『カーネル・ダグラス物語』Kan先生著 その7
笛とオルガンの、ジャス演奏の場面を描こうかなあ、と思ったんですよね。
このシーン↓
〇5章
葵はにこにこ微笑みながら、木の椅子に座り、オルガンを演奏し始めた。葵の知っているオルガンとは少し違う音色がしたが、気にするほどのものではなかった。
葵は完璧なリズムを刻みながら、柔らかな音色をいくつも重ねていって、即興演奏を始めた。
「いいね。俺も吹かせてもらうぜ!」
ペリーもそのオルガンの音色に合わせて笛を吹いた。ふたりは完全即興で、互いに掛け合いをしながら、素晴らしいインタープレイを披露ひろうした。
瞬く間に、葵とペリーの演奏は評判になった。富裕層はもちろん、貧民街からも多くの人が集まって、広場は一杯となり、拍手喝采となった。
……
その頃、赤い軍服を着た兵隊が、貧民街や商店街を走りまわっていた。失踪したアオイ王女を探していたのである。ちょうど兵隊たちが音楽広場にたどり着いた時、葵は最高にノっていて、肘ひじを使って、オルガンの鍵盤を叩くようにして、音を鳴らしているところだった。その様子を見て、兵隊たちは彼女が狂ってしまったのだと思ったのだろう。たちまち二人は囲まれて、葵はペリーから引き離された。
〇
さっそく、オルガンのプレイを聴いて参考にしようかと、何か持ってなかったかなと思って、CDを探しましたが、「THE ART OF Albert Achweitzer」くらいしか持ってなかった……。
シュバイツアー博士のオルガン演奏です。むかし、博士の伝記や思想書を読んで感動したから、大人になった時に、つい買っちゃったんですよね。
1935年くらいの録音。心が洗われます。いまそれを聞きながら書いているところですが……、
うーん。ジャズじゃない……。
そりゃそうだ。このアルバムは、J.S.バッハ作曲の正統的な宗教音楽。
ジャズオルガンと言ったら、エレクトリックオルガン。
『カーネル・ダグラス物語』での即興演奏がピアノでなかったことは、異世界は、1700年代より以前の中世という設定だから、と推測。
オルガンの歴史は紀元前から。もちろん中世にもありました。教会などに設置される巨大なパイプオルガンが有名だけど、それだけでなく、小型のオルガンもあったはず。
もちろんエレキオルガンはない。
頭をまわしましたが、一般の貧しい市民が、広場で演奏できるような、オルガンの形をイメージできませんでした。
そのオルガンの動力はなんだろうと、余計なことまで考えたりして。
蒸気だろうか。ふいご? 足踏みペダル?
(もしかして異世界だから魔法かな?)
ま、図鑑とかで、調べればいいんですけどね。でも、調べるのも考えるのも面倒だから、そのシーンを描くことは中止。
ということで、もっと楽できる場面にしよう。
そうだ。
音楽では、楽するのが正義なのだ。
と言うことで、絵の「再利用」をします。
エコ。
最初に描いた絵、
これに黒煙を描き加えて……
気づきましたが、コーヒーで描いた絵は、時間の経過とともに、色合いが変化します。
だんだん茶色味が減って、黒っぽく、セピアっぽく変わるんですね。おもしろい。
さらに、それとは別の紙に、女子高生のシルエットを適当に描きます。
そして、上のふたつの絵を、パソコンに取り込んだあと、合成します。
アナログとデジタルの融合。コラボ。
じゃじゃん。
合成とか、色合いの調節とかは、まだまだ下手だけど、まあしょうがありません。
素人ですから。
ところが、楽をしたことで、
なんと、ソナタが序奏ではじまり、コーダで終わるように、
挿絵に、一本筋が通ったようになりました。
Kan先生の作品の構造がしっかりしているので、
絵は、どんなに手を抜いても、なんか、それらしく見えてしまうという不思議。
ありがたや。ありがたや。
Kan先生。
このたびは、すばらしい異世界小説の執筆、ありがとうございました。
先生の小説は、
新企画 「大人も子供も楽しめる新しい異世界小説を読ませてください」
( https://ncode.syosetu.com/n7551fo/ )
に掲載いたしています。