第5話「爆破!」
第5章第5話「爆破!」
…………
「いくらなんでも派手にやりすぎでしょ……」
もちろんこちらに気づかせるためと言う意志はわかるが、3インチクラスの火砲を乱射し手榴弾を何十発と撃ち込むのはやりすぎだと思う。
今更行っても仕方ないし、言えるはずもないから装備の確認をする。右手に即席のアイスピック。右のポケットにいつでも打てる状態のライフカードが3つ。左のポケットに針金で作ったピック。胸ポケットに鉄の棒に磁石をつけることで北に向くようにしただけの簡易コンパス。……後は目の前の見張りが持っているショートソード…は無理ね。脇差のように腰に挿している小刀が候補に入る。
……選択肢は2つ。
__ここで待つ
__脱出して合流する
どちらか一つ。どちらにしろメリットとデメリットがある。それも特大の……
しかし、そんなに悩む必要は無かった。
「上の増援に行くぞ! 俺とベリルの2人はここに残り、囚人を監視! 残りは上の守衛所に行け!」
チャンスね。脱出することにしよう。少し危険ではあるけどやる価値はある。何よりも『どうした? セキュリティ万全なただアパートが気に入ったのか?』と言われるのは頭にくる。
……数分後
「ベリル、ションベンしてくる」
よし。
「おい、なにをs」…バタン
弾丸を発射し使えなくなったライフカードをベッドの上に放り投げ、ピックで牢の鍵を開ける。位置的に鍵穴は一切見えないが目隠しされた状況で解錠する訓練もしてきたから問題ない。
しばらくいじっていると「ガチャ」という音ともに鍵穴がまわり、鍵が開いた。外に出たら目の前の死体を中に引きずり込み小刀を貰い、シーツをかけておく。
最低限の隠蔽を終え、事務所から鍵束と外套、リボルバー拳銃を貰い、ようを足している最中の兵士の口を雑巾で塞ぎ、小刀で首を何度か刺し殺す。こいつも簡単に隠蔽を行い上に向かう。
〜〜〜〜〜
「奴らの目的はここだ! 何としても守りきれ!」
「土のうを積め! 早くしろ!」
「中隊長! シュベアト隊は時間がかかると」
「クソ! 奴らは必ずここに来るというのにッ!」
木陰から小型集音器を使って聞いた監獄棟の正面に陣取る警備兵たちの会話聞く限り、グミはここにいるようだ。シュベアト隊というのが気になるが名前以外分からない。来る前に片付けるしか無さそうだ。
「正面は土のうで防護を固めている。ここをバカ正直に突破する必要性は無い。マイケル?」
「おう! えー、爆薬よし。導爆線よし。手榴弾よし。拳銃よし。他もすべてよし。…行くぜ」
マイケルは待っていましたというように中身の爆薬や導爆線をすばやく取り出せるように多目的ポーチのジッパーを半分だけ開ける。次にプライマリーのSCARをスリングで後ろに回し、その状態で背中側のグレネードにアクセスできるか確認する。そして、でかくて邪魔なプライマリーの代わりに使うセカンダリーであるグロック19のアンダーレイルに装着されたウェポンライトの点灯確認とプレスチェックを行う。
準備と確認が終了した報告とともに爆破する壁に近寄り、爆薬と導爆線、起爆装置を取り付け、安全範囲に退避する。
その間、俺たちも同じように確認を行う。マイケルと同じようにSCARを背中に回したりウェポンキャッチで固定したり邪魔にならないようにし、ホルスターの位置を再確認。M67グレネードをポーチから取り出し、ピンを外して待機する。
「こっちもオッケーだ。やれ」
「了解。3カウント」
3__右手をホルスターに添える。
2__ホルスターのロックを解除し少しだけ引き抜く。
1__グレネードを握る左手を振りかぶる。
「起爆!」ズドォォン!!
爆発とともにグレネードを突入校に投げ込む。爆発までの数秒間、ホルスターからグロックを抜き、突入口の近くに移動。
「突然爆発したぞ!ってこれはn…」ズドォォン!
__爆発と同時に内部へ侵入。突入口から壁沿いに移動しながらグロックのサイトを流し、まだ立っている警備兵と重なった瞬間に引き金を引く。
「グゥ〔パァーン!〕………」
「エリアセキュア! ルームクリア!」
立っているやつ全てに弾丸を叩き込み、無力化した後、榴弾破片にやられ虫の息だった兵士にも弾丸を叩き込み監獄棟正面入口を制圧した。
「先を急ぐぞ。こんだけ派手にやったんだ。おそらくここに別働隊がいることがバレているはずだ」