善される見込みだが、E-11A戦域通信中継機2機とOV-10を24機追加導入する。それと、特殊作戦通信管制センターを新編することとなった。この編制事業も第1軍集団の参謀部局に丸投げすることとなった。


 『フリーハンドと放置をはき違えていた』……これも、慢心だろうな。バックアップ体制の充実とともに、作戦統制官の位置をすべきだろう。


 『さすがに、往復20時間以上の車両機動はあらゆる面でよろしくない』……まず、お尻が痛い。車両や搭載品の損傷がひどい。20時間ずっと時速70キロ程度で未舗装道路を爆走されたら寝る事が出来ない。等々、色々と問題点が多い。これに関してはヘリコプターを導入することになる。UH-60M×8機とAH-64F×3機、OH-1B×2機、AW101×2機を導入し、編制事業を第1軍集団参謀部局に丸投げする。それと、UH-60Mの1機をC2ヘリコプターの任務につけ、作戦実行時の前線指揮に充てる。


 『ファーストエイドの訓練が不十分』『止血帯の痛みに耐えかねて外してしまう例が続出した』『Call-A-CAB-N-Go-Hotにすらまごついた』……これらは単純に訓練が足りないだけでなく、装備も足りてないと言える。キットに鎮痛剤か睡眠薬を追加すべきだろう。後は訓練の繰り返しで体に刻みつけ、実戦を繰り返すことでトライアンドエラー方式で問題点を洗い出し、一つずつ潰していくしかない。




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