美しく魅力的に描こう (キャラ作画5)
今回は、キャラを「どのように美しく魅力的に描くか」です。
難しいようで、基本は簡単。
まず、初心に立ち返ります。
1.「重心をずらす」
重心をずらすと、身体が傾きます。
わたしたちは、傾いたものを見た時、ある印象を受けます。
それは、
不安定感。
まんまですねー。
( つみ木を思い出してね )
で、この不安定感を感じると、それに伴なって、ベクトルを感じるわけです。動きと量。
それにより、
不安、はかなさ、無常、可憐、かわいい、柔らかさ、若々しさ、かっこよさ
などを次々に連想して感じるのです。
オモシロいでしょ。
なので、そういうのを表現したい時は、積極的に重心をずらしましょう。
全体の重心だけじゃなくって、腹の重心、胸の重心、頭の重心が、ちょっとずづズレているのがいいかも。垂直にならないようにしましょう。
( なっていいのは軍隊や警察などの起立シーンとか…… )
前に傾けると、積極性が上がって、元気で強気、のり気な感じ、
顔を腕に向けて傾けると、阿弥如来像のような、やわらかく、献身的な優しい感じ、
横にフワッと傾けると、スタイリッシュ、都会的で華麗な感じ、
とか、いろいろバリエーションがあります。
次に、
2.「体の軸をひねる」
上下半身を左右に、雑巾をしぼるように、ひねったり、イナバウワーのように、背筋をぐっと反ったりします。
すると、どうでしょう。
まるでバネのように、元の安定した軸に戻ろうとするエネルギーを感じるじゃぁありませんか。
重力とは違った、身体の力学的なエネルギー。
そのエネルギーにともなって、
活動的、躍動的、スピード感、野性的、若々しさ、楽しさ、期待感、挑発的、セクシーさ
などを感じるわけです。
有名な菱川師宣の「見返り美人図」、これは典型的な「ひねり」です。
見る人は、この背景が何もない静かな人物画に、ぎゅうっとギリギリまで絞った緊張を、意識的または無意識的に感じます。
で、さらに言うと、これはただ単に、背中を見せているのではありません。
お尻を見せつつ、「胸と腹を見せない」でいるのです。
つまり、この美人は性的なアピールをしながら、「隠したい秘密がある」と思わせている。
うまいですね。名画ですねー。
それから、
3.「腕や足で身体を隠す」
腕組みをしたり、足を組んだり、手足で、顔や胸、股間などを守ろうとするような「しぐさ」をさせます。
この、身体を守ろう、隠そうとすることで、
清楚さ、慎重さ、上品さ、高貴、高嶺の花、豪華、高級感、厚み、
などを、感じちゃうんですね。
ガバッとおっぴろげで見せちゃうよりも、隠そうとしたほうが魅力的。
どうでもいいけど、チラリズムはその辺の心理がはたらく結果でしょうね。
4.「伝統的な型」
長い年月を経て、もっとも洗練されたもの。
それが「型」。
各種武術や、能や日本舞踊などの芸能。礼儀作法。それらの型をそのまま用います。
簡単なようで難しい。
指先の一本一本にまで、「気」がこめられた美しさ。
たとえば、男子学生が、弓道部の女学生を見て、胸キュンしちゃうのは「理」にかなっているのです。
当然です。あたりまえ体操。
ぜひ使ってみましょう。
とまあ、いくつかのコツを挙げましたが、
実は、
1から4のコツを使わない場合もありです。
例えば、素朴な感じ、ナチュラルな感じを出したい時とかね。
また、
1から3のコツをまとめて使うと、複雑で不思議な感じが出て来ます。
ミステリアスなキャラを描く時はいいかもしれませんね。
それから、視点。
絵の中を人物を、上から見る(フカン)か、下から見る(アオリ)かで、キャラと鑑賞者の力関係が表現できます。
上から見ると(フカン)、人物を下位に見るので、キャラのかわいらしさ、弱さなどが強調されます。
下から見ると(アオリ)、人物を上位に見るので、キャラのかっこよさ、強さなどが強調されます。
さあ、これで、あなたも「上手に見えるキャラ」が描けるはず。
試しにいろいろ描いてみましょう。
もしうまく描けなかったら、その絵を見せてくださいね。お直ししましょう。
次回は、実践編。
お楽しみに!