紅茶入れました。
ちょっとずーーつ進みます。
お付き合いいただければと思います。
警備兵に事情聴取の為その日はフローラの元に戻れず。
結局紅茶を入れる事すら出来ず初日を終えた2人はフローラの部屋へ行く前に厨房に寄りアーリーモーニングティーを入れ朝食と共にフローラの部屋へ向かった。
コンコンッガチャッ
「「失礼致します。」」
レイツビアとソフィアがフローラの部屋へ入る。
「…!おはよう2人とも!待っていたわ!」
フローラは既に起きていて窓際にある椅子に腰掛けていた。
「おはようございます。フローラ様朝食をお持ち致しました。
そちらでお食べになられますか?」
「ありがとう、その前に着替えるから手伝って頂けるかしら//?
着替えた後朝食を頂きます。」
大きな声を出した事を少し恥ずかしそうにしながらフローラは答えた。
「畏まりました。ソフィア、テーブルに朝食の用意をしておいて貰える?
私がお召し替えをお手伝いするから。」
「うん、分かったわ。」
レイツビアはソフィアに準備を頼み
フローラと共に隣の寝室へと移動した。
「2人とも無事でよかったわ!昨日はほんっっとうにびっくりしたのよ?」
寝室に入るなりフローラはレイツビアに詰め寄る
「ご心配おかけして申し訳ありません。
私どももまさかあんな事になるとは思わず。
初日でしたのに、紅茶すらご用意出来ず不自由な思いをさせてしまいました。」
「そんな事いいのよ、気にしないで!
私もまさか自分が狙われるなんて思ってもみなかったし、それにレイがすぐ対処してくれたのでしょ?
警備兵の方からも軽く事情を聞いたけれど
タバサも共犯だったなんて……。
レイはケガしなかった?怖かったでしょ?」
(怖かったというよりも呆れるほどだったんだが、この娘はこちらの心配をしてくれるのだな…)
「心配にはおよびませんよ。
これでも多少の心得はございますから。
朝食の後にでも昨日の件を詳しくお話し致しますので
今はお召し替え致しましょう。」
そうレイツビアはきりだし
フローラの着替えを手伝った。
ガチャッ
「ソフィア準備は出来ているかしら?」
「えぇ、ばっちりよ!」
「ソフィア言葉遣い…侍女長に言いつけるわよ。」
サァーーー。
侍女長に言いつけると言われて手で口を押さえ青ざめるソフィア。
やはりまだまだ侍女としての言葉の壁は厚いようだ。
「ふふっ」
レイツビアの後ろから2人の様子を見ていたフローラは思わず笑ってしまった。
それを見たソフィアはフローラの存在を思い出したようでますます顔色を悪くした
もう青を通りこして真っ白である。
「もっもっ申し訳ありません!フローラ様!!!大変お見苦しい所を…………」
「あっ…いえいえ!そんなにかしこまらないで!ごめんなさい笑ってしまって
2人のやり取りがとても面白かったから…
勝手に笑ってしまってごめんなさい」
フローラは申し訳なさそうに苦笑いしてソフィアを宥めた。
「いえ!!!そんな謝らないで下さい!
私その…孤児院の出な者でして、あの、まだちゃんとした言葉遣いができなくて…
侍女長にも注意されていたんです……
それなのに…あぁぁ私のバカ…。」
途中までフローラに話していたはずなのに段々と自分の世界に入ってしまったソフィア
(はぁぁ、此奴は成長せんのぉ、またブツブツと自分の世界に入りよって…)
「あっ侍女ちょ「ハッ!!!!申し訳ありませんでしたぁぁぁぁああ!!!」
レイツビアが言い終わる前に反応して華麗な土下座を決めるソフィア
どこまでマーサを恐れているのか逆に聞きたいぐらいである
「…………ふえっ侍女長は………?」
「いるはずないでしょ」
「えっ?はぁああ?レイ!アンタなんて事してくれたのよ!びっくりしたじゃない!!」
ソフィアは土下座から立ち上がりレイに掴みかかってきた。
ベシっ!
「ぐぇっっ」
「ソフィア静かにして!」
レイツビアから頭を叩かれたソフィアは床に沈んだ。
「ふふっふっ、ご、ごめんなさい!ふふっ笑っちゃし、失礼なのに、ふふふっあははははははっ!レイもソフィアもおもっ面白くって!あはははははっ!」
何だか朝からソフィアのせいで賑やかになってしまったが、
フローラはかなり面白かったらしく
しばらく笑いが収まらなかった。
「あぁ、本当にごめんなさい。
レイとソフィアは仲が良いのね!
2人のやり取りとっても好きよ!!
この部屋だったら言葉遣いなんて気にしないでいいからソフィアもそのままでいてね。
仲良くなれたみたいで私も嬉しいから。」
「え?いいのですか?」
まだ床に膝をついたままソフィアはフローラに問いかけた。
「えぇ!もちろんよ!
私は気にしないわ!
これからもよろしくねソフィア。」
「はわわわっめ、女神様だぁあ!
こちらこそよろしくお願いします!!」
泣きながらソフィアはフローラを拝んだ
そんな事もあり遅くなったがレイツビアはフローラをテーブルへ誘導して
朝食を勧めた、さりげなくソフィアの隣を通る時に襟を掴み立たせる事も忘れずに行った。
フローラが朝食を食べ終えた後はテーブルを片付け、新しく紅茶を入れ本題である昨日の件を話した。
「昨日の犯人なのですが、買収された2人だったらしく元々王宮で正式に雇っていた者達だったようです。
ですから買収した者も捜索しやすいようなのでしばらくすれば犯人が見つかるかと…。」
「えぇそれは昨日私も警備兵の方から伺ったわ。
ただ、立て続けに事件があったから離宮内もだいぶピリピリしてしまって、離宮内も1人では出歩かないように言われたの。」
「そうですね…フローラ様は特に今回狙われましたし、犯人が捕まるまでは注意しておかなくてはまた狙われる危険もありますから。」
「そうね、警備兵からも1人にならないようにとかなり念押しされたわ。」
「早く、犯人が捕まるといいですねぇ」
朝食前までの賑やかが無くなり部屋の空気も暗くなってしまった
コンコンッ
「誰かしら?」
突然扉を叩く音がした。
(ふむ、この気配は侍女長じゃな。)
「私が見てきます」
そう言ってレイツビアが扉を開けた
「レイちょうどよかった、貴方に用があるのよ。付いてきてちょうだい。」
「私ですか?それは構いませんが、ソフィア1人になってしまいますよ?」
レイツビアは部屋を振り返りながらマーサに言う
「貴方に用があるのは私じゃないから場所まで案内したら私が戻ってきます。
少しならソフィア1人でも大丈夫ですよ。」
「畏まりました。フローラ様にお話ししてきます。」
「フローラ様」
「レイ誰だったの?」
「侍女長でした、私に用があるようで少し外してもよろしいでしょうか?その間は侍女長がこちらにいて下さるそうです。」
レイツビアの言葉を聞き顔を青ざめるソフィア…
「あら?そうだったのね…でもいいのかしら?マーサさんもお忙しいでしょ?
ソフィアがいるし私は大丈夫だけれど。」
フローラの言葉を聞き縋るような目線を向けてくるソフィア…
「いえ、事件があったばかりですので、侍女1人というのは危険です。
侍女長なら対処も的確ですし、侍女長からいて下さると仰ってましたので、いて貰った方がよろしいかと…」
レイツビアの顔をものすごい勢いで睨むソフィア…
「そうなのね…それならいて下さった方が頼もしいかしら?
分かりましたとマーサさんに伝えてもらえる?」
フローラの言葉で灰になったソフィア…
ここまで一言を喋っていないが顔だけはコロコロと動いていて喋らずとも思っている事が手に取るようにわかる。
もはや特技だ………
ソフィアそっちのけで話していた2人にはまったく気づかれていなかったが
ガチャッ
「フローラ様よりご了承頂きましたので
すぐに動けます。」
「そう!話しが早くてよかったわ。
案内するから付いてきなさい。」
そう言うとマーサは背を見せカツカツと歩き出した。
「侍女長、どちらに行かれるのですか?」
後ろに続き歩きレイツビアは問いかけた
「訓練場よ」
「え?」
訓練場は警備兵や騎士団達が常日頃使っている場所で間違っても侍女が行く場所ではない
「何故訓練場なのですか?」
「今回の事件で離宮内のご令嬢方1人1人に護衛を付けることになったのよ
立て続けに2回も事件が起こったから
陛下からも早急に対処するようにと言われて犯人が捕まるまでの間だけれど
警備兵だけでなく、騎士団にも協力頂いて護衛を付ける事になったの。
それでフローラ様は昨日被害に遭われているから優先的に護衛を選んで頂いたの、
用事というのは護衛の方々との顔合わせよ。」
「そういう事ですか……。」
(なるほどの、伯爵の娘も被害者だったがそちらは警備兵も侍女も既に増やしているおるからこちらが優先という訳か…)
「ここよ、私は戻るけど後は彼処に行って事情を話せば通して貰えるから。
フローラ様の護衛をしっかり見極めてきなさい。」
(侍女長、我に護衛を見せる為にわざとこの様な用事を作らせたのじゃな……)
「畏まりました。用事が終わり次第すぐに戻りますのでその間フローラ様とソフィアをお願いします。」
「フローラ様とソフィア……ね。
大丈夫よ、私が変わりにしっかり務めるから。」
マーサは一瞬ニヤリと笑うと離宮へ戻っていった。
(ソフィア死ぬなよ…)
心の中で黙祷を捧げレイツビアは訓練場の中へと入っていった。
ソフィア死んだかもです。笑
あの子はいい子でしたね、バカだけど…
ここまで読んで下さりありがとうございます