その1
『名探偵 羽黒祐介の推理 ー紅葉と雪に彩られた警官殺しの物語ー』
は、 Kan先生による本格的探偵小説です。
本作は、名探偵 羽黒祐介シリーズの長編ミステリー第4弾!
( https://ncode.syosetu.com/n5709ek/ )
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あらすじ
群馬県警の鬼警部、根来拾三が何者かに命を狙われた。その一週間後に、無残な首なし死体となった長谷川刑事との因果関係はいかに。同じ頃、この世で一番の美男子であり、名探偵の羽黒祐介は、民俗学者の胡麻博士に誘われて、秋の鎌倉を楽しんでいた。彼はそこで女性に一目惚れをする。この難事件は、名探偵 羽黒祐介の父親、羽黒龍三警視の殉職の謎へと結びついてゆく。彼は、神奈川県から群馬県に及ぶ、難攻不落のアリバイを崩せるのか。
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Kan先生は、仏教に造詣が深い作家さまです。
詩も詠まれます。
わたしの大好きな作家さまなのですが、
今回は、Kan先生に、わたしの挿絵制作の犠牲者になってもらいます。
南無阿弥陀仏~。
さて、この作品の主人公、羽黒祐介とは、どのような人物か。
「登場人物紹介」には、こう書かれています。
「羽黒祐介……池袋に探偵事務所を構える名探偵。来年三十歳になる。この世で一番の美男子」
うーん……。
挿絵制作の前に、さっそく、謎が出てきました。
そして、この謎を解かない限り、絵を描くことはできません。
まず、ひとつめの謎、
「この世で一番の美男子」とは何か?
善悪だけでなく、美醜の感覚は、人種や性別だけでなく、時代によっても異なります。
何をもって、「この世で一番」としたらいいのか。
大きなる壁が立ふさがりました。
それから、ふたつ目の謎、
なぜ、作者のKan先生は、主人公の羽黒祐介を、「この世で一番の美男子」としたのか?
別に、町内一でもよかったし、イケメンでなくても、よかったんですよね。
頭が良くて、推理さえできれば……。
でも、「この世で一番の美男子」とした。
なぜか?
ふたつ目の謎から、考えていきます。
ざっと推理して、その理由はいくつか考えられます。
最低、四つ。
まず、ひとつ目。
「読者層として、イケメン好きの女性をターゲットとしている」から。
あ、これですね。
決定です。
他の理由は、考察しないことにします。忘れてください。
作品を拝読すると、文中において羽黒祐介に関する描写というものが、けっこう少ない。
なぜか?
普通の小説であれば、人物描写は少なくても、ぜんぜん構わないんですよね。ストーリーとか、心情とかが大事ですから。
でも、この作品では、物語の焦点を、トリック、謎解きに合わせているためにそうした、というだけではないでしょう。
だって、「この世で一番の美男子」であるとは、言っているのですから。
たいていの人は、どのように、どんな感じで「美男子」であるか気になるので、作者さまはそれを表現しても、おかしくなかったはずです。
でも、しなかった。
この作品は、主人公以外の登場人物や心理や風景を、とても、ていねいに美しく描写し、論理や推理を積み重ねていきます。
それに対して、
主人公については、
「名探偵の羽黒祐介は、この日本列島ができて以来、他と比べることも愚かなほどの美男子である」 (4話「北鎌倉」)
これだけ。
ちょっと次元の異なる描写なんですねー。
なぜか?
それは、作者さまが、
読者が自分の好きなようにイメージを膨らませることができるように、
( ♪ 好きなイケメンを妄想できるように ♪ )
故意に、
主人公の描写を少なくした、と考えるのが自然ではないか、
と思います。うん。
成宮りん先生による、レヴューには
「イケメンの探偵と刑事がいれば、それだけでご飯3杯はいけてしまう…」
(「実は一番怖いのは、生きてる人間の方」 [2017年 09月 22日 20時 21分] より)
って、あります。
3杯ですからね。これで、決まりにしましょう。
本当は、作者のKan先生、本人に確認するのが確実なのですが、
この件については、それをするのは野暮ってもんです。
「秘すれば花なるべし」
勝手に想像して、話をすすめます。
羽黒祐介は、来年三十歳。
とあるので、
Kan先生は、二十代から四十代の女性ファン獲得をもくろんでいるに違いありません!
ええ、絶対です。
(その意図が明らかになれば、挿絵のタッチも決まってきます)
そう、決めつけたところで、
次回、
「この世で一番の美男子」とは何か?
に、つづく。