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第1話「装備一新」

第5章第1話「装備一新」

………


「先の特別偵察の結果、騎士王国軍の装備体系は進化し、ルーメリア王国軍の一般歩兵の倍以上の火力を保有するに至っていることが分かった」


 俺の言葉に多目的室に集められた101の隊員達はざわつく。厳しい訓練をクリアした彼らは、戦闘力は勿論、規律という意味でもエリートだ。普通なら上長が発言中に口を開く事など無い。それだけ衝撃的だと言うことだ。


「また、極一部の最精鋭部隊にはカラシノコフ小銃が配備され、仲間が一人捕虜となっている。この部隊に関しては101と同じく、召喚者が関わっていると思われる」


 続く言葉に皆息を呑む。自分達がどれほど、優れた訓練をクリアしたか知っている彼らは、それを施した、…つまりただクリアした以上の段階にいるオペレーターがとらわれるほどの能力を持つ部隊が敵方にいる恐怖を感じられる。


 恐怖を感じられる兵士はそれを乗り越えることで、次の段階へ進む事ができる。見渡した感じでは、恐怖を感じているものの臆したようには見えない。大丈夫そうだ。


「そこで、救出作戦を行うことになるが、現時点の装備では作戦にあたり、多大な犠牲を払うことが予想される」


 危機に陥っている仲間の救出。これに勝る気分の良い、士気が自然と上がる任務も中々無いだろう。それを証明するかのように、皆やる気十分な顔を見せる。


「そこで、火力、継戦能力をさらに強化すると共に、今まで蔑ろにしてきた防護能力、救護能力、サバイバル能力の3点を改善するために新たな装備を支給し、それらに対応した訓練を行ってもらう事にした」


 新しく配備するのは、防弾ヘルメット、ダストゴーグル、JPC2.0、ファーストエイドキット、CLSバッグ、サバイバルキットの6つが主になる


 防弾ヘルメットは統合頭部防護システム(IHPS)でECHと同等の防弾能力を持ちながら鈍的外傷に対する防護力を2倍に高めていることが特徴で、近代的な重が配備されているとはいえ、剣や槍の配備がされている現状を考えると、多少重くなってもこちらの方がいいだろう。チンガードとコムタックM6ヘッドセットを標準構成とし、防護力の向上を図る。


 ダストゴーグルはショットシェルの直撃にも耐えうるもので、ファーストエイドキットのアイシールドと合わせて眼球の保護の役割を担う。


 プレキャリは軽量性重視のJPCを選択した。これはあまりにも重すぎると結局着ない事になるのでは?という懸念からだ。まぁ、後でそれ以上に重いフルプレートを着た状態で飛び跳ねていたのだから杞憂だったことがわかるのだが。


 ファーストエイドキットは米陸軍のIFAKⅡを支給するが、JPCのジップオンパネルやバックパックの使用する場合、スペースが無いため、レッドクロスと血液型パッチを張り付けた多目的ポーチも併せて支給する。背面装備によってこの2種を選択することなるが、IFAKⅡと背面パネルに装備できない場合の多目的ポーチの両方を補給倉庫管理とし、作戦時に補給係が備品の点検を行い、トレイにメディカルキット2種と戦闘時支給品を並べて他の補給品とともに棚卸する。と言うシステムとする。


 KIT構成は感染防止用の手袋とSAM-XTタニケット2個、戦闘包帯(包帯状止血剤)、圧縮包帯、エマージェンシーバンテージの止血に必要なアイテムとチェストシール、胸部減圧用カテーテル、人工呼吸用シートの胸部銃創用セット、消毒パッド、駆血帯、留置針、留置針固定用の密閉テープからなる静脈路確保用セット、気道確保用資材である経鼻エアウェイ、眼球保護用のアイシールド、負傷時に飲む、解熱鎮痛剤、抗炎症剤、合成抗菌剤から成るコンバット・ピルパック、衛生兵や軍医に見せる報告フォーマット、様々な使い道があるダクトテープやマジックペンとなっている。これらのアイテム類のうち、常備救急品と任務の直前に補給係が棚卸するとき同時に支給する戦闘時支給品に2分される。


 戦闘時支給品は戦闘包帯(包帯状止血剤)とエマージェンシーバンテージ、胸部減圧用カテーテル、密閉テープ、コンバット・ピルパック、ダクトテープなどで、主に保管期間が短いものや中途半端に使用されているとよろしくないモノが分類されている。


 CLSキットは通常のファーストエイドキットの機能拡張版であり、止血帯止血用のRMTタニケット、骨盤や肩などの被弾を対象とした出血点圧迫止血用のジャンクショナル・タニケット、傷口に押し当てる戦闘包帯(包帯状止血剤)、戦闘包帯の上に被せて戦闘包帯を補助する圧縮包帯、圧縮包帯の上に巻くことで止血するエマージェンシーバンテージ、胸部銃創処置用のチェストシール、胸部減圧用のカテーテル、消毒パッド、駆血帯、留置針、留置針固定用の密閉テープ、気道確保用の経鼻エアウェイ、多目的に使えるダクトテープ、記録用のマジックペン、感染防止用の手袋×4、固定などに使う三角巾、副子や頸椎固定器具として使うSAMスプリント、低体温症治療用のエマージェンシーブランケット、熱傷用の包帯セット、緊急水分補給や血液量補充などに使う経口補水液入りの500mlボトル、人工呼吸用のポケットマスク、熱傷治療や副子、包帯の固定など様々な負傷に使え、なおかつ傷口が確認しやすいラップ、災害用の電池式AEDからなる。今後CLS教育は全員に行っていく予定だが、CLSキットは分隊に1つとする予定だ。これはファーストエイドキットでは対処しきれない複数の負傷やファーストエイドの責任対象外の負傷(例えば骨折や熱傷など)に対する治療に限定してもなかなかの重量(AEDを減らせば何とかなると思うが……)と容積になってしまうからだ。




 サバイバルキットはマルチツール、サバイバルナイフ、ワイヤーソー、メタル・マッチ、脱脂綿、釣り糸、釣り針、エマージェンシー・ホイッスル、シグナル・ミラー、ストロボライト、ミニコンパス、フレアランチャーからなり、マルチツールとサバイバルナイフ、ストロボライト、フレアランチャーは分散携行となる。


 これらの装備品の訓練と、プレキャリを使用することで射撃法が変わるため、その習熟訓練を行う。その他に、小銃をSCAR-Hに変更しアサルトライフル、分隊支援火器(Mk.48)スナイパーライフル(M110A1)の3種間で弾薬の共通化を図る事で、火力の増大と継戦能力の底上げを同時に行う。


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