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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

#魔女集会で会いましょう

作者: 雛

私は物心ついた時から魔女だった。

しかもどうやら強かったらしい。思ったことがあれば基本叶えられる魔力を持っていた。


そんな私が居る国は凍りついた国だ。人の心が荒れ果て1000年経ち遂にその感情が魔力へと変化しそれなりに暖かっただろうこの国は凍りついてしまったのだ。

食料も水も凍るこの国では弱き者は生きられない。


目の前のこの子もその弱き者なのだろう。


「……お前、死ぬの?」

フェンリルのハーフだろうか。魔物と人の間の子なんて珍しい。フェンリルなんて特に頑丈な魔物なのにこの子はどうして傷だらけなのか。

至るところ血まみれで、その血すら凍り始めている。最低限の体温すら保てなくなりつつあるのだろう。

「…い、きたい……死にたくな…い…」

ガリガリの身体。これじゃ多分大きくならないだろう。

耳もちょっと欠けてる。飛んだ欠陥品。


それでも私の身体に欠けた爪を食い込ませて生きたいと懇願する様は、まるで火焔のように熱くて。

だから気まぐれで拾った。



拾ってから数年経ちフェンリルは……あぁ、名前を付けた。ベスターってね。ベスターは大きくなった。

まぁざっくり言うと魔女集会で会った同じ魔女達がココ最近人間やら獣人やらを従者にしたーとかって言うから育て方を聞いて色々珍しく頑張って面倒を見た。


ところで……フェンリルって過去は伝説になるくらいすごい化物みたいに強い魔物だったんだよね。血が混ざるに連れ弱くなっていったらしいんだけど純血種には魔法を使えるフェンリルだっていた話だ。




「マスタぁ……お願い……俺を、怖がらないで……」


ベスターは大きくなって凛とした男になった。

涼やかで細身の割に筋肉質で。

こう……栄えた国で見た騎士に雰囲気が似てる。

魔女集会で周りの魔女から見目麗しい、羨ましいなんて言われるくらい自慢のフェンリルに。


ちょっと油断しちゃったんだ。

私の可愛い可愛いフェンリル。ベスターはそれはもうツヤッツヤで見事な銀の髪だった。

男達が私に掲げて見せた髪の束も銀色だった。

私のものに手を出すなんて…有り得ない…って怒ってたら封具持ってる人が居て…反撃なんてされたこと無かったから容易く拘束されちゃった。

早く魔力を出せ、我等に従えなんて。

無茶苦茶言いながら私を殴ってくる人達。


ちょっぴりヤバいなーなんて思ってた時だ。

目の前の男が吹っ飛んだのは。


「マスター……、?……なぁお前、お前!!何してんだよ!!マスターに触ってんじゃねぇよ!!」

烈火の如く怒るベスターが……いや比喩ではなく本当に燃えてたんだよね。手が。お前魔法使えたの……?って混乱してる間にベスターは周りの人を軒並み引き裂いてしまった。


足元に広がる赤が汚く見えて後ずさった。

血塗れのベスターは目の前で呆然と立ち尽くしてて。

私が後ずさった途端、泣きそうな顔になってしまった。


「ベスター…お前…」

私に手を伸ばしてくるけど自分の手が血塗れなのに気付いたのか慌てて拭いて恐る恐る近寄ってくる。

「怖い、ですか?…マスター、俺のこと」

なんだお前。

あれだけ周りの大人を圧倒した癖に何でそんな泣きそうなの。

「……それとも汚い?…洗えばいいですか……マスタぁ」

あぁもう、ちょっと泣かないでよ。

不安がってヒンヒン鳴く犬でもそんなに悲しげに鳴かないわ。


「お前が怖い?私の使い魔なんだから当たり前でしょ、これくらい。血が汚いのよ……もう。察して」


お前は気づいて無いでしょうけどね。これお前が初めてくれた靴だから気に入ってるんだから。


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