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第3話「狙撃兵とは殲滅兵科ではない」

第3章第3話「狙撃兵とは殲滅兵科ではない」


…………


――1352時


≪ッザ……こちらシエラ。狙撃地点(ポイントアルファ)到着まで2分程度。そちらの状況は?≫


 腕時計を確認すると「1352時」と表示されている。おおむね予定通りだな。


「こちらシロウ。狙撃地点(ポイントアルファ)到着まで2分。了解。此方は狙撃地点(ポイントブラボー)に到着。現在準備中」



 AN/PRC-163をラジオポーチに戻し、目の前の得物を一瞥する。それは、あまりにも大きすぎた。もはや「銃」ではなく「砲」であった。その名は、






















――IWS2030対物ライフル


 IWS2030はIWS2000対物ライフルの近代化改修モデルだ。その性能は28㎜APFSDSを砲口初速1604メートル毎秒で飛翔し、飛距離1000メートルでRAH換算86㎜を貫通する事ができ第二次世界大戦時の重戦車を歩兵で撃破できる。つまりKV-2に対してフォークランド紛争ごっこができる個人携行型対戦車砲ということである。これが出た当時はゴジラでも貫通できる!とミリタリー系雑誌で紹介されていたものだ。そんなものを飛行生物ゆえに強靭な装甲防護力を付与できないワイバーンに対して使用したらどうなるか?わざわざ聞くまでもない。



 1355時、作戦開始時刻となり、8体のワイバーンに対してIWS2030から28㎜APFSDSが、レミルトンMSRから.338ラプアマグナム弾が、HK417Dから7.62×51㎜NATO弾が、それぞれ発射された。


 28ミリAPFSDSがワイバーンの頭部に命中し、脳みそをぶちまけ、.338ラプアマグナムが眼球を正確に撃ち抜き、即死させた。7.62×51ミリNATO弾がセミオートで数発撃ち込まれ、その内1発が眼球に命中し、絶命させた。


 第一射で7体のワイバーンを撃破し、シエラチームが残り一体を攻撃している間、俺はIWS2030をストレージに戻し、足元に置いてあったM202ロケットランチャーを肩に担ぎ、――コンテナ内部に四つの発射管を持つロケット弾型の火炎放射器――天幕に対して発射する。


 2つにランチャーから発射された8発の66ミリロケット弾が野営地の大半を焼き払った。


 某州知事主演の映画で電話ボックスや警察車両を吹き飛ばしたシーンが有名なあれだ。なお、説明書は本体横に黄色のインキでプリントされている。


 王都脱出のときに使用したものは、これを強化したゲーム専用の架空器材であったが、アップデートで消失してしまったため今回は通常仕様の4連装タイプを使用する。


 ランチャー1つでできていた火力が今は2つ無いと再現できないというところに不便を感じるが、4連射できるという時点でだいぶ楽なのだから我慢しなければならない。



 ヒトは慣れる生き物であると言う不便はともかくとして、発射された弾頭は山なりに軌道を描きながら飛翔飛していき、狙った場所着弾した。


 着弾した瞬間、内部の燃焼剤が発火し、約1200度もの高温で周囲を焼き払った。







「シエラチーム。こちらアルファチーム。計画投射を完了。効果判定を要求する。確認後突撃する」


«こちらシエラチーム。事前掃討完了を確認。追加攻撃の要なしと判断。アルファチーム。突撃、了解»



 眼下の敵兵は奇襲により一時的に恐慌状態に陥ったが、指揮官の一喝により統制を取り戻し、ワイバーンの死体をよそに炎上中のテントなどの消火活動をしている。



 その間にシロウは装備を変更し、違う武器を装備した。


 プライマリーにドイツH&K社のMP7A1を選択。こいつは、ライフル弾をそのまま小型化したようなボルトネックを有する弾薬を使用し、例え防弾プレートであっても貫通できる。今回のようなフルプレートの防具を着込んでいる敵がいる場合には最適だと言える。さらに、小型の弾薬を採用したおかげで、ホルスター携行可能な大型拳銃並みのコンパクトさと軽量さを持ち、サプレッサーを付けることで、命中精度や有効射程が向上し、もともとマイルドなリコイルもさらに減るという大変高性能なSMGだ。


 ジャケットの下にSMGバンダリアキットを装備し、3つあるマグポーチに40連マガジンを差し込んだ。これにより元から付いているのを合わせて、4つのマガジンで合計160発の弾薬を携行できる。パイロットグローブとジャングルブーツ、FASTヘルメットを着込み、突撃した。


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