いっかいめ
-趣味-
「チッ、またかよ。」
脱衣麻雀は、最後の一枚を剥ぐときが一番大変だと思う。
というか、対面二人で麻雀って実際どういうルールなのだろう。
「ゴリラさん、ゴリラさん。これ、どういうルールだと思います?。」
こういう時は、何かと合理的に考えてくれるゴリラさんに聞くのが一番だと思う。
「オランウータンさん。なに言ってんですか。これ、山を四つにして王牌分を足した二山を使ってんですよ。きっと。」
なるほど、言われてみればそれが一番あり得そうな気がする。
「つーか、相手の女性。すげえ不細工ですね。よくこれ、脱がそうと思えますね。尊敬しますわ。」
3世代前のポリゴン絵に、なにを言ってるんだろうこのゴリラ。
「サター○機だから、これでも上位の絵ですよ。何というか、人間とは思えない存在とか普通ですから。」
「なるほど、オランウータンさんの『幅広さの理由』を垣間見た気がします。」
そういうとゴリラさんは、手に持ったゴルゴ1○に視線を戻した。
俺は最後の一枚を気合いではぎ取り、勝利の雄叫びを上げる…しかし。
「あ、それ。全裸になっても、もう一回勝たないとセクロス一緒にしてくれないみたいですね。」
嘘だ!
画面を見れば、『さぁ!もう一度よ』の文字が…。く・そ・あ・ま・が!。
ゴリラさんが、馬鹿を見る目で嗤っている。
さあ、勝負!
その後『天和、字一色、大三元、四暗刻』等というクズの中のクズ上がりを見せられ、瞬殺されました。
-好き嫌い-
カフェテラスは、好きになれない。
なぜなら、動物園を連想させられるから。
昔から『ゴリラ顔』と呼ばれてきた。ゴリラみたい、では無い『ゴリラ』だ。比喩表現が付かないのだ。
ボディはどう見ても人間。ちょっと筋肉質で毛深いが、誰がどう見ても(たぶん)人間だ。
道行く人が俺を見て驚いたり、笑ったりしている気がする。特にこんなオシャレカフェだ、そりゃ人外が居れば驚きもするだろう。俺だって二度見位する。
でもちょっと待って欲しい。あなたのお子さんが、こんなだったらと考えて欲しいのだ。そう思えば、如何に失礼でひどい事をしているか分かってもらえると思う。
それにだ。こんな所で、ゴリラがのんきにコーヒーなど飲んでいられると、思っているのだろうか。普通は、保健所もしくは動物園から人が来るだろう。
故に、常識で物を考えて欲しい。こんな所にゴリラが居るわけが無い…と。
「あらやだ!こんな所にゴリラが居る!!。」
「母さん!。」
…カフェテラスは嫌いです。
-なぜだ-
最近、毛が薄くなってきた気がする。いや、現実逃避はよそう。
『禿 げ て い る』
まあ、それはいい。実は昔から毛が多くて常々邪魔だと思っていたのだ。
今は、前から中央部にかけて薄くなっている。これから、サイド部分が薄くなり全体的に薄くなってくれるよう、手がけている所だ。
まあ、腕毛とか足毛は全然薄くならな…いや、昔よりは薄くなってるなこれ。
喜ばしい事だ、掃除の回数を減らせる。掃除する度に、凄い量の毛が集まるのだ。勘弁して欲しいと思う。
女性からの評価は昔から諦めているので、髪の毛セットとかどうでもいい。
とりあえず、いつも通り帽子を被りゴリラさんとの待ち合わせに急ぐ。
今日はカフェでお茶しつつ、新作エロゲの論評と新基準スロの期待値についての話をしようと思う。
「お待たせし…あれ?ゴリラさん。なにしてんですか。」
テラスではゴリラさんが、顔を隠すように俯き縮こまっていた。
「遅いよ。遅すぎる。」
深い深いため息と共に、そんな事を言うゴリラさん。
席に着こうとする俺を、ゴリラさんが体全体を使って防ごうとする。
「移動しよう!移動!絶対だ!な?移動しような?。」
あまりにも必死なゴリラさんを見て、了承。しかし、ここ以外だと電車に乗らなければ、落ち着いて話が出来る所など無い。
「電車いいじゃないか!電車。俺、隣町まで移動したいな。電車代くらい出すよ。お茶も奢ってやる。だから、な?行こう。」
なんだかよく解らないが、ゴリラさんはこの街に居たくないようだ。まあいい、さっさと移動しよう。
-彼女-
俺には彼女が居ない。まあ作ろうと思えないのだが。
俺の事はまあ良い。問題は目の前に居る『二次元ダイスキー』だ。
オランウータンさんは、なんと!一部の存在に大人気だ。
本当に、極々一部なのだが…それでも凄いと思う。ちなみに、どのくらい人気なのかというと…。
「じ~。」
…電車の中、同じ車両の端にいる美人女性。彼女の様な人間にストーカーされる程度だ。
「どうしたんすか?。」
ちなみに、本人は全く気がついていない。いや、教えたのだが信じていない。
「ほら、また来てるよ。君のストーカー。」
そう言って指差すが…。
「ああ、はいはい。ゴリラさんのいつものっすね。いいっすよ。気を使わなくても。」
そう言って、携帯ゲームに視線を戻すオランウータンさん。
「いや、ほら。ホントなんだって。めっちゃこっち見てるから!てか、怖えよ。なんとかしてよ!。」
オランウータンさんが向こうを見ると…。
その娘は、手元の新聞に目を向けていた。
「やっぱなぁ。ま、いいすけどね。」
オランウータンさんが、視線を戻した瞬間。こちらをガン見する女性。距離があってもハァハァ言ってるのが分かる。
…もう、いいかなぁ。
見なかった事にして、目的の駅で降りた。
続きがたまったら掲載します。