ボールで遊ぼう(キャラ作画1 入門 顔)
では、今回は、ボールで遊びましょう!
あれっ、キャラの作画でしょ?
モデルがない場合に、どうやって架空の人物を描くのか、じゃなかったっけ?
そう、その通り。
それには、ボールで遊ぶのが手っ取り早いのです。
みなさまは、何かイラストを見て、とっても上手だし、色づかいもいいし、細かく描き込んでいるのに、どこかおかしいって感じる事はありませんか?
また、自分で描こうと思って、キャラ作画についてのテクニック本を買ってきて、その通りにやっているにも関わらず、何か変だと感じたことはありませんか?
せっかく時間をかけて、一生懸命に描いても、見る人に、そんな印象を与えてしまうのはもったいない。
わたしたちは、どうして「何か変」って感じちゃうのでしょう。
いろいろあると思いますが、その中でも頻繁に見かけるのが、「身体の基本的構造の崩れ」。
なんか、難しそうに言ってますけど、解剖学みたいな難しい話ではありません。
イラストの専門書を見ても、基本的なところを飛ばしちゃっているものが少なくないので、今回は、その辺を、特に顔について、身につけましょう。
わたしたちの身体の基本は「球体」です。
ぱっと見、ぜんぜんそう見えませんが、そう見えると、「上手に見える絵」が描けるようになります。
誰もが、初めは球体、受精卵でした。
それがどんどん分化していって、今の身体になっています。
頭も、そして腕も足も、球体の変形したもの。球を縦に伸ばしていったものが四肢で、内臓、消化管もその変形です。
それは断面を見れば納得できるかも。
その中でも、球体の形をとてもよく残しているのが、眼球です。
「目は口程に物を言う」
人は眼球の動きにとても敏感。
町中とかで、何人かが空を見上げていたら、それを見た人は、誰だって「何を見ているのかしら」って上を見ますよね。
人間は社会的動物。みんな他人の視線が気になるのです。
何を見ているか分からない視線というのは、その人、全体に違和感を感じちゃうもの。
「何かおかしい」って感じる人物画、イラストを探してみましょう。だいたい視線が左右対称ではない。
『平家物語』で、なぜ、平忠盛が馬鹿にされたのか。
『徒然草』で、なぜ、丹波忠守が笑われたのか。
それは、眇だったから。左右の視線が同じ方向じゃなかったからです。
と言うことで、視線を合わせましょう。
aからcは普通の視線、dだとオカシク見えますよね。
ここまでズレていると明らかだけど、1mmズレている時は、「何となく変……」程度の違和感を感じるかもしれませんねー。
まあ、眼球を左右対称にするだけ。
これだけで人物画のレベルがアップします。
もちろん、近くを見る時には、左右の視線は焦点に収束します。
視線は拡散しないようにしましょう。平行になるか、鋭角をつくるか、どちらかです。
ただし、オカシサを表現したいキャラ、たとえばマッドサイエンティストとか、狂った犯罪者なら視線を狂わせてOKです。
次に、また時々見かけるのが、目が構造的に歪んでいるもの。
基本的に、近代のマンガ的イラストは記号なので、そういう絵を描く場合はいいのですが、
立体的、写実的なイラストを描こうとする時には注意が必要です。
福笑いのように、顔にパーツを貼り付けていく描き方だと、たいてい失敗します。
鼻はいいんですよね。とりあえず何でもいいから真ん中に描いておけば。
省略してもいいくらい。
口だっていいんです。場合によっては、ピカソのように、横に描いてもいいくらい。
でも、目はダメ。
バランスよく、しっかりと描きましょう。
左右の眼は、球を意識して、
1.正中線に対して対称に
2.円盤を意識して、同じ高さに
3.そして、前述のように視線を合わせます
これで基本はばっちり。
次に、たまに見かけるのが、眼球の配置が構造的に無理のあるもの。
わたしたちは白眼の描かれている人物画を見るとき、意識的か無意識的か、たとえ、まぶたに隠れていても、眼球を感じています。
それがこんな感じに見えると「何かおかしい」と思います。
左は、眼球が頭蓋骨から飛び出ちゃってますし、右は、眼球同士が重なり合っちゃってます。
ケ○○軍曹みたいなマンガ的イラストなら、全然問題ないのですが、リアルな絵にしようと頑張ってる時は、それじゃダメ。
構造をしっかりさせましょう。
さあ、この眼の基本さえ守れば、もう大丈夫。
あとは、顔のパーツや髪型など、どんなに風に変えても、結構いけます。
何か描いてみましょう。
どうです? うまく描けましたか?
もし、眼の基本的構造から、上手く描けないって場合は、
絵を忘れてボールで遊びましょう。
ボールに線や円を描いて、観察しながら、内部構造を想像しながら、ボールとたわむれます。
もう猫のように、恥も外聞も捨てて、ひたすら遊びましょう。
そのうちに、球体をとらえる力、空間、立体把握能力が身についてきますよ。
次回は、身体の描き方。
一番難しい「ポーズ」について。
お楽しみに。
もし、お描きになった絵を見て欲しい、評価して欲しい、どうすればもっと上手く見えるかアドバイスを欲しいなど、ありましたら、「感想欄」からご連絡ください。
(絵は、誰でも見れるようにアップロードしてアドレスを載せてくださいね)
しろうとが、一生懸命、お答えいたします。また、このエッセイで取り上げさせていただくことがあります。




