第7話「ダイナミックお邪魔しました」
第4章第7話「ダイナミックお邪魔しました」
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1891年3月28日 0233時
騎士王国 王都ノーザンブリア 第3城壁西門付近
………
〔ダン! ダン! ダン! ダン!〕
〔ダダダダン! ダダダダン!〕
〔ドドドド! ドドドド!〕
「クソ! 騎士王国って機関銃を装備していないんじゃなかったのか!? どう考えても機関銃で攻撃されているぞ!」
「知らねぇーよ! 召喚されたやつがミリオタだったんじゃないのか! それより手を動かせ!」
陽動班は控えめに言ってピンチだった。いくら装備が優秀だと言っても、いくら射程と機動力で勝っていると言っても、作戦上により行動に制約がある場合その優位を活かしきれない。そんな訳で、陽動班はピンチだった。
≪今から脱出するわ! ポイントチャーリーで合流!≫
「了解! ポイントチャーリーだな」
≪あってるわ! 通信終了!≫
「よし。撤収だ! 最後にブチかましてずらかるぞ!」
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1891年3月28日 0233時
騎士王国 王都ノーザンブリア 第3城壁北門付近
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町に侵入するときに通った北門の兵士たちはまだ眠っていた。いくら睡眠ガスをたらふく吸い込んだとはいえ、戦闘音がガンガン聞こえてくるのにぐっすり眠っていられるのには関心すら覚える。っと、伝令兵だ。
〔プキキ!〕
「ワンダーン……」
「まだ眠っているわね。まぁ戦闘なしの方がいいのは事実だけど……マイケルは爆薬を仕掛けて他はカバー」
不要不急の重りでしかないC-4を柱に取り付けて無線起爆式信管を爆薬に取り付ける。そして、起爆チェックを行い準備完了だ。手慣れたもので1分もかからなかった。
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1891年3月28日 0415時
騎士王国 王都ノーザンブリア郊外
………
〔プキキ プキ……〕
「クソ球切れだ。ローディング!」
「カバー!」
東の空が僅かに明るくなってきた時、グミ達特別偵察隊は大ピンチとなっていた。30分前に火焔魔法が高機動車の近くに着弾し、横転してしまった。
これにより一瞬気を失ってしまい、そのスキにだいぶ距離を詰められてしまった。それまで敵の射程圏外から比較的余裕を持って引き撃ちをしていたのから一点、騎兵隊の突撃破砕射撃という弾薬を浪費する戦闘を強いられていた。
「ガンアップ! ラスイチだ!」
最初から本格的な戦闘を想定しておらず、最低限の弾薬しか携行していなかったが、想定外の戦闘が長引き、弾薬を浪費した結果、弾切れにリーチがかかってしまった。
あと少しで来る…ッ!
〔バッシュ! ヒュゥゥ〜〜〜 ズガァァアン!!〕
___いっやふぅぅぅ!! 騎兵隊のご到着だ!!
≪随分とピンチみたいだな。手当たり次第ばら撒くぞ。いいな?≫
「ああ! どんどんやってくれ!」
〔バッシュ! ヒュゥゥ〜〜〜 ズガァァアン!!〕
〔バッシュ! ヒュゥゥ〜〜〜 ズガァァアン!!〕
〔バッシュ! ヒュゥゥ〜〜〜 ズガァァアン!!〕
〔バッシュ! ヒュゥゥ〜〜〜 ズガァァアン!!〕
≪周囲の敵は片付けた! 強行着陸する!≫
ロケット弾を全て撃ち、周囲の敵を一掃したブロンコが強行着陸した。
「乗れ! 乗れ!」
「搭乗! 全員搭乗! ゴンゴン! いいぞ! 出してくれ!」
40メートルのピールマニューバを終え、機内に滑り込んだのと同時に、ラッシュが壁を叩き、コックピットのシロウに搭乗完了を伝えた。同時に機体が動き出し、機首が上がり飛び立った。後部ドアを取り外している為、外の風景が見えるが俺たちにそんな余裕はない。畜生、こんなことならランヤードを持ってくれば良かった。
……あれは何だ!まさか!?
「シロウ!ブレイク!ブレイク!」