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第5話「悲観論ではなく楽観論のお時間」


 特別訓練が終了した3日後の今日、俺達は王都近郊の木こり小屋に居る。戦闘糧食を食べ終え、腕時計を見る。


「そろそろだな」


 立ち上がり、奥の部屋に置いてあるコンテナを開ける。そこにはローデシアリーコンベスト、タクティカルベルト、レッグホルスター、各種ポーチ類、無線機、グローブ、ブーツ、ヘルメットが入っていた。それらを一度、机の上に並べる。


 ベストの前面下部にオープントップ式のマグポーチを4つ付け、その上に拳銃用のフラップ式マガジンポーチ4つを取り付ける。右側面にユーティリティポーチを取り付け、中に単眼鏡と応急止血帯、カロリーブロック、コンパス、シグナルミラーを入れる。次に、左側面前よりにグレネードポーチを2つ取り付け、その後ろにフラップ式のマガジンポーチを取り付け、無線機を入れる。無線機から伸びるコードを左肩ベルトに巻きつけ、固定する。


 次にタクティカルベルトのセットアップだ。後方左寄りにダンプバッグを取り付け、その前方部分にレッグマグポーチのベルトを取り付ける。右側にはレッグホルスターを取り付け、その後ろに水筒を取り付ける。最後にベルトリテンショナーを付け、ベルトがずり上がるのを防ぐ。


 特殊作戦部隊用の軽量防弾ヘルメットであるFASTヘルメットのレールに暗視ゴーグルと赤外線ストロボを取り付け、ベルトを微調整する。これで装具のセットアップが終了した。タクティカルベルト、ローデシアンリーコンベスト、ヘルメット、ブーツ、グローブを身に着け、ガンケースを開ける。


 今回使用するアサルトライフルは.300BLK弾仕様のM4A1だ。今回のセットアップはシンプルにマグプルのバックアップサイトとウェポンライトが付いているだけだ。

 サイドアームの拳銃は引き続き、シグマを使用する。まず、シグマにマガジンを入れ、コッキングをし、しっかりと初弾が装填されていることを確認してからホルスターに入れる。次にM4A1にマガジンを差し込み、チャージングハンドルを引き、チャンバーに初弾を装填する。同じように確認してダストカバーを閉じ、銃に異常がないか確認する。


 最後に入れ忘れや確認漏れがないか一通り確認する。あ、マガジンポーチが空だ。ベスト前面のマグポーチにエムヨンの30連マガジンを4つ入れ、拳銃用のマグポーチにマガジンを2本とタクティカルライトとマルチツールを入れる。左大腿部のマガジンポーチにも拳銃用のマガジンを2本入れ、最後にグレネードポーチに破片手榴弾を2つ入れる。




 装備を整えた俺達は腕時計を構え、輪になる。


「時刻規制を実施する。午後8時23分! …カウントする!5、4、3、2、1、今ッ!」


「コンパスの確認をする。総員、コンパスを出せ。ちゃんと2つ持っているな?それから事前偵察で作成した作戦地図を1人2部ずつ持つように」




 俺が地球で所属していた秘密諜報作戦機関(SIA)ではこういった作戦に参加する準軍事要員(パラミリタリー)達にコンパスを2つ持ち歩き、1つは首から下げて、もう一つはユーティリティーポーチに入れておくように指導される。



 理由は遭難した際に回収(リカバリー)地点(ポイント)まで移動する際に、このコンパスは本当にあっているのか?と不安になり進行速度が遅くなることがあるからだ。遅くなったところで時間に間に合えばよいのだが、準軍事要員パラミリタリーなどいくらでも変わりのきく駒でしかなくよほどの大物でない限りはかなりタイトなほとんどアリバイ作りと言っても問題ないような時間しか用意されていない。


 しかし、訓練コストもただではない以上、本店が苦労せずに代替雇用コストを削減できるなら生存自活訓練ぐらい実施するという態度だが、受けさせてもらった。今回の訓練ではそういった上からの経費節減至上主義ではなく、単純に直接行動作戦が可能な特殊作戦オペレーターの数が少なすぎるゆえである。



 時刻規制に続けて無線の確認と作戦の確認を終え、配置につく為、3つの部隊は王都周辺に散っていった。




・・・・・・・・・・・・・・・・



「時刻は……2050時。最終確認時刻だな」


 作戦開始10分前だ。無線機が送信モードになっているのを確認する。


「こちら01。各隊へ。現状報告」


«こちら陽動攻撃小隊(11)1号目標(ターゲットアルファ)を視認。予定通り進行中。編成は情報通り箱馬車2、荷馬車4、騎兵20、下車歩兵20。キルゾーンまで10分»


«こちら撤退支援小隊(21)。合流地点を確保中。問題は発生していない»


「こちら01。こちらも準備完了している。11の攻撃を持って作戦を開始する。幸運を」



 代官の排除は別作戦だっったがちょうど王都に来るという情報を掴んだため、陽動攻撃の一環として作戦が統合されたのだ。81ミリ迫撃砲弾を地面に埋め、車列がキルゾーンに入ったところで起爆し生き残りをアサルトライフルで掃討するという中東ではオーソドックスな作戦を採用している。わざと騎馬兵を逃がすことで城壁周辺に警備兵力を集中させ、ラッパ銃でナインバンガーと破片手榴弾を城門付近に投射することで陽動攻撃とする。というのが作戦第1段階である。



……


………


……………ズドォォォン!    ピッ――――!!



「始まったな。出口だ」



 第2段階は地下上水道から王城内部に侵入した俺たちがルーメルア王家(パッケージ)を捜索・救出し、撤退支援(21)小隊が城門を開門させる。というものだ。



 地下下水道から予定通り、王城内部に侵入したがそこは宝石や保存食が詰まったバッグやフリントロック式短銃、歩兵用直剣(ショートソード)などの武器類、外套が置いてあった。



「なんだこの部屋……まるで逃亡準備のような」


「そのとおりよ。ここは有事の際に王家一族が逃げるための最低限の装備が置いてある部屋よ。そして、今回使った進入路は逃亡用の通路よ」


 部屋から廊下に出た俺達は王家一族が監禁されている部屋へ向け、レシアを先頭にその後ろにパメラとモリスが応対で支援体制を引き、オレ、レーム、リッツの順で続く。


 途中で何度か巡回兵を交わしながら10分ほどした時、ようやく目的地の手前に到着した。



«全体停止。魔法警戒装置アリ。解除を試みる»


 先頭のレシアがハンドサインで伝えたあと、解除を試みる。事前の想定では2分かかるらしい。その間俺たちは巡回兵が来ないか警戒する。


「終わったわ。行きましょう」


 想定通り、2分程度で解除した俺たちは目的地の前まで進む。俺はメインアームのエムヨンを背中に回し、サプレッサーの付いたシグマで錠前を破壊し中に入る。


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