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どうしてこうなった  作者: 柚子ゴル
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第1話 魔王の子供、誕生。




「てめーら離れねーと撃つぞ‼︎‼︎」




顔を真っ赤に染め怒号するのはビルの窓から顔を出し拳銃を幼子の頭に向けている男。

幼子は恐怖のあまり大粒の涙を流しながらも声をだせずにいる。

警察は現場に到着したものの人質がいるため動けずにいた。


数分前、突如拳銃を片手に世の中の不満を訴え発砲した男の周りには数人、負傷者が転がっていた。警察は、この男は脅しではなく実際に撃つ可能性があるため慎重に動く必要があった。しかし現場にはまだ警察になって日数も少ない新米警察官がいた。警察官は自身の正義感を見せるべく上司の目を掻い潜り犯人を説得しようと大声をあげて近づいた。



「君はどうしてこんなことするんだ‼︎君の目的はなんなんだ?!」



「近付くんじゃねーよって言っただろうがぁああああ‼︎‼︎‼︎」



「危ないっ‼︎‼︎」



パァンと小気味好い音が上がった。

その銃口の先には犯人が落ち着いていないのにも関わらず先走った新米警察官がいた。

そして犯人により発砲され死亡するはずだった。

しかし撃たれる瞬間、1人の警察官が新米警察官の前に身を呈して乗り出した。

その警察官とは新米警察官の先輩相方であり今回の主人公でもある成瀬隆弘である。

成瀬隆弘の首元に黒い銃弾がのめり込んだ。



「先輩‼︎‼︎」



新米警察官は驚きから悲嘆の表情に変わり、他の警察官が成瀬を後ろに引き離す。

成瀬は強烈な痛みや呼吸困難感を感じながら薄れる知識の中で思った。



どうしてこうなった….…と。



彼はヒーローに憧れ、町の人々を守るため警察官になった。人々を守るためのパトロールなども苦ではなかったがもっともっとたくさんの人を助けたかった。

新米警察官を現場に経験を積ませるために連れてきたのが仇となってしまった。

しかし彼はこれで一つ学んだだろう。

彼はこの先この時のことを反省しもっとずっと真剣に警察官としての使命をはたし色んな人を助けるのだろう…。そう思えば自分の死も無駄ではなかったと言える…………わけがなかった。



「ふざけんな‼︎俺が人を直接助けたいのであってお前のスペルアップのための小石じゃねーんだぞ?!まだ俺だってやれる!ここで死ぬわけにはいかねーんだよ‼︎」



そう叫んだはずなのに、気管支が潰れ呼吸が出来ず、声には出ていなかった。それよりも即死しなかったのが異様である。そのぐらい彼は人助けに力を入れてきた。

しかしその人生も終わりを迎える。

新米警察官が先輩と泣き叫ぶのを薄っすらと聞きながらまぶだがいやなのに落ちていく。


成瀬隆弘。満26歳。発砲事件にて死亡。

後日新聞の端に警察官が一名死亡と端的に書かれていた。




✳︎


「j@pdgWj@tdg'.d'','mdg!」


「tmgW.…@Dmpdgd'mW.?」


「a@、jpdtdt.@m。」


ふと光にさらされ眩しいと感じながら、目を開ける。目がぼやけ周りの状況はよく見えない。しかし自分の頬から涙がとめどなく溢れているのに気がついた。



ああ、俺は生きていんたんだ……!



喜びを胸に抱きながら違和感を覚える。

身体が全くと言っていいほどうまく動かない。なぜ?そして周り、ぼやけて見えないが言葉がわからない。神経障害などの後遺症に残っているのだろうか…?



「あぅ」



今どのような状態なのか聞いてみようとすると赤ん坊のような声が漏れる。そのことに周りがざわついたのがわかった。しょうがないじゃないか死にそうな怪我には後遺症はつきものだろと感じながらも赤面し、これは構音障害もあるな…と思案する。

でも今は何よりも生きていることに喜ぼう。これからいっそ自分は人助けのために頑張るぞ!

思わずニコリと微笑みあーと元気よく声をあげれば周りがいっそ騒いでいた。




✳︎





「奥様‼︎おめでとうございます!黒髪の男の子でそれもツノ持ちです‼︎」




絢爛豪華な調度品が揃う部屋でキングサイズをも凌ぐ大きなベッドの上で、新しい命が誕生した。

子供の母親らしい女性は綺麗な黒髪は乱れ白い肌は汗ばみ黒い瞳には涙を浮かべ笑顔で自身の子供を見つめる。



「ああなんて可愛らしいのかしら…でも産声をあげていないわ?」



赤ん坊は普通、自発呼吸を始めるにあたって大きな息を吐く。すると自然と大きな声があがるのだが、この子は泣いていない。いや詳しく言うならば涙はでているが静かに泣いているのだ。



「しかし奥様、お子様は自発呼吸はきちんとされている様子ですし、顔色も良好。心拍数や脈も正常でこざいます。」



ネコ耳のメイドが控えめに母親に話しかける。母親はそれに納得し自身の愛しい我が子を見つめ独り言のように呟いた。



「そうよね…。過去にあなたのお父様も産声をあげなかったみたいだけれど…あなたも魔王様になられるのかしら?」



「あぅ」



その問いかけに答えるように赤ん坊は声を上げる。初めての発声、言い換えれば大変奇妙ではあるが産声である。それがタイミング的にいえばまるで魔王になるのは俺だと生後数分で発言しているようなものだ。

周囲はとんでもない子がお生まれになったのではとざわつき母親は嬉しそうに更に話しかける。



「もしかしたらあなたなら人間をも支配できるかもしれないわね…!」



「あー!」



人の言葉が理解できているようなタイミングで声をあげ、更に笑顔で魔族の念願である願いに声をあげた。

周囲は更にざわつきこれは確実にとんでもない子がお生まれになったと騒ぎになった。

初めての投稿です。よろしくお願いします!

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