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第2話「あんた……に向いてないわよ」

木曜日にはできていたのですが投稿忘れてましたすみません

第5章第2話「あんた……に向いてないわよ」

…………

1891年某月某日

騎士王国 某所

…………


「ここは……?」


 乗っていた飛行機が撃墜されたのを最後に記憶がない。手足が拘束されている? ……ジメジメとした石造りの無骨な……と言うよりも内装に気配りをするつもりがないと言わんばかりの不衛生な部屋。


 ……捕まったか。


 それが状況を把握したときの感想だ。以外にも冷静に、他人事のように、諦めにも近い心境だ。



「お、おとなしくしているんだな!」


「孝仁、アンタ後で覚えときなさいよ」


「ぼ、僕は勇者なんだな! 勇者は何をやってもいいんだな!」


 目の前にいるのは地球にいたとき隣のクラスに所属していた孝仁と言うアニメオタクだ。典型的なデブヲタでほぼ確実にドモる事と〜だな!という語尾が特徴的な。現実には絶対いないと思っていたヤツだが、何故か自信満々だ……


「こ、これからお前を拷問するんだな! お、おとなしく喋るんだな!」


 平和ボケもいよいよ持って尊敬できる水準まで達してしまった日本人に拷問など出来るのだろうか? そんな疑問を持ちつつ、さらなる状況把握を図る。


 服は……ちゃんとある。武器は没収されている。簡単に見える装備は取られている。……ポケットの中身がある。


「……拷問の才能ないんじゃないの」


「ば、バカにするのはやめるんだな! ちゃんと拷問のスキルもあるんだな!」


 拷問官とかそれ以前に三次元での対人コミュニケーション能力を養ったほうがいい気がする……


 なんと言うか、粘りつくような? 舐め回すような? そんな目つきで体をジロジロと見たいが恥ずかしくてガン見できない。みたいな目つきはどうにかならないのか。世間の皆様方には拷問官とは人をいたぶるのが大好きな社会不適合者と思われているようだが、実際は逆だ。やり過ぎないように、そういったことに快楽を感じない、まっとうな人間が精神をすり減らしながらやる職業だ。


 ただ、この視線を見ると、やっぱりこいつの趣味じゃないの?という疑いが出てくる。学校でリア充たちに散々に迫害された反動で自分よりも弱いやつをいたぶるのが大好きなやつじゃないか?と。学校では一応自分もリア充グループに分類されていたから復讐でもあるのでは無いかと勘ぐってしまう。


「……勇者が拷問するの」


 思わず出てしまったがこれは失言だったかしら? 幸いにもこれは聞こえなかったらしい。名前から聞いてくる辺り、スキルの恩恵で知識がプレゼントされているのか? それとも単純に顔を覚えていない? 基本的に交友は皆無だから無くはないが間抜けにもほどがある。


………数分後。


「きょ、今日はこれぐらいにしてやるんだな! か、感謝するんだな!」


 捨て台詞を吐き捨て、牢から出ていく考仁と入れ替わるようにメイドが食事を載せたお盆を持って入ってくる。


「本日の食事です。食べ終わったら部屋の角に片付けておいてください。それから、あなた様は2日間眠っていました」


 そう言って立ち去って行くメイドはなにか特別な事などしていないと言う様に自然体だった。


「ルーメリアの資産ってどうなっていんのよ……」


 お盆に盛り付けられたパンの下にライフカードと言うクレカサイズの拳銃が3つ隠してあった。隠密重視の恐ろしく使いにくい現代版吹矢ではあるものの、油断した兵士を殺し、武器を調達するぐらいはできる。


「……現代版リベレーターといった所かしら」


 思わず出たこのあだ名がこいつをよく表しているように感じた。つまり、私はレジスタンスと言う事か。そんなことを考えながら食事を取る。


 使える装備は、ライフカードが3つ、葉巻ケースを使った即席のアイスピック、ズボンの裾に隠してあるコンパスとカミソリ刃。後はこの部屋にあるモノ。


「思ったより有るけど、支援のない状況で脱出できるほどではない。か……どうしたものかしら」










 葉巻ケースをどこに隠していたのかが気になる人はすぐには調べず、食事をして時間がたってからの方が精神衛生上よろしいかと思います。

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