『海のお月様があつまるところ』 佐野すみれ先生著 その4
それでは、絵を描いていきます。
小説をよおく拝読して、どんな絵がいいか決めます。
映画のポスターのようなものにするか、童話の絵本のようなものにするか……
水彩で描くことは決定事項。
物語の一番絵になる所は、ここでしょう。
●引用
ネーレーイスの唱えた言葉を合図に、一匹しかいなかったはずの海月は、一匹、また一匹とどこからともなく姿を現し、各々が違う色を淡く灯しながら、月魂ムーンソウルの地に丸く円を画えがくように身を寄せあいました。
赤。白。青。緑。黄。橙。桃。紫。色とりどりの灯のなかには黒や灰、それから茶や鉄錆色のような色も含まれておりますが、どれもが少しずつ違う光り方をしながら、異なる美しさを泡沫うたかたのように消え入りそうになりながらも、灯し続けております。
パレットに全部の絵の具を垂らしても足りないぐらいたくさんの色が集まる海月たちの光景に、スズランは息をのみこみ、圧巻されてしまいました。鮫にぶつかってしまいそうになったことなど大したことではなかったと思えるほど、本当に、息の仕方を忘れてしまいました。
すると、規則正しく水の道を進むように丸い円を画いて集まる海月たちの群れから、一匹。線香花火の火花をぱちぱちとさせたような赤色を帯びた海月が、スズランのそばへとやってきました。
●引用終わり
深海でたくさんのクラゲ。そのひとつひとつが死んだ人の魂。
きっと、ここが一番「絵」になるとこじゃないかと思います。
描きたい気もするけれど、口惜しいことに、この場面は絵に出来ません。
なぜなら、これを描くと、たくさんの人が見たことがある絵になっちゃうからです。
たぶん、お題の絵の雰囲気を、ジブリっぽくしちゃったから、すみれ先生はそれを忖度して執筆してくれたのだと推測しました。
まず「紅の豚」。死んでいった飛行機乗りたちが、たくさん空に飛んでいる。豚の仲間がそれに加わるシーン。
それから「崖の上のポニョ」。ポニョと一緒に、海にクラゲの大集団がただよう。
この場面を描いちゃうと、上の二つのシーンの組み合わせになっちゃう。
これじゃ面白くないから、他を考えないと。
まずキャラの造形をしませんとね。
100均のスケッチブックにボールペンや万年筆でいろいろ線を描いてみます。
なんとなくイメージが出来てきたら、タッチや構図を考えます。
次回はしあげ。
お楽しみに。