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その2

 高山 由宇先生に、『はつと鵺 〜天正伊賀物語〜』の見どころを聞いてみました。



 ●


『はつと鵺 〜天正伊賀物語〜』の見どころは、時代は違うけれども日常を流れるように描いているというところでしょうか。その流れの中で、はつが徐々に里人たちと打ち解けていくさまを見て欲しいと思います(*^^*)


 ●



 戦や忍術ではなく、人と日常に焦点を当てているのですね。


 日常だと、リアリティーを追求するために、いろいろ苦労されるんじゃないですかねー。時代が違うと、ちょっとしたことも、現代とまったく異なりますし。


 先生に、努力した点を聞いてみました。



 ●


 執筆にあたって努力したことは、戦国時代を舞台にした小説だけに、当時の伊賀の周りで起こっていたことの情報収集です。

 プロットの時点で、1ヶ月ぐらい図書館に籠もっていたのを覚えています。ネット情報も多く参考にはしていますがね(*^_^*)

 あと、薬になる植物の知識収集ですね。

 鵺が薬学に通じているという設定にしてしまったので、少し困ったことになっております。


 ●



 高山 由宇先生は、主人公の忍の「鵺が薬学に通じているという設定」で、「少し困ったことになって」いたようですね。


 『はつと鵺 〜天正伊賀物語〜』には薬草がいくつか登場します。


 例えば、「第五章 花と薬草と花言葉」には「キツネノボタン」があります。



 ● 引用


「キツネノボタン?」

「今は花は咲いてないけれどね。黄色の小さな花をつけるんだよ。これは、喉の痛みに効くんだ」

「へえ」

「けれど、液汁が肌につくと、赤く発泡して膿が出るんだ。だから、決して口に入れてはいけない」

「口にしないで、どうやって喉の痛みをとるの?」

「葉をね、大豆ぐらいの大きさに切って片方の手首に当てるんだ。しばらくしたら外して、発泡した箇所を湯で洗う」

「それで?」

「それだけ」

「それで、喉の痛みが治るの?」


 ……


 ●



 高山 由宇先生、よくお調べになりましたね。「キツネノボタン」、多くの薬剤師の先生も知らないかもしれません。


 一般的な、植物学の本には載ってない知識です。『牧野植物大図鑑』にもありません。内服はダメなので、多くの薬草の本にも載ってません。


(北隆館の『Field Selection 薬草』には扁桃炎に用いるって載ってるけどね)


 「キツネノボタン」は、和名を漢字で「狐野牡丹」と書きますが、漢名では、「回回蒜」・「水胡椒」などと呼ばれます。


 「葛根湯」のような漢方薬は2千年前から文献に登場するのに、「キツネノボタン」は、ほぼほぼ、毒草なので、著名な、歴史ある薬学、医学書には掲載されていませんでした。1409年、明の時代に刊行された『救荒本草』に登場しますが、ここでも外用の使い方は載っていません。


 外用の使い方が医学書に現れるのは、1960年、『中国药植图鉴ちゅうごくやくしょくずかん』から。気管疾病、瘧疾ぎゃくしつ鼻塞、眼翳がんえい、歯痛、牛皮癬などに用いたってあります。


 「キツネノボタン」は伝統医学的に用いられてきたのではなく、あくまで、民間の治療法としてあったようですねー。



 うーん。


 高山 由宇先生、すごいですね。


 えらいですね。


 努力家ですね。


 どうやって、お調べになったんでしょうねー。聞いてみたいものです。


 



 ということで、挿絵には、草を描きたくなってきました。自然と草、がいいですねー。




 

 次回もお楽しみに!





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